あらすじ
本書は、世界のソニーを育てた伝説の経営者が、精魂込めて語った新時代の子育て論。
1971年に刊行されて以来、多くのお父さんお母さんに読み継がれてきました。
「幼児は叱るよりほめたほうがよい」
「体を動かす子ほど知能の発達も早くなる」
「整理されすぎた部屋は子どもの成長を妨げる」
など、長年の幼児教育研究で報告された興味深いエピソードと、
それをもとに行われる提言は、うなずけるものがいっぱいです。
これから子育てをはじめる方々に、ぜひ読んでいただければと思います。
※本書は1999年に小社より刊行された同名の文庫を、新装版として出版するものです。
【目次より】
○幼児教育は天才をつくるためのものではない
○抱き癖は、おおいにつけるべきである
○お金や暇がなくても子どもの教育はできる
○人を信じられる人間が21世紀の日本をつくる
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Posted by ブクログ
ソニー創業者による乳幼児教育研究のまとめで、最初に発表されたのが1971年。2015年現在、すでに44年が経過している計算だ。
それでも高評価を得ていたので、出産を控え、最新の育児本とあわせて読んでみることにした。
脳科学や教育学の研究はもちろんめざましく進んだろうし、社会のあり方も大きく変質している。
この本が書かれた時代には一般的だったために大前提とされている、専業主婦が3歳まで家庭で育て、その後で幼稚園に入れる、というセオリーは、もはや当たり前のものではないし、タイトルの過激さから敬遠する人もいると思う。
ただタイトルから受けるイメージとは違い、「とにかく早いうちに知識や技術を詰め込むべし」というだけの内容ではない。
乳幼児でまだ言葉も通じない、何も理解できないからといって放っておくのではなく、ベッドにいる赤ちゃんの視界に配慮するなど、五感を刺激してあげて、肌を触れ合わせ、笑いかけ、話しかけ、コミュニケーションをはかり、発達に応じた刺激を与えてあげること。そのためにもよく子どもを見てあげること。子どもの能力を何歳だからこのくらい、と画一的に決め付けて制限しないこと。そういった当たり前のことに改めて目を開かせてくれる内容である。
良く喋り、走り回るようになる3歳以降にそういった配慮を始めるのは遅いから、0歳から始めなさい、というような内容である。
また書かれていることのすべてが時代遅れであるとも感じられない。44年という年月を思うと驚嘆すべき新しさである。
著者自身の子育てについて書いた内容ではなく、あくまでも客観的に複数の事例を紹介している(鈴木鎮一氏のバイオリン教室の事例が多い)。
どれほど時間が経ってもそれらの事例が嘘というわけではないのだから、解釈を最新の科学や情報に基づいて、各々が改めて行えばよい。
だからこの本を参考にすると言っても、井深さんの言葉を鵜呑みにするのではなく、最新の情報と照らし合わせることで、より普遍的なポイント(科学というよりは育児の心構えのようなもの)をあぶりだすという姿勢で読むが良いのではないだろうか。