【感想・ネタバレ】坊っちゃんのレビュー

あらすじ

さあ、きょうからおれも一人前の先生。張り切って着任した中学校だがまわりの教師が何だか変だ。臆病だったり、嘘つきだったり、小うるさかったり、いったい誰がまともなんだい――? 正義感あふれる主人公が、同僚の婚約者を汚い手を使って奪い取ろうとする教頭を徹底的に懲らしめるまでの顛末を痛快に描く。漱石の作品中、もっとも愛読されている一冊。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

生徒が教師にあだ名を付けたり、からかったり、いたずらをしたりすることは、漱石の頃も今も変わらないし、教師同士だって、今も昔も、世間のほかの同僚たちと同様、つまらない意地やねたみや欲望をあらわにして、感心しない行動を繰り返すことも多いと思う。漱石は、そうした悪ガキたちや同僚教師たち(以下 彼ら)に対して、主人公「坊っちゃん」をどのような役回りとして描きたかったのか?彼ら「悪者たち」を懲らしめる「善/正義の味方」として描き、留飲を下げたかったのか?
(本書を採り上げた『100分de名著別冊 特別授業 夏目漱石「坊っちゃん」』(養老孟司著、以下「特別授業」)では、「漱石の作品には、たとえほかの人に知られなくても、間違ったことを嫌う江戸っ子気質の面が見られる」との指摘がある)

しかし、小生には、残念ながら、坊っちゃんがいくら抗議しても、彼らの方が「のれんに腕押し」と言った感じで「一枚上」だし、坊っちゃんも宿直中に温泉に行ったりと「隙を見せており」、必ずしも坊っちゃんをひいき目に見られない。
同僚から一銭五厘分の食事を奢られた後、ケンカをし、そんな奴に奢られたくないとばかりその一銭五厘を相手の机に叩きつける等と言う愚挙もいかにもおとな気がない。感情を鬱屈させて自己の内面に閉じこもったり、気の合った仲間内で愚痴をこぼすよりも、もう少しスマートに堂々と理非を述べ、それでもダメなら、今日ならハラスメントとして通報すると言う手もあるが、当時ならさっさと退職し、新天地に希望を求めるのが一番だったかもしれない。

江藤淳の解説(新潮文庫)によれば、なぜ漱石のみが、近代作家の中で、唯一の「国民的作家」になりえたかの理由は、江戸時代の名主階級の出である漱石が、自らの血肉に継承していた「江戸的な感受性と倫理観」つまり「善」と「美」の原理を肯定していたからとのこと。そのような原理を実際に体現する人間は現実には存在しないからこそ、漱石は、人間の真の姿である、そうした人間を描きたかったのだろうか?それは、丁度、山田洋治監督が描いた「寅さん」が、定職を持たず、「人並み」の生活に親しまない乍らも、私たちの心を打つ「善」と「美」の原理を持ち合わせていたことともダブっているように感じられる。

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2026年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

坊っちゃんの生い立ちについては冒頭で語られますが、
もしかするとそれはフェイントで、実際彼は無菌室で育てられ、
一ヶ月だけ外界に放り出されたアンドロイドなのではないだろうか?
読み終えた後、そんな風に感じました。

本作は、草枕や猫に比べるとすごく砕けててコミカルで
同じ人が書かれたとは思えないほど読みやすいもので、
よくある教訓や風刺を込めたものとは少しねじれに位置する
娯楽性に富んだもののように思います。

昭和の考え方の人の教えとして自分が耳にしてきた言葉は、
新米の頃は3年の間は上司の言う事をきちんと聞き、
余計な口ごたえや反抗はしてはいけない云々というのが
美徳として当然と見られているものと思ってますが、
この主人公は、生まれ育った都から初めて得た働き口の松山で、
最初から最後まで周囲を完全に見下した態度を軟化させず、
環境の変化に適応する懐の深さがまるでありません。

この、23歳まで人の世界で暮らしてきたように到底思えないほどの
無垢さは決してブレることなく全編で一貫されており、
新人をいじろうとする生徒や罠にはめようとする同僚の奸計に
いちいち正面衝突していくエピソードひとつひとつに青さを感じます。
心を許しているのは子どもの頃から世話になったばあやだけ、
世の中の人が空気を読んで波風を立てない様にしのぎ、
マドンナに見限られた上に飛ばされる、うらなり君のように、
感情を殺して職に身を投じる様な心が全くありません。

ここまで清々しいほどにKYぶりを発揮して生きることができたら、
溶鉱炉でも溶けないターミネーター以上の不死身っぷりに
握り拳をあげた人々も逆に平服させてしまうのではないでしょうか?
冒頭に『アンドロイド』と評したのはまさにその印象です。

彼は中途半端に恵まれた『坊っちゃん』だったことが災いして、
通り一遍の勉学を身につけることはできていても、
他人と折り合いをつける、勉学以外の実学に対して乏しい知見しか
持ち合わせていず、ただでさえ堪え性のない人間が、あの松山の学校に
異物として投入されるとどうなるか?そんな対比として描かれたものだろうと。
適性のない人間が陰湿でジメジメした学校組織に組み込まれると
こんな不幸が生まれるのかもしれませんね。

空気を読む大人に備わった理性の面の皮を、まるごとはがした坊っちゃんと、
そのバディである山嵐との意気投合を経てのタッグマッチは
まるで子どものケンカみたいな幕切れですが、
これはいわゆる、倫理の皮をかぶった人間の名をした怪物に対する、
彼らなりの鉄槌であり、そこには夜の襲撃でありつつ、
雲ひとつない青空のような無垢な者たちの心が表れているように感じました。

それにしてもたった一ヶ月のあいだに、こうまで人とわかり合えたり、
憎しみの感情をぶつける対象として捉えたりできるものでしょうか?
自分なら一ヶ月経っても、人の名前を覚える程度のところまで
いくのがやっとやっとと思います。
こんなイベント豊富な人生は疲れそうだな・・・。
自分はモブキャラ位がちょうどいいですね。

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2025年03月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昔の小説っていうものはどこか堅苦しいつまらない文章であるという固定概念があった。けど坊ちゃんは捻くれた奴で不器用な男でこんな人物像が昔に描かれてたんだーって思った。思ったよりも面白いし彼なりの正義感というものも垣間見れて応援したくなる。継母だっけ??との優しさに包まれた関係も良い。授業で読んだ。

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2025年06月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

坊ちゃんを読んでみた。
むかーし読んだけど、読み直してみた。


……言葉が難しい。
内容はテンポよく進んでいて読みやすいはずなのだけど、言葉が…んー。うーーん。と思いながら、読んでみた。



読み直して、思ったのは……やっぱり『難しい』という事。
内容が難しいわけではない。坊ちゃんの話が軽快にテンポよく進んでいく。

……これ、現代の言葉で軽く読みたい。と思った。

キャラクターも判りやすくて、面白いのだけれど……。
主人公の坊ちゃんのキャラクターは判りにくいなと…分かりにくいというか、『冗談が通じない』『言葉を言葉のままに受け取る』キャラっぽいので……、勝手に「これはこうだよね(赤シャツは親切ではないけれど、親切にしている)」と思って読んでしまったモノが、坊ちゃんの中では「親切なんだかよくわからない」と書かれていたり。

私としては勝手に『親切なフリだよね』と思って読んでしまってるので、「わからない」ということがわからないと思ってしまう。
そーいうキャラだと言われたら、そうなんだねと思うのだけれども。

そんなズレが、幾つか起きてしまって『分かりにくいキャラ』と思ってしまう。



坊ちゃんってこんなに複雑なキャラだったんだと、思ったのです。

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2025年05月04日

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