あらすじ
警視正のキャット・フランクは昔気質の刑事だ。事件現場を歩き、容疑者の眼を見ることが捜査の核心だと信じている。新設の捜査チームを率いることになった彼女は、ロックという名の人工知能に出合う。この新世代の「捜査官」は、ホログラムの体をもち、統計データに基づいて事件解決を支援するのだという。刑事の直感を信じるキャットと、刑事の直感など根拠のない思い込みにすぎないと切り捨てるロック。相反するふたつの頭脳が火花を散らし挑むのは、ありふれているようで、どこか異様な未解決失踪事件……。英国推理作家協会賞受賞、二十一世紀の最前線をゆく傑作警察捜査小説!/解説=村上貴史
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Posted by ブクログ
百戦錬磨の警視正キャットと、AI捜査官ロックがバディを組んで未解決事件に挑む作品。
刑事の勘と、データや確率を重視するAIのやり方がぶつかりながらも、少しずつ真相に近づいていく展開は、ミステリとしても純粋に楽しめた。
印象的だったのは、ロックが「お悔やみ申し上げます」と人間に話しかけるシーン。
それをキャットは、自分には理解できない感情に対して、ただ学習した返答をしただけだと不快感をあらわにする。
けれどふと、友人たちが皆やっていることではないかとも思う。
「あなたのことを思っています」というメッセージ。心から思っていなくても、言葉を選ぶことは普通にある。機械の言葉と本当に違うのだろうか、と考え込む。
ロック本人も作中で言っていたが、場にあった返答を学習していっても、感情を持つ非合理的ともいえる人間になりたい訳ではないのだと思う。
これまでは、AIやアンドロイドが登場する作品では、感情を持ちたくても持てない切なさが描かれることが多かった気がする。
人間に寄せて作った機械が感情をもたないことが、なんとなく不気味だったのに、AIが現実のものになりつつある今はむしろ、心がない方が強かったらどうする?という不安の方が大きくなってきているのかもしれない。
とはいえ、この凸凹バディは悲壮感のあるものではなく、最後まで楽しく読めた。
AIと人間の関係がどう変化していくのかとても興味深い。まだ翻訳されていないが、オリジナルは第4弾で完結予定とのことで、続きもぜひ読みたい。
Posted by ブクログ
★4.8
めちゃ面白かった!
効率化プロジェクトによりAIを導入する警察、そこには"人間の勘"と"AIの分析"が対立する。直感を信じる警視正とデータに基づくAIが未解決事件に取り組む話
かなり近未来的なミステリーで現実と地続きに読めるのが面白い!
500ページもあるし、リアリティのある警察物なのに飽きさせない細かい場面展開でずっと楽しめる
あと人物描写もイメージとして湧き出てくるぐらい全員凄く上手く描かれてて無駄がないなと感心した!
ただリアリティの追求とどんでん返し的な要素はトレードオフかなぁと感じるしょうがない部分もあったので−0.2って感じでした!
めっちゃ意外!みたいな展開ではないからそこを期待する人には肩透かしかもしれない
ただそれを踏まえてもめっちゃ面白かった!
あとがきも是非読んで欲しい作品
Posted by ブクログ
楽しい〜!
これこれ〜こういうの読みたかった。
途中ターミネーター2をみんなで見るとこがあって、キャットとロックをサラ・コナーとターミネーターに置き換えたらかなりしっくりきた。
相棒はジョンじゃなくてサラ・コナーだったらみたいなifとしても面白い。ロックが言う言葉に感情などないと一蹴するキャットが後半考えを少し改めるのもストーリーの流れとして最高でした。
事件が起きる予兆がそこかしこに散りばめられてて、被害者の共通点、映画の展開がしっかり物語で回収されているので安心して楽しめた。
オコネド教授やハッサン、ブラウンの話は少ないがシリーズが続いてるからいずれ彼らの話もあるよね。
キャットが亡き夫と心で会話するシーンがいくつか出てきて、最後にはロックがそばにいるって所もグッときますね!最後の1行はめちゃくちゃカッコイイ!
Posted by ブクログ
警視正のキャットは、実証実験のためにAI捜査官ロックをチームに加え、未解決事件の捜査へと乗り出すことに。チームが着手したのは数ヶ月に渡り行方不明となっている二人の若者の事件だった。刑事の直感を重視するキャットの目には、何事も論理的かつデータに基づき説明しようとするロックが疎ましく映る。
当初は自らの意思で失踪したものと思われていた二人の若者だったが、捜査を進めるうちに何者かによって誘拐された可能性が浮上する。さらにキャットは、姿を消した二人には父親が癌を患っていたという共通項があることを知る。だが部下たちは懐疑的だった。そんな中、今度はキャットの息子カムが姿を消す。キャットの夫でありカムの父親でもあるジョンも癌で死亡していたため、カムも一連の事件の被害者なのではないかとキャットは不安を抱く。一度は捜査から外されてしまったキャットだったが、犯人の目的は遺伝的に癌を発症する可能性のある若者たちを研究の実験台にしているのだということに思い当たり、犯人を追い詰める。
人の心を読めないが故に無神経なことを言うロック。それは決して口にはできない刑事の本音であることもある。かたや人間らしい思考は捜査を鈍らせることもあるがそれだけではない。互いに補い合うことで、最強のバディにもなれる。
英国ミステリは特に犯人を追う刑事も心に傷や闇を抱えているパターンが多く、それが物語により厚みを加えている。
ロックは自由にビジュアルを変更できる点(ピカチュウもあり)が面白い。映像化されてほしい一作。