【感想・ネタバレ】大好きな人、死んでくれてありがとう(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

解散した男性アイドルグループの一員、南田蒼太が何者かに殺された。北海道Y市の廃ホテルで、めった刺しの遺体で発見されたのだった。メディアは騒ぎ立て、警察は地道な捜査を開始する。事件当夜に南田と会った同じ職場のパート女性、グループの元メンバーたち、十代で孤児となった南田を引き取った伯母とその娘……。誰もが昏い秘密を抱えるなか、驚愕のラストが待ち受ける傑作ミステリ。(解説・齋藤明里)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

まさにタイトル通りの小説で終始薄気味悪いのに読む手が止まらなかった。
亡くなっても尚影響力がある蒼太が生霊として皆を操っているかのような禍々しい物語だった。一体何人の人が人生を狂わされてきたのだろう。
そして春子もしっかり蒼太の遺伝子を継いでいた最後にぞっとした。

その人の欲しい言葉や態度に合わせてカメレオンのように役を演じてきた蒼太はメンヘラ製造機だな。それすら悪いとも思っていなくて何事にも興味がない、周りが勝手に騒いでいるのを達観しているだけの人生にもう嫌気がさしていそうだった。
神でもないのに信仰されるのって結構プレッシャーだよな。

真実を知ろうとした者は消され、救いを求めるものは取り込まれる。Y市恐ろしい所だ…。

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2026年10月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

解散したアイドルグループのメンバーの一人南田蒼太が遺体となって発見される。周囲の人たちみんなが自分は蒼太にとって特別な存在だと思い込んでいる。周囲の人たちの視点はあるが、蒼太視点の話がないので実際のところ謎。最終的に犯人は判明するがスッキリしない。

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2026年09月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ページを捲る手が止まらない。
他人の死を利用しようとする人たち、自分のみたい面だけ見て、本当の面を見ようとしない人たち。でも、私は彼ら彼女らと違うとは言い切れない、人間の誰しもが持つ醜い側面を、リアルに描きだしている。
読後感は何とも言えず独特だが、まさきとしか先生の味なんだろうと思うと、良い読書体験だったと感じる。

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2026年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アイドルグループ「ファンキーカラーズ」が解散して7年ほど経った。メンバーは華々しく芸能界に残る雪宮純、舞台や端役で細々活躍する者、それも辞めた者、経営者になった者、ヒモ状態の者,それぞれ。
その中で、舞台をやって辞めて地元の北海道に戻り、叔父の菓子メーカー会社で専務になった南田蒼太が廃ホテルで滅多刺しに殺された。
警察の捜査や、メディアが殺到して、街が大騒ぎ。
記者たちは蒼太のことを探るが、だれも悪い事を言わずない。恨まれるようなことは何もない。逆に、何もないのが不思議なぐらい、こぞっていい人だったと言う。

菓子メーカーで働く48歳。3年前に夫と死別した。蒼太が殺される少し前コンビニで会った。でも言わなかった。警察にマークされる。彼女の父は5年前に脳挫傷で死んだ。その時も,夫の時も彼らの遺産をもらっていた。しかも去年同級生が死んでる。
職場で目立たない自分が!!あの、きらきらした蒼太くんを!!殺した?!って接点が?!
という、妄想に駆られる。(彼女は殺してない)


元メンバーの中村由貴斗は、結婚してヒモになっていた。そこに蒼太殺害のニュースにびっくり。
いつもの飲みやにいくと、お客さんにファンカラのメンバーだったと話す(20kg太って顔バレしてなかった)。代表曲を歌ってはしゃぐのをSNSにあげられて中傷された。テレビは毎日、蒼太の話ばかり。あいつだって後列の端から2番目で、人気だってなかったのに、死んだらちやほやされるのかよ。
妻がSNSが炎上したのをみて、あの時はショックで取り乱したんだ。実は心療内科に通って薬をもらうぐらい蒼太の死がショックなんだ!と、パフォーマンスしろと言う。なるほど。
心療内科で薬をもらう。それを缶酎ハイで流し込む。
飲み屋でも,ショックで泣いてるふりをする。
そんな時寝てたら左の足の裏をくすぐられた。気がした。
昔、蒼太と幽霊の話をした。2人とも幽霊なんていない説だったが、もしどっちかが先に死んで幽霊になれたら足の裏をくすぐると約束した。まさか、蒼太の幽霊?しかも、右だと感謝、左だと恨み。蒼太は俺を恨んでいるのか?
同じグループにいた時ストレスが溜まると、蒼太の靴の中にうんこを入れたり,のようないじめを繰り返していた。まさか、そんな・・
それから眠るのが怖くなった。夢を見たら左足がくすぐられる。薬の量が増えた。
ベランダに蒼太がいる?そんな?
「やめてー」妻が叫ぶ。落ちていく。その間に分かった。足の裏をくすぐって、蒼太の影を見せていたのは、妻だ。

週刊誌の記者左々森はどうしても新ネタを取らないと帰れなかった。事件からすでに落ち着いてきた街。殺害現場は立ち入り禁止だが、止める人もいなかった。
街を歩いて蒼太の取材をするが悪口をいうひとがいない。菓子メーカーの女たちはこぞって彼を奉るように良いことを言う。
蒼太は中学の時母子家庭の母をなくし、叔父の富士一郎に引き取られた。富士一郎が菓子メーカーの社長だった。娘が1人いて、どうも引きこもりがちだった。彼女は、蒼太に振られたらしい。娘が怪しい?
それより、取材するとなぜか「2人」と言う扱いを受ける。自分の後ろに目線がいく。助手席の人はカメラマン?と聞かれる。
1人しかいないのに。
殺害現場はもともと心霊スポットで夜いったから呪われたのではと言われる。そのうち、スマホがなくなる、ICレコーダーも(それは取り戻して真相がわかる)、かばんさえも。
この街はおかしい!!


甥の中学生の蒼太を引き取るのは反対だった。
でも、引き取ったらとても良い子で、娘や夫が言ってくれないような感謝をつたえてくれて、労ってくれて,助けてくれた。
娘が引きこもり気味になったけど、蒼太がいたらそれで良い。
上京して寂しかったが,また戻ってきた。夫は、一社員として育てるから、干渉するな、必要以上に近づくなという。寂しすぎる。
そして、死んでしまった。
それと同時期に引きこもりの塔子が出てきた。引きこもってる間、株などで儲けていたらしい?ほんとに?
夫が、蒼太の代わりに専務にして仕事を教えると言う。そして、塔子の部屋から250万が出てきた。殺さられ寸前に蒼太がお金を下ろした金額にピッタリ。まさか、塔子が?!

元マネージャーだった梶は雪宮純に、蒼太が亡くなった街で残った4人のお祓いがしたいと言う。蒼太が死んで、由貴斗が自殺したので、メンバーだった虎之介が次は自分が呪われる?と不安がっていると言う。
現在、企画会社の社長をしている。仕事は、雪宮の所属事務所からもらっている状態なので、断れない。
虎之介の気がすめばいいからインチキ霊能師でいいもいう。
みんなで北海道にむかい、殺害現場でお祓いもどきをする。
その夜、純に相談された。長く新井明日香という年上アナウンサー(40歳オーバー)と付き合っていた。新井明日香は地味で、付き合っていても、ファンにもウケが良かった。その明日香と別れて、つきあってまだ数か月の巨乳で20歳の森と結婚するという。
梶もさすがに・・・と思うが、純は「蒼太も後押ししてくれた」という。
明日香は地味で純のいうことを全部きく。でも森はそうはいかない。刺激的らしい。
だから、発表したら梶には味方になってほしいと。

純と森が主演する映画の製作発表会見が、蒼太の死んだあの町で行われる。今回はファンカラがモデルとなったストーリー。そこに、記者がきた
「純と森が付き合ってるのは本当か?!」と、問われる。「明日香とは別れたんですか?それとも二股ですか?」

実はこの製作発表には明日香もきていた。
明日香は純と長く付き合っていた。純の言う事は全部きいた。性欲お化けの純の相手もずっとしていた。妊娠したら別れると言われて自分で避妊していた。結婚はしないとも言われていた。そういう愛もあると思っていた。
でも、別れると言われて納得がいかなかった。退屈だったと?それも純が望んだんじゃないか。
純はいつも蒼太の話をしていた。蒼太に嫉妬した。
電話で蒼太に、明日香との別れ話を相談しているのを聞いてしまった。蒼太は「そのほうが刺激的だからいいんじゃない?」と背中を押していた。
あいつ・・・死ねばいい。
だから殺した。
蒼太は、自分の父親があの廃ホテルで死んだと信じていた。だからある一定の日にそのホテルに行くことを純から聞いていた。そこで殺したのだ。

制作発表会見で記者に問われた純は、森とつきあっていて、結婚することを公表した。しかも、妊娠していると。
ざわつく会場。しかも、森は自分は蒼太の隠し子であることをいう。さすがにそれは嘘だろ~となる。
明日香は「あの女さえいなければ」とナイフを振りかざして森をおそう。かばった純の頭にナイフが刺さった。

後日
森は流産。純は軽傷。二人は別れた。
明日香は逮捕された。

さらに後日。
とある墓所にて、ベビーカーをひく女。
実は、森は流産していなくて、名前は山田で、本当に蒼太の娘だった。
15歳の蒼太と、高校教師だった母の間に生まれた。
母が死んで、顔を整形して芸能界に入って蒼太に会おうと思った。
そして純をひっかけた。
蒼太は娘であることを知っていて、自分の娘と友だちがくっつく・・ことが「刺激的」と言ったのだった。

話としてはこんなんだけど(長すぎ)
要は、みんなが蒼太にたいして「私が一番理解者」と思っている気持ち悪さ。
自分が犯人と名乗り出たおばさんも、
その他の菓子メーカーの従業員たちも
叔母も、
ファンも、
純も
元マネージャーも。

でも、イマドキのアイドルの沼ってここかもしれない。
「私だけは分かっているから」って思いこませたらもう、そこは沼だよね。
そう考えると蒼太はアイドルとして、純よりも向いているのかもしれない。
その性質は、若い頃に親を亡くして、親戚に預けられたというところにあるかもしれない。
きっと担任の先生もその沼にハマった一人なんだろうな。

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2026年08月08日

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ネタバレ

物語の頭に亡くなってしまう南田蒼太を中心に色々な人物の目線でお話は回っていく1冊


周りを虜にしちゃう人、いるよね
相手の欲しいが感覚で分かるような……
勘が良いような……
欲しい時に欲しい分だけ出せる人
あれって何で分かるんでしょう

だけどそういう人は、あまり対人関係で苦労しない分期待もしてないような気がします
いや、期待しないから苦労も無いのかな
ん〜。
とてもとても辿り着けない境地だし謎

南田蒼太もそんな人なんじゃないかな〜と。



そんなに周りに気を使っても
あっさり殺されちゃうじゃん
何か損じゃ無いかなぁって
俗物である私は思うのだけど。ね。





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2026年08月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごく人気だったわけでもないアイドルグループの元メンバーが解散して10年後に殺される。しかも当時あまり目立ってなかった蒼太。という設定も面白かった。

はじめは「犯人は誰なんだろう」と思って読んでいた。でも読み進めていくうちに、蒼太が亡くなったことで、それぞれの人がどう変化していくのか気になり、そしてそれぞれの人から見た「蒼太」に違和感が出てきて、最後は「蒼太」って何者なん?って思わせていく進め方が面白かった。

その人から見たその人は、本当にその人なんだろうかという感覚が、この作品を読んでいてずっと残った。

蒼太がどういう人間だったのかを説明して終わるのではなく、春子の中に何かが引き継がれたようなところで終わる。その何かが血なのか、環境なのか、性質なのかは分からない。その春子にも子どもがいるけど、どんな子どもなんだろうと思った。

イヤミスではあるけど、重たすぎず、怪異のようなものも少し混ざっていて、展開もよく進むので読みやすかった。
ミステリーとして読み進める楽しさがありながら、最後には「人間って、他人から見たら本当にその人そのものなんだろうか」と考えさせられるところが良かったです。

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2026年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「大好きな人」。
複数の登場人物の視点から語られる「南田蒼太」という一人の青年。

彼は誰にも本心を語らなかった。
誰の前でも自分を演じていた。
しかし、彼あるいは彼女にだけは本心を吐露した。
───だろうか?
「南田蒼太」は良い人を演じていたと思う。
「都合の良い人」を。
そうして愛され、結果殺された。

演じなければ殺されなかったのだろうか?
演じなければ彼は愛されなかったのだろうか?
演じることで幸福を得られたのだろうか?
南田蒼太は、殺されたくなかっただろうか。

この本には「南田蒼太」本人の視点からの物語が語られず、すべての問いの答えが伏されたまま終結してしまう。
我々が「南田蒼太」にどんな答えを出すのかを試されているような作品だった。

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2026年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルのキャッチーさ。
大好きな人、とは一体誰にとっての誰なのか。
そしてその後に続く「大好きな人、ありがとう」という不吉さ。

10年前に引退したアイドルグループの南田蒼太が滅多刺しで殺される。
章ごとに彼の周辺にいた人間たちの視点で物語が進む。

いわゆるミステリーとしてのフーダニット、ホワイダニットやハウダニットはあまり注力されない。
個人的には、「死者を取り巻く人間が抱く承認欲求」がとても描かれていると思った。
平凡な中年女性が本当は違うのに毒婦として世間に注目を浴びようとしたり、かつてのメンバーが同じグループであったことをアピールしたり、義母としてそして女としての欲求を満たしてもらおうとしていたり……。

この本にはものすごい悪人も善人も描かれない。
ただ、少し間違えたら自分もこうやって死者を利用して欲求を満たそうとするのかもしれない。
みんなが「本当のあいつを知っていたのは自分だけだ」と思っていたが、本当に知っていたのか。

結局、南田蒼太がどういう人間だったのか、なにを考えていたのかは語られない。読者は最後まで彼のことを知らないままで終わってしまう。

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2026年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

解散した元アイドルグループの一人が殺された。死んだ彼と自分どの妄想がふくらんでいく。元メンバーや伯母、自分が殺したと偽装するパートの毒婦なども現れて殺された者の姿かどんどん上書きされていく。ミステリーとしてより、欲望に駆られる心理描写が面白かった

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2026年08月11日

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