【感想・ネタバレ】真実の眠る川のレビュー

あらすじ

「ミステリが読みたい!」第1位に選ばれた『ありふれた祈り』著者の傑作ミステリ

50年代、アメリカの田舎町。地主の死体が川中で発見され、第二次大戦帰還兵の保安官ブロディの捜査で、日本人の妻を持つノアが容疑者として浮かぶ。弁護士チャーリーは住人たちの過去を調べるが……。エドガー賞ほか四冠に輝いた『ありふれた祈り』著者の新作

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Posted by ブクログ

ネタバレ

いやぁ、圧倒的な物語の紡ぎ手。

1958年、ミネソタの田舎町ジュウェル。
戦没将兵追悼記念の日にこの町を抱くアラバスター川の淵でウナギに食い荒らされた死体が発見される。
その男、ジミー・クインは町の農地を牛耳る者としてこれでもかと富と権力を振りかざして生きるような男で、反感を買う先も数多。死を心から偲ぶ者がいるような人物ではなかった。
そうは言ってもの中、この町の保安官ブロディは、前保安官のコニーに手助けを仰ぎながら事件の調査に向かうが。。。

不審死を伴う事件が起き、もちろんそれの解決を巡る動きが牽引する展開ではあるのだが、それはただの舞台でしかなく、登場人物達の織りなす人間関係だったり、思索、生き様を読む物語。

ひとりひとりの背景語りが入念で物語としての密度が高く、隙がない感じに大満足。
最初から最後まで間延びせず、かといってぐいぐいというわけでもない堅実な展開速度で心を掴んで離さない読み応えが没入感を生む。

この登場人物好きだなぁと思っていたら、裏の顔とか心の歪みを見せる部分が出てきて、でもそれが人間、この矛盾というか混沌というか清濁併せ呑まされる感情の渦巻き加減、その一端を担っているとも思える戦争の残す爪痕だったり、偏見を根拠とする差別の愚かさに何度うならさられたことか。

やっぱりこういう話が好きだ。
アン・クリーヴスとかケイト・モートン、セレステ・イング、国内作家だと宮部みゆきさんに通ずる物語性。
『ありふれた祈り』、『このやさしき大地』もとても良かった印象を持っており、自分的信頼できる作家の仲間入りを遂げた。
ちょっとハードボイルドに寄るコーク・オコナーシリーズはまだ未読が何冊かあるので近いうちに読み進めてみよう。

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2026年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025年間46冊目は、ウィリアム・ケント・クルーガーの「真実の眠る川」です。「怪物の森〜」に引き続いてミネソタが舞台ですが、こちらは、1958年のミネソタになります。ブラックアース郡ジュウェル、アラバスター川と共に生きる人達の物語です。
第二次世界大戦からベトナム戦争前までのアメリカというと、繁栄、栄光の時代というイメージでしたが、別の一面も有る事を教えてくれる小説でした。
第二次世界大戦や朝鮮戦争に従軍した兵士の多くが、精神的・肉体的に大きな傷を抱えて故郷に戻った事、それに対して留守を守った女性達が総じて逞しく描かれています。男性は、石ころのように砕けてしまうと描写されていますが、全くその通りだと思います。女性は、靱やかで強い。冒頭、戦没将兵追悼記念日(メモリアルデー)の場面から始まるのも象徴的だと思います。
南ミネソタ随一の地主と言われるジミー・クインが、アラバスター川の中で死体で発見されます。ショットガンで撃たれており、しかも裸のままの状態でした。ジミーは、善人ではなく、多くの人から嫌われていました。
保安官のブロディ・ダーンが現場に向かいますが、現場に誰もいない時を見計らって、証拠となりうる指紋を拭き取り、証拠品を川に投げ入れてしまいます。法執行機関の人間として、決して許される行動では有りませんが、後で、その理由と心情が語られます。
町の人間は、ジミーの農場の元使用人で有るノア・ブルーストーンが犯人で有るとブロディに焚き付けます。ノアは、先住民のスー族であり、妻は日本人のキョウコで有るとの理由からです。明らかに偏見からですが、ノアの農場の敷地からジミーの血痕の付いた防水布が見つかり、有力な容疑者として逮捕されてしまいます。しかし、ノアは無実を主張しようとしません。このままでは、ノアに重い判決が出るのは明らかです。ブロディは、ノアが誰かを庇っていると推測しますが、喋ろうとしません。果たして、誰を庇っているのか?ミステリーとしても申し分ないと思います。ポイントは、ジミーの複雑な家族関係です。
ジミー・クインの殺人事件が物語の縦軸だとすると、ジュウェルの町の人達の人生が、横軸となっています。
個人的には、オールタイムベスト級だと思います。
☆5.0今年の最後に素晴らしい物を読みました。

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2025年12月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

生まれた所や皮膚や目の色で
いったいこの僕の何がわかるというのだろう
読後に思わずこの名曲を聴いてしまいました。

1950年代アメリカミネソタ州の田舎町。町を流れる川で、ナマズに喰われた地主の死体が発見された。
事件はさほど重要ではなく、関係者の中で共に故郷を追われたインディアン(ネイティブアメリカン)と日本人女性にスポットが当たる。元軍人の保安官の捜査を通じて、戦争の傷跡や民族迫害の歴史を問いかける。まあ俺には勿体無いレベルに重厚で上品な文学作品だな。英題は「the river we remember」邦題の方が詩的でいいっスね…
500ページの二段組で紙面がびっしり埋まっているので体感は1000ページほど

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2026年03月29日

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