あらすじ
読者は著者の意図など考えずに自由な読み方をしていいのである。理解されることで表現は変化し、そこに異本が生じる。口承文芸など長い伝承期間を経た物語や歌謡が、具体性・簡潔性を具え古典になるのはそのためである。翻訳、コピー、原形と典型など、異本化作用から、広く表現文化について考えた画期的な本。
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Posted by ブクログ
実は、マーケターこそ、読むべき一冊。
本は作者のものだけではなく、読者のものなんだ。読者に開かれたものなんだ。というメインの主張は、読書論にとどまらず、マーケティングやブランディングの可能性をぐっと切り開く視点をくれる。
本好き以外には見慣れない「異本」というコトバを題材に、「本を読む、理解する、解釈するって一体どういうことか?」の、常識を裏切る発想法を提案する名著。
「ちょっと同じ話を繰り返し過ぎやろ感」はあるものの、まったく違うOS・アングル(物事の見方)を育むためのプロセスなんだろうなと思うと、あえての繰り返しなのかもしれない。
Posted by ブクログ
テクスト論。
今までは作者が本ぜんたいの権威を持つとされていたが、読者の解釈によって決まるとした。
歴史とおなじように、本は時間を置かなければ真の評価ができない。例えば宮沢賢治のように、生きている間は見向きもされなかったが、その後再評価されることはよくある。逆に、流行するものの、10年後には忘れられているということもある。
Posted by ブクログ
・情報を整理して過去を知るだけでなく、伝えられていることに疑問を持ち、 その問いを突き詰めていく姿勢は、まさに、思考の整理学
東大・京大で2年連続売上1位!になった「思考の整理学」の著者、外山 滋比古 先生の著書。
読者に媚びることなく、ご自身の思考を整理する。だからと言って、読者を意識していないわけではなく、ご自身と異なる背景を持ち、知識も語彙も不足しているはずの読者に優しく歩み寄り、難しいことを分かりやすく解説してくれています。その文章を構築する過程は、まるで、先ず基本となる骨格を組み上げ、筋肉に見立てた粘土を付けていくことによって、肉体を表現するようで、絶品です。
仮説をたて、膨大な知識と思考力で既存の概念を崩し、新しい概念を構築していきます。情報を整理して過去を知るだけでなく、真実は見えてきません。情報は、作った人、伝えた人の意識が反映されているモノに過ぎないからです。伝えられていることに疑問を持ち、情報を紡ぎ直し、その問いを突き詰めていく姿勢は、まさに、思考の整理学、これが学者の姿勢なのでしょう。とても勉強になる良書です。