和製サービス・イノベーションといえば、ヤマト運輸。小倉氏が残した言葉を軸として、その要諦がまとめられている。
文章は語り口調だが、コンセプトをイラストで説明してくれているので、さらっと全体像を理解できるのではないか。
問:ヤマト運輸はなぜ顧客に選ばれるNo.1になれたのか
解:需要創出サイクルを
...続きを読むつくり続けたから
①オンリーワンの商品を生み出す
②ライバルの参入を受け入れ、競争環境を生み出す
③拡大する市場の中で圧倒的なナンバーワンになる
④最終的にデファクトスタンダード(事実上の標準)となる(拡大した市場でさらなるオンリーワンを生む)
問:どのようにオンリーワン商品が生まれるのか
解:「困っているけど解決策がない」「あきらめている」というお客様の声を探る(送り手の困りごと→受け手の困りごと→現在はそのミックス)
問:オンリーワン商品を生み出すポイントは
解:「サービスが先、利益は後」
①プッシュ型ではなくプル型(ニーズを手繰り寄せる)
②狙いを絞り込む(潜在需要が見えたら対象とするセグメントを絞り込む)
③利益を先取りしない(サービス開始当初から利益を確保しようとせず、価格設定は利用者目線で。需要を拡大し利益を後で得る)
問:需要創出を持続するためにはなにが大事か
解:
①オンリーワン商品を生み出す(市場が成長している段階では、商品単体の機能を差別化することで競争に勝つ)
②“土俵”を変える(市場が成熟し、商品の機能だけで差別化が難しくなったら、機能を組み合わて戦う土俵を変える)
③なくてはならないプラットフォームになる(過疎地の高齢者御用聞きプラットフォーム、BtoBプラットフォームなど。重要なのは、役割や利益を独り占めしないこと。土台であり黒子であって主役ではないが、ヤマトと組まないとプラットフォームを使うことができない、という存在をめざす)
なによりも、最終講で働く人々のハートが全てのサービスの原動力としている点がヤマトらしい。「サービス・プロフィット・チェーン」の概念でも言われていることだが、ヤマトが日本の実践モデルであることは疑いがないだろう。