【感想・ネタバレ】暗黒の瞬間のレビュー

あらすじ

30年以上のキャリアに幕を引くことを決意した、ベルリンの刑事弁護士エーファ。凄腕で知られる彼女は、多くの忘れがたい事件を手がけてきた。11人が被告人となった裁判で1人だけ無実の者がおり、全員がそれは自分だと主張している。1人を救うため10人を無罪とすべきか。厄介だがよく議論される類の事件だと思われたが……。ひとつの証言、発見、弁護活動でその姿が一変する平凡な裁判、そして異常な裁判――。驚異の新人による、息を呑むような完璧なる連作短編ミステリ!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ドイツの作家さんはほとんど初めてかも。(ミヒャエル・エンデくらいかな)
この作家さんは法律家でもあるとあって、とにかくリアリティがすごい。
まるで自分がその事件そのものの目撃者かであるように感じさせてくれて、気づけば没入している。

内容としてはいくつかの事件にまつわる短編を読み進めるうちに、主人公エーファの暗黒の瞬間が浮き彫りになってくる、という連作短編集の構成。

ひとつひとつの物語についても考えさせられるし、全体を通してみたときにエーファの弁護士人生の暗黒の瞬間が浮き彫りになっていくところが、読みたいのに読みたくない何とも暗い気持ちにさせてくれる。
人は誰でも間違えるし、時にはとんでもない間違いをおかしてしまうこともある。裁判はその一瞬の側面を切り取って裁かなければならないのだな…と改めて重く感じたし、人間は多面的であるので悪人や善人と簡単にカテゴライズすることもできない、もどかしいところを絶妙に突いてくる本だなと。
訳者のあとがきにも似たような表現がありましたが、後半はもう流れがわかってくるので「ああ〜そっちじゃないエーファ!そっちじゃない!」ってもう見てられない状態に。
見てられないと思いつつ、読む手を止められないのが匠の技ってやつでしょうか。

一冊読み終えた頃にはすっかり人間不信になってしまったけど、なんとも言えない読後感がクセになる。
本国では続編がでているとか。絶対に読みたい!!

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2026年06月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おもしろかった!
60代の女性弁護士エーファが主人公の連作短編リーガルミステリ。
法を守り、被告人に過剰な罪を与えないようにすればその人の心まで救えるかというとそれはまた別の話なんだなと。
「正義」とはなんなのか?正しい選択をすることの難しさを考えさせられた。

どの話もよかったが、特に心に残ったのは「少年兵」、「塩」、「人食い」、「強姦」。


「正当防衛」
強盗を殺してしまった場合、正当防衛と認められるには。

「生かしておく」
人を殺してしまっても、まだ生きてると世の中に思わせることで完全犯罪とする。殺人者の冷酷さと、被害者のやるせなさ。シュテファンの件での後悔がまたひとつエーファの罪を作ってしまう。

「少年兵」
真実を語ることだけが正義なのか。嘘をつくことで救われる人もいる。

「塩」
子どもが塩をあの量食べると亡くなる可能性があることは私も知らなかった。罪を与えないことが逆に本人にとっては一番重い罪となる。

「人食い」
お互いに了承を得ていれば、自殺を助けて死後解体して食べたとしても本当に罪にならないのか。

「遺稿」
「少年兵」と似たような展開。

「強姦」
11人中1人だけが強姦に加わっていないが、そのひとりを特定しない限り全員が無罪になってしまう状況で、はたしてどうするのが正解だったのか。

「自白」
魅力的な夫が妻を庇っているかと思いきや……まさにサイコパスという感じの夫だったが、なんだか詰めが甘かった。

「シュテファン・ハインリヒ」
会社のためにやってきたことでも、最終的に邪魔な存在となれば会社から切り捨てられてしまう。
弁護士の甘い考えがどれだけの影響を与えることになるのか。

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2026年05月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

評判通り、まさに驚異の新人。今から続編が待ち遠しい。

ひとつひとつが忘れがたい。瞬発力と持続力を併せ持つ連作短編。

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2026年04月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これはすごい!!
「人が罪を犯すのは、人生における最も弱く、最も暗い瞬間です」という作者の言葉通り、人間の暗い面が描かれた法廷ミステリ。ひとつひとつの短編は短く読みやすい。早々に主人公は過去の事件を引きずっていることが示唆されつつ、彼女に何があったのか、とひきこまれる。最後円環が閉じるように幕が下ろされ、重い余韻が感じられた。

主人公エーファはときに過剰ともいえるほど真摯に事件や真実に向き合う。残虐で救いようのない事件でも、淡々と語られるのは弁護人であるエーファの視点ゆえだろう。
ウガンダ人の犯罪と彼が作り出した結末。ひとりの無実の者を救うために、十人の罪ある人間を無実にしてよいのか。事件のその先には、被害者や加害者の人生がある。白黒はっきりしないグレーの領域と後味の悪さが印象に残っている。

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2026年03月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これは今年度のベスト10にランクインするのではなかろうかと思える良作。

饒舌なシーラッハというような印象。
シーラッハと「饒舌」は相反するものだが、主人公エーファが弁護士で過去の自分の携わってきた事件を振り返っていくというスタイル、その扱ってきた事件のひとつひとつのあらましに妙にリアリティを感じる描写、そして事件のオチが醸し出すどうにも暗澹とした気持ちになる、一筋縄ではいかない人間の暗部を日の目に晒す様がそう感じさせた。

シーラッハのように切れ味鋭く、ときに不親切とも思えるほどの感覚的な文章という訳ではなく、いたって読みやすく書き込みがされているという点が「饒舌な」という印象に由来する。

とても読みやすい、でもそれぞれの物語のオチのエグさがとんでもない。
めちゃくちゃイヤミス。
変な見方すると主人公、バッドエンディング案件ばっかりだけど、本当に優秀な弁護士?とすら思ってしまう。

まだ40代だという著者。
本国では既に続編も出版されているという。
今後の活躍が楽しみな作家のひとりになった。

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2026年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ベルリンの刑事弁護士エーファが関わった9つの事件を綴った連作短編集。1話40ページ前後な上に細かくチャプター分けされてるのでテンポよくサクサク読める。ドイツが舞台なので日本の法律や司法とは違う部分があるのは仕方ないがところどころ首を捻るところがある。

基本法廷モノだが『逆転裁判』の様に「無罪判決!完全勝利イェーイ!」とはならない。逆に苦々しいビターエンドばかりだし、主人公の心に深い暗黒の影を落とした9番目の事件は紛うことなきバッドエンドである。それでも最後の最後に逆襲の一撃を喰らわせてスカッと終わり、まさに終わりよければ「すべてよし」。訳者あとがきによれば続刊が決まってるそうなので楽しみ。



【超どうでもいい超余談】
作中オランダの「スヘフェニンゲン」という地名が出てきたのでもしやと検索したら日本で弄られまくってるスケベニンゲン(Scheveningen)」だった。私の中でスケベニンゲンが出てくる小説として長く記憶に留まり続けることだろう。

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2026年07月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ドイツの法律家で作家さんとなると、真っ先にシーラッハが思い浮かんだ。あちらは淡々とした文章が魅力で、こちらも簡潔な文章ではあるものの、主人公の迷いや苦悩を感じられ、読者も思わず一緒に腹を立ててしまうような、より肉付けがされた物語となっている。

主人公の女性弁護士エーファは、刑事事件が専門。有能で世間の注目を集めるような大きな事件を担当することも。
プライベートも割いて仕事に没頭してしまうのは、昔自分の結婚式や新婚旅行で、結果を過信し、対応がおざなりになり、想定外の裁判結果に絶望した依頼人が一家心中をしてしまったから。

だが、依頼人は弁護人に真実を語るとは限らない。時には利用され、有罪の人物を無罪にしてしまうことも。またはその逆も。
短編はどれもめちゃめちゃ面白い。続編も楽しみ。

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2026年06月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

弁護士が依頼人を信じて味方にならなきゃいけないのはわかるけど、エーファが結構色んな人に嘘つかれまくってて、見抜けないのかな?って少々不安になる。私だったら人を見る目がない自分にイラつくし、こんなに護ってるのに裏切られるなんてやってられっかあ!!ってそっこー転職するなと思った。
とはいえ色々な事件の話を読んで、そりゃあ、あの時こうすれば、っていうのはいつも後になって、客観視したときに見えてくるものだよね、、とかも思った。
何よりペーターが常に味方で、側にいてくれて、なんでも相談できる存在というのが素敵だった。

★・・・面白かったな指数

①クレーバッハ★
正当防衛のフリして実際は怒りに身を任せて少年を殺害。
(エーファのうっかりレベル2)
「娘の大学のレポート書くのに手伝ってほしい」と言われて助言したが、実はそれはクレーバッハが助かる方法を教えちゃっていた。

②ラリッサ★★
マネージャーである兄のクリストフを殺害。
本は全部自分で書いたものではなく、兄のゴーストライターだっただけ。ある日兄が「やっぱ自分の名前で本出したい!」と言い出したのでキレて殺しちゃった。
(エーファのうっかりレベル3)
ラリッサに「昔、兄に虐待されてて、、」と悲劇のヒロイン演じられて信じてしまったので、自首はせず、兄を埋めなさい&行方不明ってことにしておくよう助言をしてしまう。

③オケロ(旧:デンべ)★
少年兵。
(エーファのうっかりレベル0.5)
「アサンテ生きてるかもって言ったけど死んだよ。でもそう言ってあげたらキアノさん喜ぶと思ってー」と嘘のハッピーエンドを提供しているやつだったということに気付けなかった。

④ゼルマ★★★
不倫相手が奥さんと別れて、自分と一緒に住んでくれることになったところまでは不倫の成功パターン。ただし週替わりに連れ子のキーマの相手しなくちゃいけなくて、しかもその子が結構厄介。ある日怒りがピークになった時、チョコプリンに塩かけてたキーマに「全部食べろ」と言って食べさせたら、ナトリウム中毒になって死んだ。
(エーファのうっかりレベル1)
不倫相手のパトリックはまた不倫してるだろうしクソすぎる環境の中頑張ってたゼルマだけど反省をして刑務所に行くことを望んでいたのに、エーファが無罪にしてくれて、それがゼルマには耐えられなくて家を出てどっか行っちゃった。

⑤シャンツァー★
人を食べることに憧れがあって、ネットで出会った「食べられる願望」がある人とそれを実行。
(エーファのうっかりレベル1)
確かに人を食べたけど、人殺しはしてなくて、「自らで死んだ人を食べただけなんです!」と庇い、結局執行猶予付きに持っていくことができた。
が、後日シャンツァーはまた同じようなこと繰り返すことになる。

⑥遺稿
記憶に残ってないので飛ばす。

⑦ゾフィア★★★
クラブで10人の男にたらい回しにレイプされる。
仲間の1人は途中で抜け出したためこれに加わってないことがケバブ屋の証言からもわかっているが、
男たち数人が「僕がその1人です」と言った為
ゾフィアとその母(マルティナ)が作戦に出る。
多分ケバブ屋にお金渡して嘘の証言をさせて、「10人では無く、11人全員に強姦されました、てか殺されそうになりました」という事実を作り上げる。
(これはエーファ途中で降りたのでうっかり無し。)
抜け出した1人(たぶん花婿)がかわいそうすぎた。けどこれはもう「こういう人たちとつるんでた自分が悪い」と思ってくれ。

⑧ルートヴィヒ・フリートリクセン★★
イケメン医師。母親も妻もウザいので、一緒に始末してしまおう作戦を決行する。人を騙す力に長けてる+イケメンなので色々上手く行った。
(エーファのうっかりレベル3)
おいおいおいおい。うっかりしすぎ。自白したイケメン医師を庇って、妻に違いない!と決めつけマスコミにもホラ吹いて法廷でもホラ吹いて、「これは私が作り上げた嘘です。その嘘に乗ってきたということは・・・あなたは嘘をついています!」とコナンばりに決めたのに(コナンがそんなこというのか知らんが)バッチリ犯人はルートヴィヒでした。

⑨シュテファン・ハインリヒ★
美人な奥さん持っちゃったもんだから周りに負けないように出世に必死になり、裏口座作ってロシアに賄賂したらバレた。長年会社全体でやってきたことだから助かると思いきや同僚であり友人でもある財務部長に裏切られ、もうダメだーとなり一家心中。
(エーファのうっかりレベル3)
エーファは結婚式と新婚旅行の準備で忙しかったから途中でこの件は新人に交代。まさかこんな大惨事になるとは思わず。

「すべてよし」
なにがどう「すべてよし」なのか分からないが、ルートヴィヒだけは許すまじ!となって体に携帯貼り付けて録音。それをマスコミに送る予定とのこと。

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2026年04月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公の長年の弁護士人生の中で特段の失敗エピソードだけを取り出して集めたような本。これだけ読むと余計な事しかしてないなこの人……みたいな感想になってしまうのだが、最終的にヒマワリが空を向いたのでよしとする。第七の事件は当然のことながら事件それ自体も含めて胸糞。無辜の人間が二人しか出てこないし一人は偽証罪!

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2026年08月09日

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