【感想・ネタバレ】山椒大夫・高瀬舟のレビュー

あらすじ

人買いのために引離された母と姉弟の受難を通して、犠牲の意味を問う『山椒大夫』、弟殺しの罪で島流しにされてゆく男とそれを護送する同心との会話から安楽死の問題をみつめた『高瀬舟』。滞欧生活で学んだことを振返りつつ、思想的な立場を静かに語って鴎外の世界観、人生観をうかがうのに不可欠な『妄想』、ほかに『興津弥五右衛門の遺書』『最後の一句』など全12編を収録する。

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Posted by ブクログ

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高瀬舟の感想を。

凄く良い。
安楽死や尊厳死について深く考えられる。
現在の日本では、安楽死という制度は認められていないが、スイスなどでは、シロップのようなものを飲むことで安楽死ができると聞いた。
日に日に身近な存在になっていると思う。
現代の人たちは医療技術の発展が進むにつれて人は死を忘れていっている。どこか遠いものだと思い込んでいる。
でも身近な所に死は存在し、死に苦しんでいる人もたくさんいる。
そんなことを感じさせた。

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2025年08月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表題作2作のほかでは「カズイスチカ」が印象に残った。
語り手である医師(花房学士)は、先輩医師である自分の父親(翁)を観察して以下のように述べる。

「翁は病人を見ている間は、全幅の精神を以て病人を見ている。そしてその病人が軽かろうが、重かろうが、鼻風だろうが必死の病だろうが、同じ態度でこれに対している。盆栽をもてあそんで(当コメント者注:実際に使用されている漢字に変換できず)いる時もその通りである。茶を啜っている時もその通りである。」(P.34)
「そのうち、熊沢番山(当コメント者注:番は実際の漢字に変換できず)の書いたものを読んでいると、志を得て天下国家を事とするのも道を行うのであるが、平生顔を洗ったり髪をくしけずったり(同上、漢字変換できず)するのも道を行うのであるという意味の事が書いてあった。花房はそれを見て、父の平生を考えて見ると、自分が遠い向うに或物を望んで、目前の事を好い加減に済ませて行くのに反して、父はつまらない日常の事にも全幅の精神を傾注しているということに気が附いた。宿場の医者たるに安んじている父のrésignation(コメント者注:P.275注より「諦念」)」の態度が、有道者の面目に近いということが、朧気ながら見えて来た。」(P.35)

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

[山椒大夫感想]
この物語は私が文学に求めている人間の本質の姿には深く迫らず、家族愛がメインで書かれていたので、あまり私にはしっくり来なかった。

人買いに買われ、その生活は非常に私の同情の念を引き起こした。弟や姉もいつかこの生活を脱したいと言う共通認識があったと見え、脱走に至ったのだと思う。姉が犠牲になるために、入水自殺したのは、一緒に脱走する仲間としてやってきた弟にとっては耐え難いものであったと思う。その犠牲を無駄にしまいと、弟が出世を果たし、最終的には生き別れた母に会った。だが、その感動の再会も母が老いぼれており、再会の中にも一抹の寂寞な感じがあった。

私も私のために身を粉にしてくれた人に対して、自分が何か報いを受けたり、生きていれば相手に恩恵を与えたりしたいものだと思った。ペシミズム全開の純文学を求めている私であるが、どこか考えさせられるところがあった。

[高瀬舟感想]
喜助が弟を殺したのは、果たして罪なのだろうか?読み終わってこのような問が浮かんだ。

私は病気で人生遠回りしてきた身なので、この話に出てくる安楽死は擁護派だ。私は罪だとは思わない。苦しかったら、死ぬという選択肢もありだとは思う。生というのは、汚濁しきったこの世の中で揉まれながら悶え苦しむことだと思うので、ましてや病気持ちであればより一層辛いと思う。

死についてもかんがえてみた。死とは名誉と屈辱の終着駅、すなわち歴史上の人物でない限り、死んだら名誉も恥も語り継がれなくなるということは以前から悟っていた。だが、それと同時に恒常的な自己意識の虚無の始発駅、すなわち死んだら永遠に意識は戻らず、その意識は輪廻転生先にも受け継がれない(中には前世の記憶を覚えている人もいるらしいが)とも悟った。苦しいという意識がなくなるのだから、場合によっては死は救済の一面もあるということを再認識させられた。

私の死生観はまだまだ発展途上なので、これからも色んな文学の作品に触れて、死生観をアップデートさせていきたい。皆さんの死生観も聞きたいところだ

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2024年12月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2021/07/04
感想)庄兵衛の心の動きが自分と同じだった。喜助の境遇に同情し、判決に疑問を覚えるも、自分の力ではどうにもできないのを悟り、聞くだけ聞いてそのまま送り出すところ。喜助に対して何となく罪悪感を覚えた。
残す'庄兵衛はただ漠然と、人の一生というような事を思ってみた。人は身に病があると、この病がなかったらと思う。その日その日の食がないと、食ってゆかれたらと思う。万一の時に備えるたくわえがないと、少しでもたくわえがあったらと思う。たくわえがあっても、またそのたくわえがもっと多かったらと思う。かくのごとくに先から先へと考えてみれば、人はどこまで行って踏み止まることができるものやらわからない。それを今目の前で踏み止まって見せてくれるのがこの喜助だと、庄兵衛は気がついた。

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2021年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中学生の授業で初めて読んだけど、
話の意味が分かれば、めっちゃ意味が
分かるし、高瀬舟は本当に主人公が
悪人か善人なのかどっちだ〜‼️

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2020年07月27日

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