あらすじ
アンドロメダ方面を発信源とする謎の有意信号が発見された。分析の結果、JAXAの野嶋と弥生はそれが恒星間測位システムの信号であり、異星人の探査機が地球に向かっていることを確信する――静かなるファーストコンタクトがもたらした壮大なビジョンを描く表題作、一人の女子大生の思いつきが大気圏外への道を拓く「大風呂敷と蜘蛛の糸」ほか全5篇を収録。宇宙開発の現状と真正面から斬り結んだ、野尻宇宙SFの精髄。
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Posted by ブクログ
非常に面白く読みました。
かなりマニアックに描かれていました。
ラストで想像を膨らませつつ、ワクワクする感じが忘れられません。 素晴らしい作品でした。
Posted by ブクログ
・沈黙のフライバイ
エイリアンは人間の価値観では計れない。「私たち」ならそうするからと、求めるアクションを引き出すための要因が求めたリアクションを引き起こすとは限らない。
印象に残ったのはこの言葉。
「もしかして地球人って、銀河有数のおしゃべりなのかなあ」───pg.49
・轍の先にあるもの
ある探査機のボーナスミッションで得られた小惑星エロスの写真によって、ある作家がこの惑星の虜となる話。
ここに映っているのは小さな部屋ほどの世界なのだ。───pg.58
という一文に感動する。その小さな写真から様々な事実や謎が見出される。
・片道切符
爆破犯は宇宙飛行士だろと思ってたらやっぱりの展開。思い切り良すぎはしないかと思うが、夫婦同士の上長年火星を熱望して来たなら無理もないか。しかし無謀だ。
・ゆりかごから墓場まで
うーん。世知辛い。
一方は安全と人権を究極にまで優先して、一方は開発を何より優先した。どちらが正しいかなんてきっと分からないけれど、本当の開拓者となれるのは後者に違いない。
「こいつらが最初の火星入植者になるな」───pg.201
それでも人類よほど先にシアノバクテリアが到達していた。それでも、人間が良かったという言葉が前向きで良い。
・大風呂敷と蜘蛛の糸
夢があって素敵。
ところどころの、特に沈黙のフライバイにおいてサイエンス部分の説明はどうしても理解しがたかった。知識不足だ。
それでも、宇宙へひたむきに向ける眼差しを胸を夢いっぱいに膨らませて感じることの出来る短編集。