あらすじ
エヌ博士の研究室を襲った強盗。金のもうかる薬を盗んだのはよかったけれど……。女性アレルギーの名探偵のもとに届いた大きな箱。その箱の中に入っていたものは……。別荘で休暇を過すエヌ氏のもとに、突然かかってきた電話。なんとその電話は江戸時代の霊魂からだった……。卓抜なアイデアと奇想天外なユーモアで、不思議な世界にあなたを招待するショートショート31編。
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Posted by ブクログ
星新一といえば、登場人物の代表は「エヌ氏」
同一の人物ではなく全て別人。
「エヌ氏」は星新一作品の一割以上の130作品に登場するそうだ。
この本のタイトルに「エヌ氏」が入っているが、エフ氏やエム氏も出てくるし、「エヌ氏の遊園地」という作品もない。
星新一氏の作品は1000以上あるが、1割強しか「エヌ氏」が登場しないのは思ったより少ない。
残りの900は、「エヌ氏」以外が主人公ということになる。
調べてみようと思ったら「星新一作品登場人物索引」という本を見つけた。
読んだら別途レビューします。
さて、本書の作品も相変わらず古さを感じさせない内容が満載だ。
詐欺にあったエヌ氏が落ち込んでいると、詐欺師を探し出すと言う探偵社がやって来る。
被害者の弱みに付け込む手口は、現在も実社会で行われており、昔から変わらないのだなと思った。
星氏は時事風俗に関連することは書かないようにして、作品の永続性を保つようにしている。
本書の作品も、新幹線が開通し、ビートルズ人気が上昇し、エレキギターが若者に流行った時に書かれている。
ベトナム戦争や、中国の文化大革命がはじまり、日本の総理が佐藤栄作だった頃だ。
社会背景を書かないので、今読んでも社会が変わったことによる古臭さを感じることがないのだ。
人間の思考や行動はあまり変わらないようで、人の愚かさをおちょくったオチは今でも通用する。
一つ、大金をため込んでいる老人の金庫を狙った悪党の話をネタバレで紹介する。
その金庫は、ダイヤル式で番号を合わせた後、カギを鍵穴に差し込み一回転することで扉が開く仕組みだ。
悪党は老人に自白剤を飲ませ、ダイヤル番号とカギの場所を聞き出す。
後日、犯行に至るが、ダイヤル番号もカギも間違っていないのに、金庫の扉が開かない。
老人が金庫にカギをかけるのを忘れていた(悪党がカギをかけちゃった)というオチでした。
Posted by ブクログ
星新一さんの作品は、新潮文庫のプレミアムカバーで販売される度に読んでいる。
作品によって似てるシーンもあるが、どの話も新鮮さがあり面白い。
いつもは宇宙の話やSF系が多いイメージだったが、今回は犯罪系が多かったイメージ。