【感想・ネタバレ】真珠とダイヤモンド(上)【毎日文庫】のレビュー

あらすじ

バブルに呑まれた
女たちの〈青春残酷物語〉
実態なき熱狂の裏側を抉る傑作長編!

日本にバブルの兆しが見え始めた頃、二人の女が福岡・博多の証券会社で出会った。貧しい家庭に生まれ育った二人は、それぞれ2年後に東京に出て暮らす夢を温めていた。美貌の佳那は男に夢を託しマネーゲームに身を投じ、生真面目な水矢子は、自力で脱出し、大学進学をかなえようとするが......。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

桐野夏生さん大好き。間違いなく、絶対に面白い。
本書は、バブル前夜、証券会社に就職した若い3人の物語。
社会の不合理をありのまま描いている印象です。
彼らの証券会社は、昔ながらの男尊女卑社会で、総合職の女性もただのお飾り。男性社員の結婚相手として入社させた、という程度の存在。ましてや短大卒や高卒は一人前の労働力として認識されない。学歴や容姿でランク付けされる。
男たちは、早朝から深夜まで、ひたすら競争させられ、営業成績を上げるように叱咤激励され、先輩からいびられる。男性営業マンも、出自や学歴であからさまに差別される。

そんな社会で、主人公の3人は、なんとか恵まれない環境から抜け出そうとそれぞれのやり方で踏ん張っていて、全員すごくクセがある人物なのだが、心から応援したくなる。なんとか頑張って、幸せをつかんでほしいと思ってしまう。
本当は賢く、大学に行きたかったのに母子家庭で貧しかったため高卒で証券会社に入社した水矢子。堅実に働いて、コツコツとお金をため、自力で大学受験してアル中の母から逃れ、東京に行こうと頑張っている。冷静に自分の会社のおかしさを見つめている。
短大卒で、男性と対等に働きたいと思っているしその能力もある佳那。周りに流されず、強い意志をもって頑張ろうとするが、しょせん女性は最初から戦力と思われていないので、空回りするばかり。彼女も、田舎の出身でお金がなく、つつましく暮らしており、バブルの波にのって派手に生活している人たちからは見下されている。
そして同じく田舎の無名の大学出の男性社員、望月。望月はなんとしても営業成績を上げて上り詰めるのだと意気込み、あらゆる手段を使って営業する。危なっかしくてハラハラする。でも、応援したくなる。
そして危ない橋を渡りつつ、徐々に株で儲けて成功を重ねていくのだが、なにせ読者は、バブルがすぐに崩壊することを知っているので、そこまでにしときなよ~。欲を出しちゃだめだよ~。と怖くてしょうがない。
唯一堅実で、危ない橋を渡ろうとしない水矢子がいるから彼女だけは世の中の熱に浮かされず、そのまま堅実にやっていきなよ~。と祈るような気持ちで上巻が終了。
まだまだ、望月は上昇気流に乗っている。

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2026年03月19日

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