あらすじ
死期の迫った大富豪ヨハン・セバスチャン・バッハ・スミスは、勝てる見込みが皆無に近いいちかばちかの賭け、若者の肉体への脳移植を試みた。手術は無事成功。だが驚いたことに、彼が手に入れたあらたな肉体は、なんと若く美しい女性の体だった!異様な設定によって大胆に愛と性と死とに肉薄する問題長篇!
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Posted by ブクログ
読んできたハインラインの作品の中でも一番長編でした。
上巻の終わりにとんでもない事始めたヨハン(ジョアン)がそのまま下巻の最後まで走り切ります。
通読するなかで、悪徳と銘打ったタイトルに含まれる『悪』とは何だろう?という気持ちがずっと残りました。
本当に悪い事なんでしょうか?
正直、出てくる人たちの倫理感がぶっ壊れています。少なくとも現代日本に生きる者としては真似しようとも思えない。
脳移植から始まり、
不倫、浮気、輪姦、強姦、乱交、幼児性癖(のような描写)まで。
しかし、これだけ書き連ねても、作品の底流に流れるものは、愛情と幸福を追求する雰囲気です。
一般的に守るべきとされる倫理と、幸福は、必ずしも一致しない。
そんなメッセージを感じてしまう、物語でした。