【感想・ネタバレ】新しい花が咲く―ぼんぼん彩句―(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

寿退社後に婚約破棄されたアツコが、行く当てもなく乗り込んだ路線バスの終点で見たもの。学級閉鎖で留守番中のアタル君が巻き込まれた不可思議な事件。自殺同然の事故で兄を亡くした妹が、偶然出会った女子中学生。俳句から着想を得て生まれた物語は、十七音の枠を超え、色彩豊かな無限の世界へ広がってゆく。人生の機微を掬い取るように描く、怖くて、切なくて、涙を誘う、極上の短編集。(解説・倉阪鬼一郎)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

リアル本にて。
コーチャンフォー若葉台店にて、ランキング1位で短編集だったので、気楽に読めるかなーと購入。
「異国より訪れし婿墓洗う」における主人公、琴子の気持ちが沁みる。琴子は夫を病気でなくしている。しかし、近年見つかった治療法を使えばらもしかしたら回復していたかもしれない。家族の事情、本人の信条などが絡んで、その治療法は使わなかった。なんとかそのことに折り合いを付けようと生活している矢先に、夫の墓参りでその治療法をうけて回復したご近所さんと邂逅する。しかもそのご近所さんは、その治療法を使わなかったことを影でバカにしていた。当然琴子は腸が煮えくり返っているが、その治療法に副作用が見つかることを祈ることで、なんとか心を保っている。。。
どうしようもないことばかりの世の中で、自分が選べなかった選択肢に思いを馳せ、自分が選んだ選択肢をなんとか正当化しようとする。こんなとき、自分の乏しい記憶力がありがたい。いや、忘れるスキルが高くて良かった。
後書きに、この本ができるまでの話が書かれていて、驚いた。著者が立ち上げた句会のメンバーが詠んだ句をタイトルとした短 編小説を書き下ろし、集めたものだという。直接関係するわけではないが、緩く世界観を共にする短編たちのつながりに得心するとともに、著者の感受性と想像力にただたただ舌を巻いた。言葉が豊かになると、そんなことまでできるのか。。。

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2026年01月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

再読。12の俳句とそこから生み出された12の短編集。俳句の世界に寄り添うものもあれば、あらぬ方向に飛躍していくものもある。コワさあり、ほっこりあり、しんみりありと宮部さんの世界が多様に広がっていくのが楽しい。これも続編ありそうですね。宮部さん、閉じていないシリーズものが多くていつも新作を待ち望んでいます。

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2025年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

俳句に着想を得た短編12本。いやー、さすが、と、私などがいう相手でもないのは百も承知ですが、さすがです。どの話も、すっと入っていけて、読後に余韻を残す。この短さで、驚きもある。二話目がすごかった。夫の家族に違和感を抱いている妻→夫の妹→夫の部下→夫の母、と、視点が移り替わり、最後、妻の抱いていた違和感の、大きなひっくり返しがある。以下、簡潔にまとめる。

①結婚式間際で、婚約破棄された女がバスに揺られ、植物園に行く。
②事故で亡くなった中学時代の同級生を思い続けている夫とその家族。
③ぬいぐるみ製作にいそしむ少年と、マンションのロビーで、とつぜん行われたチャリティバザー。
④娘が夫に裏切られていることを、偶然知ってしまう母。
⑤永遠の命を手に入れられる世界で、治療よりも、娘の幸せを優先した夫婦。
⑥姉にできた初めての彼氏は、人間の皮を被った化け物だった。
⑦冬になっても枯れないゴーヤの裏に隠してあった、妻の本音。
⑧一族の中で嫌われていた次女に訪れたサプライズ。
⑨引っ越した家から見える丘で、小学生の少年が、行方不明の子供の持ち物を見つける。
⑩彼氏の仲間に拉致され、連れてこられた廃病院で、幽霊と出会う。
⑪野辺送り中に会った少女と、兄の死の真相。
⑫とある家族の、定点観測(会話のみ)

②と⑪が、男の歪んだ恋愛感情を描いたもの。①③④は男の裏切り。⑥⑩は、ヤバい彼氏。⑪の、妹が電話をしようとしていた理由の種明かしが、想像がつかず、よかった。

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2026年02月06日

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