あらすじ
きみを守ることが罪なのか――。攫われた巫女エスタの捜索を、従者リルとともに続ける騎士団長レルファン。その間も、王宮では王位継承者を狙った毒殺事件が相次ぎ、レルファンはその対応にも追われていた。掴んでは消える解決への糸口。やがて二つの事件が交錯し、王国の歴史と神話に秘められた暗部が明らかになっていく。大いなる陰謀に巻き込まれた、レルファンとエスタの運命は……。深い余韻を残す王宮ロマンス、万感の終幕。文庫書き下ろし。
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Posted by ブクログ
な、なんだよ、これ……。結局誰も幸せになってないじゃないか……。なんでこんなものを私に読ませるんだよ。やめてくれ、これ以上は泣いてしまいます。
ミステリー要素はあるものの本格的なミステリーってわけじゃないからイヤミスとは言えないし、実際そこまで後味が悪い結末ということでもないんだよなぁ。もちろん報われなかった感は強いんだけど、嫌悪感はそこまで抱かないというか。結局、全部手遅れだったというのが虚しさを助長させてるのかもしれんね。
ベタベタした恋愛モノはあんまり好きではないんだけど、この作品にはそういった描写がそんなになかったのが良かったね。二人の馴れ初めは上巻にあったけど、静かに歩み寄ってる感じで言葉では多く語らずに心と心の交流をト書きで表現されているのが良きでした。
激情的で表面にいろいろ出すぎるのは甘ったるくて全身が痒くなってくるのよ。
下巻では上巻で起こった数々の事件の謎について、その真相が明かされるんだけど、さらに事件が発生し、新たな謎が加わる中で、それらが収束し始めるのはかなりの後半。本当にこれはキレイなかたちで物語を畳めるのだろうかと不安になるくらいの残りのページ数。ハラハラドキドキ。さてどうなることやら……。
……そんなのってないよ、こんなの絶対おかしいよ!
どこかでヒロインが言っていた「神は我らに手を差し伸べはしない」この言葉にこの作品のすべてが集約されていると言っても過言ではないだろう。
みなさん、読む際はお覚悟を。でも間違いなくおもしろいよ。
Posted by ブクログ
不穏な終わり方をしていた上巻の更に上をいく漆黒シリアス展開であり、終盤までエスタの行方が知れず……というミステリー色が強めのストーリーだった。
ミステリーの観点から言うと、サブタイトル「神々の食前酒」の真実がエスタ誘拐に関わるものであり、終盤でようやく明らかになるエスタの決意が悲壮で涙なしには読めない。
個人的な推しである男装女子リルが最後まで活躍してくれて嬉しかった!
レルファンに対して抱く気持ちの変化が尊すぎる。
上巻では恋心として描かれていた気持ちが、下巻のエスタ救出作戦前ではかなり昇華されて「好いた人の幸せのために戦えるのが自分の幸せ」と思っている。その手前の市場に出かけるシーンでも、途中でエスタに繋がる手がかりを見つけてせっかくのお出かけが台無しになっても文句一つ言わず従者としての責を果たしてくれている。
上巻での健気で献身的なキャラクターに磨きがかかっており、恋愛感情を抱きながらも覚悟を決めて行動で忠誠を示してくれる聖人っぷり。読者が好きにならない訳がない。
エスタが死の直前にレルファンと言葉を交わし、愛を認め合いつつ息を引き取るシーンが泣ける。
ラストはレルファンとリルで世界を巡る旅に出たのだと思うが、想像が膨らむラストで印象深かった。
世間にはレルファンとエスタの恋愛話が囁かれている一方で、レルファンとリルは単なる主従関係を超えた信頼関係で結ばれている。レルファンはリルに対して約束した「人としての幸せ」を与えつつも、エスタの忘れ形見として何らかの情を持つようになってもおかしくはないと感じた(読者によっては、エスタへの愛を生涯貫いたとみる人もいるだろうけど)。
Posted by ブクログ
ファンタジーだけど町田そのこさんていうかんじ笑
結局誰も幸せになってない気が...
リルとレルファンが幸せになってくれたらな。
ファンタジーというかミステリーも入った話でした。
ハッピーエンドが好きな人は
うーーーんてなるかも(⊙⊙⊙)
Posted by ブクログ
王族毒殺ミステリは宮廷内闘争も含めて面白かった。王位継承権のない王女が何故狙われたのか。これまで毒殺された王族は何故いなかったのか。その辺りで物語に引き込まれた。
正直それまでは時間軸が入り乱れるのが気になって物語に入り込み辛いと感じていた。差し込まれる過去の恋愛パートもローティーンの頃に読んだ少女小説を思い出すようで最初は良かったのだが、あまりにぶつ切り過ぎる上に並行して進む現在パートとリンクする要素もなく、冒頭の酒場パートには戻って来る気配がないし、何でこんな構成にしたのかなと疑問がよぎった。だが王族毒殺が起きて下巻パートに突入すると時間軸も統一されて読みやすくなった。
恋愛パートについては何とも言い難い。まずずっとリルが不憫だった。実はヒロインの妹でした、なんてキツい真実だなと。ヒロインを無事救い出せたとしても、その後立場の差に苦しめられるんじゃないかとリルの幸せな未来を思い描けなかった。出生の真実もハードだったし、本人が健気な分、不憫さが募った。一方で主人公のレルファンは魅力的な要素も大いにあるのだけれど、ちょいちょい一方的で無粋なところがあり微妙に引っ掛かりを覚える。ヒロインと一線を越えていたという事実も何なら腹立たしく思ってしまった。プラトニックだったのなら諦めたのも受け入れられたのだが、神妃と分かってて手を出したのに、逃げるかどうかの選択をヒロインに一任したのかよと。お腹の子はおそらく毒の耐性が無かったのだろう。血が止まらず衰弱したのも流産、ひいては妊娠のせいと考えると遣る瀬ない。妊娠の偶然を責めるのはさすがに行き過ぎかも知れないが、レルファンは遊び人だっただけに妊娠するリスクを弁えていても良い筈だと思うとやっぱり少々許せない気持ちが湧いてくる。そんな感じでレルファンの株がじりじり下がって行ったのが残念だった。
悲恋で終わった事に関しては特に不満はない。むしろ余韻となって、ハッピーエンドより物語としては強く印象に残る形になったと思う。
また作者の作品の「月とアマリリス」では本筋とは関係なく女性に関する作者の主張をねじ込むように語られていた事にあまり良い印象を受けなかった。本筋は面白いのにそういう作者さんなのか…と身構えていた分、本作ではそう言う事がなかったのが良かった。
Posted by ブクログ
勝手にハッピーな結末を予想しながら下巻を読み始めた。終盤にやっとのことでエスタにたどりついたのだが…。
悲しいことがたくさん起こったが、エスタとレルファンが再開出来て心を通わせられたのが救いだった。
Posted by ブクログ
町田さんがファンタジー?と思ったけれど、やはり上手い方は何を書いても面白い
甘々かと思いきや、色々とエグ味の有る展開と甘くないラストが、この人らしい
悲しさ故に心に残る...。
ハヤディール戀記、読了しました。
悲しい結末ではありましたが、魅力的な登場人物、国、信仰等、様々な要素が絡み合い、とても読み応えがありました。
文末で本作の舞台が、既に歴史の彼方に消え去っていることが、得も知れぬ余韻となっています...。
友人から勧められて、初めて町田その子先生の作品に触れました。
折を見て、他の作品を読んでみたいです。
Posted by ブクログ
(上巻より)
それと、ファンタジーにも許容範囲というものがある。
人によるとは思うが、
人間の姿から麒麟や三本足の烏となる、
指輪をはめると姿が見えなくなる、
写した文字が魔法の力を持つは、受け入れられる。
(ちなみに、衣装箪笥の奥が異世界につながってるのはどうかと思っている)
だが、切り落とした腕が生える、
首を切り落とされた胴体から頭部が生えるは、
許与範囲を超えていた。
そして、騎士団長と巫女、そして、巫女の妹、
国王の従兄弟と第二妃と誰の戀愛も悲しい終わりを迎えているところが、
何より受け入れることができなかったのだと思う。