あらすじ
老舗ホテルでも注目を集めるなど、前途洋々だった若手パティシエの田城陶子。だがカリスマシェフに叱責されたのと時を同じくして、ポシュ(絞り袋)が扱えなくなる。人生を賭してきたお菓子作りができなくなった陶子に、知人のライター・小瀬が「思い出のオムレツ」について様々な人に聞き取る取材に付き合わないかと声をかけてきた。様々な人生模様と彼らを変えた味の記憶を辿る中で、止まっていた陶子の時間は少しずつ動きだす。
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Posted by ブクログ
美味しそうなオムレツがいろいろ出てきてオムレツ奥が深いなと思いました。
また、病気と向き合いながらも少しずつ前に進んで行く主人公と、周囲の人たちの暖かい支えにホッとしました。
Posted by ブクログ
社会人になって、思い描いていた人生が180度変わることって本当にあるんだなと痛感します。
なんとなくこのままキャリアを積んでいくと思っていたけどあらゆる理由で、その道を変えざる得ないときの勇気が実体験も相まって痛いほど伝わるし、その絶妙な心情の動きを描かれていて胸がキュッとなりました。
でもその道も決して間違ってないと、そっと背中を教えもらえる本です。
これからの人生に迷ってる人や、同じような経験をして人生の路線が変わった人も読んだら絶対心の支えになってくれます。
そして美味しい卵料理でその人生に寄り添った暖かい気持ちにもなって、忙しい時こそ読みたいです。
Posted by ブクログ
前作『ぐるぐる、和菓子「和菓子迷宮をぐるぐると」改題』の姉妹編。
前作は製菓専門学校を舞台にした青春小説でしたが、本作はその後の社会人になってからのお仕事小説であり、再生の物語でもありました。
主人公は変わり者の男子学生から成績優秀な陶子へ。
ある日突然、これまで出来たことが出来なくなる。
そんな大きな壁にぶつかってしまった陶子の苦しみや不安とともに、再び歩き始めるまでの日々が描かれていました。
生きてると誰でもいつかはぶつかる「壁」。
「どうして私が」「これからどうなるのか」頭のなかは「なんで?」でいっぱい。
そんなとき、押し付けがましくない近すぎない距離から気にかけてくれる人がいるのはありがたい。
しんどい場所やグルグルする思考から一旦離れることで、新たに出会える世界も見えてくるモノもあるのかなと思います。
一度つまづいても、また歩き出せるし、道は他にもいっぱいある。まわり道をしたって大丈夫。どこにいても、またそこから始めればいい。
つまづく度に強くなるし、そうやって心の痛みを経験することで人の痛みや気持ちに寄り添えるようにもなっていく──。
そんなふうに思えました。
あえて苦労したいとは思わないけど、きっとどんな体験もその人をつくっていく財産になる。
新たな一歩を踏みだした陶子にエールを送りたい!
ところどころ昔の価値観のままの日本社会の現状が描かれていて、でもそれを変えようとしている人がいるのが良かった。
表題にあるように、作中に美味しそうなオムレツがいくつも出てくるので、食べたくなりました。
ホテルで食べたフワフワオムレツを思い浮かべながらの読書。巻末のレシピも嬉しい。
前作が未読でも問題なく読める内容でした。
『いろいろやってみて続けられるものを続ける。駄目だったらやめる。それでいいと思っています』
『頑張って何もしないということが必要なときもある』
『どうしようもない壁にぶち当たることもあるかもしれない。そんなとき、ただ壁を乗り越えようとか打ち壊そうとかするだけじゃなくて、回り道をしたり他の道に行ったりしてもいいってことを知っていてほしいんです。そのことを心の片隅でいいから覚えておいてください。』