【感想・ネタバレ】雁(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

貧窮のうちに無邪気に育ったお玉は、結婚に失敗して自殺をはかるが果さず、高利貸しの末造に望まれてその妾になる。女中と二人暮しのお玉は大学生の岡田を知り、しだいに思慕の情をつのらせるが、偶然の重なりから二人は結ばれずに終る……。極めて市井的な一女性の自我の目ざめとその挫折を岡田の友人である「僕」の回想形式をとり、一種のくすんだ哀愁味の中に描く名作である。(解説・竹盛天雄)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

もう20年以上前、読書の楽しさを教えてくれた本。
文体が、鴎外の他の作品と比べて読みやすかった。

親を助けるために成金の愛人となった『お玉』と、スポーツも勉強も優秀で、将来を約束された男子学生『岡田』。対照的な二人の登場人物の繊細な心の通い合いを描いています。

鴎外のすごさって、女性の心理描写にあると思っています。
当時20歳そこそこの私が、「お玉の気持ち、めちゃくちゃわかる!」「そうそう、こんな時はこう思っちゃうよね~」と、共感しまくりながら読み進めました。
医者としても文化人としても超一流の鴎外。普通に考えると、女性の細やかな心の動きなんて想像もつかないんじゃない?と思ってしまいますが、全く違いました。

最後のシーンで、お玉が気持ちを伝えられず、岡田と別々の人生を歩む展開も良かった。読んでいて切なさ、悲しさを感じながらも、リアリティを感じ、ストンと落ちてくるものがありました。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

個人的に非常に好みだった。末蔵の妻と妾に対する二面性やお玉の自我の芽生などが印象的であった。自我の芽生によってお玉は末蔵に対してのあしらい方を覚え、学生岡田に対する思慕を募らせる。岡田も満更ではないようであるが、何も起こることはなく2人は他人のまま終わるのである。この結末から鴎外が小説をロマンティックな展開を乗せつつあくまで現実に寄せていく、平凡に終わるように仕向けていると考えることができる。小説とはフィクションとノンフィクションを混ぜることで面白さが見えるからだろうか。

視点が岡田やお玉、末蔵ではなく岡田の友人の視点で語られることも非常に面白い。物語をただ当事者に語らせるのではなくなんらかを通して読者に伝えることで物語に深みが生まれる。今回はそれが岡田の友人だったのだろう。また、恋愛事情を第三者から見ることで、盲目ではないクリアーな描写ができているのではないか。最後のお玉の様子などは、又聞きしたものではなく、友人本人が見た様子である。こういった細かな描写が小説を作っているのだろう。

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2020年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一年ぶり、「ヰタ・セクスアリス」ぶりの森鴎外
運命の悪戯。偶然の積み重ねによって岡田とお玉は結ばれることはなく、、、
けれどこれで良かったのではと考えることもできる。岡田は洋行が決まっていたから、せっかく結ばれたとしても又離れ離れになってしまう恐れがあるから。
語り手として話を進める僕の心情が推測される。彼は何を思ってこれを記述したのだろうか。「しかしそれより以上の事は雁と云う物語の範囲外にある。」

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2022年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後まで冷や冷やして読みました。
女は強い。強くなるから美しくもなるのだなと思った。
初めての恋は失敗だったかもしれないけど、あの後もきっといい出会いがあって、お玉は自分らしい人生を過ごしたと信じたい。

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2020年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

直接言葉にしなくても、目と目を合わせただけで情熱的な恋ができた時代なんだな。
物悲しい読後感がなんとも言えない。

「僕」とお玉が相識になったきっかけと、その間柄について読者が興味を示すことを想定して、最後「読者は無用の憶測をせぬが好い」という文章で締めるところが粋である。

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2015年01月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1回目の結婚も2回目の結婚も本妻にはなれず、妾や2番目の立ち位置にしかなれなかったお玉が医学生の岡田と出会い、運命を感じるが、いざ一歩踏み出そうとしたところで些細な偶然によって恋は燃え上がることなくしぼんでしまう…

お玉の自分は「自分は生娘だったころより美しくはなっても醜くはなってない」と言い聞かせる姿に哀愁を感じる。

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2019年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

家が貧しく老父を抱えた娘が高利貸しの情婦にされるも、医学生と秘められた淡い恋情を交わす。しかし、医学生は洋行し別れが…という悲恋を第三者の目から観察した一作。鴎外はやはり「舞姫」がいいな。

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2014年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短いので手軽に読めます。
高利貸の妾お玉と医学生岡田の淡く若い恋を描いた作品……なんて表面をなぞればなんてことのない物語にしか聞こえないですが、無駄のない文章と行間に見える美しさ、人間臭さが味わい深く、クセになります。

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2014年02月25日

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