あらすじ
美大の同級生だった陽向、瑠璃、未緒、乙羽。四人展を開催するくらい仲が良かったが、卒業後に現れた男の存在が関係を歪ませる。久しぶりの再会の場となった瑠璃の結婚式で明かされた、六年前に大学で起きた事件の真相とその罪とは。ギャラリーストーカー、セクハラ、アカハラなど、美術業界の闇とタブーを炙り出す衝撃作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
初読みの作家さん。
連作短篇。陽向は美大の時の友達、瑠璃の結婚式の二次会に招かれて、仲間だった乙羽、未緒、千奈と会う。瑠璃は絵から離れて玉の輿に乗ったようだ。現在無職の陽向は学生の頃にあった赤い扉の謎を推理する…
第一話 六年前の赤い扉(陽向視点)
第二話 純白の誓いの後で(瑠璃視点)
第三話 瑠璃色のプレゼント(未緒視点)
第四話 瞳を緑色に染めて(叶恵視点)
第五話 暗い海に射す青は(陽向視点)
で構成される。第一話は陽向の性別をミスリードしているのかな、と感じた。第二話と第三話でギャラリーストーカーというものが出てくる。そんなものがいるのか、と驚いた。現在のイラストレーターの事情に詳しいわけではないので、パトロンが現在にもたくさんいるのかどうか、分からないが、Instagramには自分の作品を売り込む動画が溢れるほど流れているから、いるところにはいるのだろう。絵師と呼ばれる人がXで話題になっていたこともあったし。
個人的にはこのような女性グループのごちゃごちゃした感情の小説は好きな方だ。自分の立ち位置はどの人に似ているかな、なんて考えるのも好きだ。しかしこの小説の中には自分に似たと思えるものはなかったな。やはり業界が特殊だからだろうか。
叶恵よりも怖いと感じたのは乙羽だ。そう思ったのは私だけではないと思う。こんな友人いたら精神的疲労が酷そう。
陽向がのめり込んだ絵本と思われる(参考文献にも書かれていた)酒井駒子さん絵の「赤いろうそくと人魚」。私も大好きな絵だ。哀しい話だから子どもに何度も読み聞かせよう、とは思わないのだけれど、凄く印象に残る絵だった。
Posted by ブクログ
美大の同級生、陽向、瑠璃、美緒、乙羽が瑠璃の結婚式で久しぶりに再会し、過去の事件の真相が露わになっていく連作ミステリ。
第1話から第5話まで、それぞれの謎の真相がわかっていく中で、全体像が見えていくのが、パズルのピースがはまっていくようで気持ちが良かった。
帯にある「どんでん返し」というほどではないけれど、気になることはすべて解決するので、読後感もスッキリで心地よかった。
ギャラリーストーカー、アカハラ、盗作についても描かれている。
ハラスメント行為や第三者による二次被害が無自覚に、なんなら正当だとすら思って行われていることに恐怖や苛立ちを感じると同時に、自分にも無自覚に相手を傷つけているかもしれない、という怖さも感じた。
立場を利用して搾取しようとする人はどこにでもいる。
そういう人に凛として拒否・提言できる人でありたいし、無自覚という免罪符を亡くしていきたいと思った。