【感想・ネタバレ】春琴抄のレビュー

あらすじ

盲目の三味線師匠春琴に仕える佐助の愛と献身を描いて谷崎文学の頂点をなす作品。幼い頃から春琴に付添い、彼女にとってなくてはならぬ人間になっていた奉公人の佐助は、後年春琴がその美貌を何者かによって傷つけられるや、彼女の面影を脳裡に永遠に保有するため自ら盲目の世界に入る。単なる被虐趣味をつきぬけて、思考と官能が融合した美の陶酔の世界をくりひろげる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

春琴のため自らの目まで潰す佐助。それは愛情である一方で己はここまで出来るという優越、春琴に捨てられたくないという執着でもある。
また、火傷により美貌を失いかつての勝ち気な性格も失いつつあった春琴の、ありのまま受け止めるのではなく、対等な関係を拒絶し一層自らを卑下し春琴を敬ったというが、それは、自分が好きだったかつての春琴を取り戻したい佐助の自己満足なのではないかとも思った。
共依存と執着の極地。これは愛の物語ではなく恐ろしいほどに深く強く結びつけられた共依存の話だ。
谷崎潤一郎の作品は時間が経っても心にこびりつくドロドロさがあって好きだな。

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2026年02月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編なので、スラスラ読めました。

序盤、春琴は気が強く、佐助にあたりの強い印象を持ち、佐助は春琴の扱いに苦労する年上男子という印象でした。
ですが、佐助が歳を重ねるごとに、春琴への崇拝(というより忠誠心?)が深まっていくのがわかった。

針で目を突くことは絶対に痛すぎて、自分が佐助と同じ立場ならいくら相手に忠誠心があっても怖くて出来ないと思う。顔に火傷をして、それを見て欲しくないと言った春琴のために目を捨てる覚悟が出来ている佐助は、本当に春琴を愛していたんだと思う。

春琴の死後も佐助がひとり身を貫いたことも、これもひとつの愛の形なんだろうと考えさせられた作品でした。

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2026年01月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

高校生のとき初めて読んで、大学で卒論を書いた作品だから、思い入れが強く、定期的に読みたくなる。

名家に生まれながら幼少期に病気で視力を失った春琴と、長年彼女に仕えた佐助の愛の物語。
強い女性と翻弄される男性という谷崎潤一郎らしい構図だ。

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2025年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「独占」という究極の形
春琴という存在を、誰にも触れさせず、自分だけの領域(記憶の中の美しさ)として永久保存したかった。それを成し遂げるために、彼は「自分の目」という代償を差し出し、彼女の顔を見ないことで、彼女を「一生自分の手の中にだけある美しい偶像」として固定した。
物理的に殺してしまえば、そこには死体しか残らないけど、自分を盲目にして共に生きることで、佐助は春琴を「永遠に色あせない、自分だけの春琴」として飼い殺し(あるいは共に閉じこもり)続けることができたのかな。
・誰にも見せない
・自分も見ない
・だからこそ、誰にも汚させない
この「究極の独占欲」が、表面的には「献身」という美しいヴェールを被って完結しているあたりが、この物語を単なるメロドラマに終わらせない「妖しい魅力」になっているなと感じた。
「誰かに取られるくらいなら殺してしまおう」の安全バージョンみたいなイメージ。
普通の嫉妬だと、相手を破壊するか、自分が壊れるかの二択になりがちだけど、佐助は「自らの感覚を捨てる」という第三の道(それも極端な)を選んだ。それは「安全」と捉えられて、この物語の狂気と純粋さを同時に見られた感じがして、すごく面白かった。
現代の感覚で読むと「そんなことまでして?」と思うけど、佐助にとっては、春琴を失う(あるいは彼女の美しさが衰えていくのを目の当たりにする)ことの方が、目が見えなくなることよりもずっと恐ろしい「地獄」だったんだろうな。

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2026年07月18日

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ネタバレ

美しい。

谷崎ならではの色彩豊かな美しい文章表現や魅力的な女性キャラは健在で、そのうえで狂気的ではありつつも恋の真理が描かれていた。

相手の見ている世界を知りたいと願うのが恋で、同じ世界を見ることができたのであれば、盲目になったことなど災いどころか幸福であるという佐助の考え方は真理ではないか。
文中の「佐助は今こそげかいの眼を失った代りに内界の目が開けたのを知り嗚呼此れが本当にお師匠様の住んでいらっしゃる世界なのだ此れで漸うお師匠様と同じ世界に住むことが出来たと思った」「誰しも眼が潰れることは不仕合せだと思うであろうが自分は盲目になってからそう云う感情を味わったことがない 寧ろ反対に此の世が極楽浄土にでもなったように思われお師匠様と唯二人生きながら蓮の台の上に住んでいるような心地がした」は至言。

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2026年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

我儘で気の強い春琴と崇拝にも及ぶ愛を持った佐助の物語。
私は「愛するということは、その人のために自分の命をも捧げられるということ」と定義している。
佐助は春琴のために「視力」を捨てて、彼女と同じ苦痛(彼等にとっては苦痛ではなかったが)を受け入れた。春琴が私のために死ねと言えば、彼は自分の左目を針で刺したように、自分の命でさえも春琴を想い、満足を感じながら捧げたであろう。
春琴は佐助が盲目になって以降も、依然心を開いていたのは彼に対してだけであり、「ほんとうの心を打ち明けるなら今の姿を外の人には見られてもお前にだけは見られとうないそれをようこそ察してくれました。」というセリフからも、佐助への気持ちが伺える。
物語は三人称視点で書かれており、読み進めていく間、春琴と佐助ふたりの(特に佐助に厳しく接する春琴の)気持ちが気になっていた。形式上、結婚など愛し愛される関係にはならなかったが、以上のように、私はふたりの間にはふたりだけに通ずるものが存在していたことに、美しさを感じた。

あと、あまりにも具体的で繊細であったから、
え、これ実話?違うよね、え??フィクション?すごまじかってかんじ

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2025年09月22日

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ネタバレ

映画春琴物語の一場面を目にした記憶がある。現代文の授業で流れたのか、国語便覧に載っていたのかは覚えていないが、着物の男性と針が映っていて目を背けた気がする。

春琴抄はあくまで伝記というか、本人たちの台詞や心理描写がされるわけではないのでいささか思ったのとは違った。句読点のない文体に慣れるまでが非常に読みにくく、最初の数十ページがしんどかった。

春琴と佐助がメインになってからはスルスルと情景が入ってきた。何故佐助がここまで春琴に心酔しているかが書かれず、ショーケースの中を見ている気持ちだった。

春琴は火傷事件のあと、人が変わったようになってしまったのは少し心が痛んだ。それほどの振る舞いをしていたし、読んでいて春琴のどこが良いんだとも思っていたが、美貌と琴三弦の腕前、高慢で加虐嗜好とも取れるほどの厳しさ全てを含めて人を惹きつける魅力がある。
しおらしくなったお師匠様は佐助の崇拝した春琴ではなかった。

ある男女の師弟を超えた、愛、依存、崇拝、そういった関係を俯瞰してなぞっていく物語だと感じた。

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2026年06月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今年はこういう作品をたくさん読もうと思う。
谷崎潤一郎といえば、私の中では、昔読んだ『痴人の愛』の異常な愛欲に、共感はできずとも鮮烈さを残した。
『春琴抄』やはりその異常なところを残しつつ、さらに磨きのかかった美しい珠のような愛のお話。

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2026年05月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

高校の時、模試か何かで目に針を刺す場面の文章を読んで気分が悪くなった記憶しかなかった 今読んでもその場面は描写がリアルでいい気持ちはしない
けれど話は面白い
春琴がお前にだけは醜くなった顔を見られたくなかった、て言っていたところでなるほどと思った 理解はできないけれど2人はこれで幸せなんだろうな 大きな愛だな

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2026年01月28日

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