【感想・ネタバレ】猫と庄造と二人のおんなのレビュー

あらすじ

一匹の猫を中心に、猫を溺愛している愚昧な男、猫に嫉妬し、追い出そうとする女、男への未練から猫を引取って男の心をつなぎとめようとする女の、三者三様の痴態を描く。人間の心に宿る“隷属”への希求を反時代的なヴィジョンとして語り続けた著者が、この作品では、その“隷属”が拒否され、人間が猫のために破滅してゆく姿をのびのびと捉え、ほとんど諷刺画に仕立て上げている。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

猫リリーと庄造の関係、庄造と妻福子、前妻品子の関係を細かく描写した小説で、リリーを頂点に、庄造、そして福子と品子という上下関係が明らかになっている。人間の言葉を話せないリリーだが、その可愛らしい姿の為か、庄造からの無償の愛を受けている。それに対し、福子はリリーに嫉妬するという歪な構造となっている。本作は猫をめぐっての三人の関係性が注目どころである。

0
2025年08月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

別れた女房から請われて愛猫を引き渡した男が、居場所のなさのあまりに現妻と元妻の目を盗んで愛猫に会いに行くという物語。大きな事件は起きないけれど、それぞれの登場人物の思惑と心の動きが描かれていて読まされる作品だった。

0
2022年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

猫、という題材一つで、ここまで男女の駆け引きを書けるのか。流石、文豪と言ったところ。
だけど、文章は読みやすく、初めて谷崎潤一郎を読むのには丁度いいかも知れない。
いつの時代も、人は可愛い猫に、弱いものなんだろう。

0
2021年07月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

猫と庄造と二人のおんな
(和書)2010年02月12日 19:23
1951 新潮社 谷崎 潤一郎


最近、谷崎潤一郎が好きになって猫も大好きなので楽しみにしていました。

猫との関係がとても面白い。

良かったです。

0
2020年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

関西弁の会話が心地いい。
猫のリリーにデレデレの庄造と、それに振り回されながら庄造を取り合う品子と福子のお話。
もとはと言えば庄造のダメ男っぷりが根元なのだけれど、庄造って人は、何故か憎めない、のらりくらりの愛すべきへなちょこ 笑
品子の言葉を借りれば、
「子供を一人歩きさせているような、心許ない、可哀そうな感じ」
「そしてもともと、そう云う点にへんな可愛気のある人」
「妙にあたりの柔かい、優しい肌合があるものだから、だんだんそれに絆されて…」
なのだ。

作品冒頭にある手紙作戦が功を奏し、まずはリリーを手元に呼び戻すことに成功した品子。
これに釣られて庄造も呼び戻す算段だったけれど、リリーの世話をするうちに情が湧き、己を省みることになる。
「誰が悪かったのでもない、みんな自分が至らなかったのだ」
それでもやっぱりいつかは庄造とリリーと三人で暮らしたいと願っている品子。

リリーの様子が丁寧に描写されているからか、いつのまにやら私もリリーを可愛らしく感じながら読み進めた。
まったく、あっちへ行ったり連れ戻されたり、落ち着かないよねぇ、リリー。

リリーを中心に、福子も庄造もまた、様々な思いを心に巡らす。
ただ、庄造、品子、福子には意地やプライドもあって、皆共に素直になれないんだな。
こうなってくると他の周りの人でさえ信用ならなくなってくる。
作中、「どっちだす?なあ、どっちだすいな。」と問いただす似たようなセリフが、福子からも庄造からも発せられるのが印象的だ。
「○○と私、どっちが大事なのよ!」って、今も昔も変わらずよく聞くセリフ。
一匹の猫に振り回される人間を三者三様に描いていて、その様には面白味を含んだ悲哀さえ感じる。
ホントしょーがないなぁ。。。
この三人のドタバタは、この後も続いていきそうだ。



0
2024年11月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昔の作家だし、難しいイメージを持っていたが、意外と文章自体は読みやすい。
解説によると、人間は何かに隷属したがるということだった。確かに登場人物たちは何かしらに執着していることが書かれている。
第三者視点での心理描写が読みやすいしわかりやすい。割と好き。井上靖も第三者視点だ。客観的に書かれる文章が好きなのかもしれない。
谷崎潤一郎の本はこれが初なのでまだ理解しきれてない部分が多い気がする。また機会があれば別の本も読んでみようと思った。

0
2024年04月13日

「小説」ランキング