あらすじ
日経ビジネスの大人気連載「経営教室」の書籍化シリーズ。
故小倉昌男氏が1976年に始めた「宅急便」。消費者の利便性を劇的に向上させたのはもちろんのこと、 通販業界など新たな産業を生み落とす原動力になるなど産業史に残るイノベーションだったと言える。 なぜヤマト運輸と小倉氏は宅急便という新市場を作り上げることができたのか――。 未来の市場を作り出す秘訣を木川眞社長が指南する。
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Posted by ブクログ
和製サービス・イノベーションといえば、ヤマト運輸。小倉氏が残した言葉を軸として、その要諦がまとめられている。
文章は語り口調だが、コンセプトをイラストで説明してくれているので、さらっと全体像を理解できるのではないか。
問:ヤマト運輸はなぜ顧客に選ばれるNo.1になれたのか
解:需要創出サイクルをつくり続けたから
①オンリーワンの商品を生み出す
②ライバルの参入を受け入れ、競争環境を生み出す
③拡大する市場の中で圧倒的なナンバーワンになる
④最終的にデファクトスタンダード(事実上の標準)となる(拡大した市場でさらなるオンリーワンを生む)
問:どのようにオンリーワン商品が生まれるのか
解:「困っているけど解決策がない」「あきらめている」というお客様の声を探る(送り手の困りごと→受け手の困りごと→現在はそのミックス)
問:オンリーワン商品を生み出すポイントは
解:「サービスが先、利益は後」
①プッシュ型ではなくプル型(ニーズを手繰り寄せる)
②狙いを絞り込む(潜在需要が見えたら対象とするセグメントを絞り込む)
③利益を先取りしない(サービス開始当初から利益を確保しようとせず、価格設定は利用者目線で。需要を拡大し利益を後で得る)
問:需要創出を持続するためにはなにが大事か
解:
①オンリーワン商品を生み出す(市場が成長している段階では、商品単体の機能を差別化することで競争に勝つ)
②“土俵”を変える(市場が成熟し、商品の機能だけで差別化が難しくなったら、機能を組み合わて戦う土俵を変える)
③なくてはならないプラットフォームになる(過疎地の高齢者御用聞きプラットフォーム、BtoBプラットフォームなど。重要なのは、役割や利益を独り占めしないこと。土台であり黒子であって主役ではないが、ヤマトと組まないとプラットフォームを使うことができない、という存在をめざす)
なによりも、最終講で働く人々のハートが全てのサービスの原動力としている点がヤマトらしい。「サービス・プロフィット・チェーン」の概念でも言われていることだが、ヤマトが日本の実践モデルであることは疑いがないだろう。
Posted by ブクログ
困っているけれども解決策がない、仕方ないと諦めていること。
ここに「オンリーワン」へのヒントがある。
セグメントを絞り込めば、ニッチであるけれども、独自性を出せる。オンリーワン商品になる。
機能を越える「仕組み」でナンバーワンを維持。
それが「デファクトスタンダード」への一歩になる。
デファクトスタンダードの立場を生かして、より一段上の「プラットフォーム」を構築する。
プラットフォームビジネスの鉄則 「独り占めをしない」
「品質」「コスト」「スピード」の足し算でお客様に付加価値を与えることができたが、多様化するニーズに対応するには、すべてを掛け算で考えなければならない。
改革を根底で支える人づくりの仕組み。
ワンワードの単語で現場にメッセージを伝える。言葉と同時に行動で示す。