【感想・ネタバレ】シャイロックの子供たちのレビュー

あらすじ

「半沢直樹」シリーズのドラマ化で大ブレイクした著者が、「ぼくの小説の書き方を決定づけた記念碑的な一冊」と語る本作。とある銀行の支店で起きた現金紛失事件。女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪!? “叩き上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上がらない成績……事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮らすことの幸福と困難さを鮮烈に描いた傑作群像劇。

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人気ドラマ「半沢直樹」原作小説『オレたちバブル入行組』の池井戸 潤が描く、銀行を舞台にした作品。どんどん続きが気になって一気に読み終えてしまいました。
とあるメガバンクの一支店に勤務する10人の銀行員をそれぞれ主人公とした短編集かと思いきや、全然そんな甘いものではございません。
上層部の勝手で非現実的な目標設定、低価値な商品の販売ノルマ、競合他社のなりふり構わない営業、足元をみて天秤にかけるクライアント等々。銀行員でなくともサラリーマンなら嫌というほど共感できる日常が舞台となっており、ウラではとんでも無いミステリーが進行していきます。
元バンカーである著者により、銀行内部の葛藤がリアルに描かれていて、まるでノンフィクションを読んでいるかのようです!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

小説自体、久しぶりに読んだ。
小説っておもしろいなぁ、と改めて感じた。
小説、マンガ、アニメ、ドラマ、映画と色々見るが、小説が一番おもしろく感じる。
絵も音もないのに不思議。それだから逆にいいのか。もっとも能動的に世界観に入れるから。

ただ小説ってなんで小難しい言葉ばかり使うのか?
相好を崩す、踵を返す、とか。
どうしてもその言葉である必要はないと思うんだけど。普段でも基本使う言葉でもないし。いわば小説の中でしか見ない小説言葉。
語彙力をある程度鍛えられるのはいいけど、過剰じゃない?と思うことがある。もう自己満足の世界のような。サナカの漢字を全て書けるような。もちろん自分の語彙力の少なさの問題もあるが、さすがにその言葉は、、、と。
分からない単語が出てくると、読み飛ばす、もしくは小説の世界観に入っていたところ現実世界に戻り調べる必要がある。デメリットでしかない。

さて、内容は。
短編小説が繋がる形をとっている。阪急電車のような。この作りの作品は個人的に好みかもしれない。
全て同じ銀行内の短編だが、それぞれの短編の主人公が異なるため、その銀行の一人一人の理解が進み、世界観にどっぷり浸かれる。
特に印象深いのは次長。老害そのもの。頭が硬い、考えが古い、根性論、失敗は部下のせい、罵詈雑言、成功は自分の手柄、出世ばかり気にして、、、。いい意味で最低過ぎる、笑。こいつがいるおかげでおもしろい。
それにしても問題あり過ぎの支店でしょ。暴力事件、鬱による精神崩壊、現金横領、ガバナンス不全、隠蔽取引、癒着、殺人関与。まあ小説だからね、これはこれでおもしろい。
そんな支店トップ九条は胃がキリキリだと思うが、支店長にまで上り詰めただけはある。競馬に注ぎ込んだ弱みを握り、したたかに立ち回る。若手の頃に掴んだ弱みを、しらばっくれておいて、ここぞという時のカードに使う。この人が主人公の短編は、しびれた。メインの内容に劣らず、見どころだった。

メインの内容は、最後の数ページまで脳みそをグルグルかき回される。結局黒幕はプーさんのようなあの男が。コナンのアガサ博士、スラダンの安西先生のような気のいいおじさん雰囲気をかもしながら、実は仕事はめちゃくちゃ優秀という。実は器用に立ち回っていたと想像できる。犯人となった滝野、実は利用されていたってことだよね。

カツカレーに泣け。とあるが、私は泣けなかったな。まあ感動シーンではあるが、自業自得でしょ、という気持ちが強く。誰でも弱いところはあって、一瞬の隙を突かれて、魔が刺して、ということはある。いつ自分がなってしまうか、という気持ちもある。
でもそれでやってしまったのは自分なのだから、当然の報い。ドライに見てしまった。友達が同じことになったら、手を差し伸べるが、後悔に感動したり、涙を流したりはしないな。

全体的に、小難しい銀行用語、システムもあるが丁寧に説明されるので、そういうことなのか、と納得がいく。特に個人の銀行取引履歴から、個人の人となりまで浮かび上がってくるのはゾッとした。あと情弱に売り込む、その方が成果が上がる。普通は持続可能ではないが、転勤が定期的にあって客が変わるなら、持続可能だと思った。
世知辛い世の中だね。

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2025年06月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

お仕事系の話としても、ミステリーとしても非常に面白い。ミステリーの部分は完全に理解できてないところもある気がするのでもう一度読みたい。登場人物が多いから把握するのは大変だけど、それぞれにしっかりキャラクターがあって、葛藤もあって、面白い。

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2025年04月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私の読解力が無さすぎる結構難しかった
あとモヤモヤするところがいっぱいあった
まず、100万盗んだと疑われた愛理が可哀想なのと銀行って怖い!
個人的には1000万競馬に持ってくやつが一番ヤバイ

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2025年10月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後はページをめくる手が止まらず。
池井戸潤らしさ満点の銀行ミステリー。エピソード毎に語り手が変わる短編スタイルですが最後は繋がります。
登場人物が多くて、全体像をなんとなくでも掴むまでに時間がかかりました。2巡目読み直してちゃんと人物を把握したい。
ちゃんと仕事できる人がちゃんと評価されてほしい。けどみんな貪欲な金貸しシャイロックだったみたい。

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2024年12月12日

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