あらすじ
自己出版され話題をさらった電子書籍が、分量1.8倍以上、文体・構成も一新した完全改稿版として登場。
バーチャルリアリティ技術と遺伝子組換作物が浸透した近未来、謎の塩基配列を持つ稲に秘められた陰謀に迫る、本格SFサスペンス。
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Posted by ブクログ
プログラミングの経験があるおかげでなんとなくのイメージができる部分もあって楽しめた。
ストーリーももちろん面白かった。
後半に出てくる設計動物のプログラムを書いた環境保護団体のエンジニア(笑)のコードの変数名に変数Aとつけるとか、"ここで変数を定義"のコメントとか笑ったw
Posted by ブクログ
近未来を描いた物語。
単語や背景の理解に最初時間がかかったものの、本当にありそうな話しで一気に読むことができた。
よくある?遺伝子を組み替えるのではなく、遺伝子すべてを人工的に作りそれが生命として誕生する、なんてできるのか?と読み終わった後考えてしまいました。すごくおもしろかったです。
Posted by ブクログ
ある日ふと「大豆(遺伝子組み換えでない)」ってどういうことだろう?と思い、そういえば遺伝子操作の小説があったなと思い出して読んだ本。
遺伝子デザイナー林田が主人公で、過去の仕事(遺伝子設計)にバグが出て、それを解決するために調査をしていたら……というお話。
舞台は2037年。通信技術も生活様式も、インターネットの在り方も大きく変化した時代。
拡張現実内での描写がほとんどで、とんとんと困難な調査が進んでいく。
読み終わって、「この怒涛の出来事が4日で終わったなんて」という感じに。良い意味で。
遺伝子設計された稲が問題になるので、なんとなく「食」に対する意識を、読みながら感じていた。
黒川さんのチョコレートバー。カロリーを得るための食品としてのチョコレートバー。
キタムラが飲む、練乳色のカフェ。氷は溶けると水にあたる。
人間が満足するための安全基準、収穫量を操作した稲。
未来の、フィクションの話だとは思いつつも、自分がかじっているおにぎりは……と思ってしまう。
「食」はどんな人間にも共通して必要なので、特に倫理観が求められるのだろう。
拡張現実へと移行する際の描写が、好きだった。
「瞬きを二つ、拡張現実を有効化して―」
「メガネの蔓を押し上げる仕草で」
「親指と小指で目の両端を挟んだ」
拡張現実内で起こっていることと現実とのギャップ。細かく描写されているわけではないのだけど、想像して楽しんでしまう。
ミーティングやさまざまなやり取り、仕事や調査は拡張現実上で行われる。
本当の感覚ってなんだろうな。そう思いながら、林田や黒川の仕事を見ていく。
あとつくづく、技術の最先端は軍が持っているんだなあと感じた。
いいんだか、わるいんだか。でもそれがないと、私は時間すら時計で確認することができないんだから。
物語の展開の仕方が、お手本かなと思うくらい関心しながら読んだ。
なるほど、あれはこの伏線だったのだなあ、なんてまじまじと読んでしまう。要はわかりやすい。
安易に想像できるというわけでなく、ハラハラしながら、納得ができる。いいことだと思う。
また読み仮名、略字が多いために、ちょっと抵抗もある。これってどういう意味だっけ?と。
展開のテンポの良さは、そういうった抵抗への不満をちゃんと解消してくれたんじゃないかな。
設定は、作者がHPで「現実化する世界」として実際の技術と作中の設定を照らし合わせて解説している。
こっちも面白そう。
Posted by ブクログ
将来は、この本のように完全人工な動物や植物ができると思います。
人間は一つの遺伝子が欠落、もしくは異常を持っているだけで、完治が難しい病を患ってしまう、か弱い生き物です。
だからこそ、希望を持ち技術と向き合う必要があります。
私の頭が悪いせいですが、設定に入り込むのに少し時間がかかってしまいました・・・
Posted by ブクログ
オービタルクラウドがよかったので過去の作品も読見たく成り手を取った。オービタルクラウドでも思ったが、本作でも都合よく主人公の周りに有能な人物が集まっているという展開は相変わらず。少々、怪しい人物がどう関わるかが物語の肝ではないかと思ったが、思ったよりもひねりはなかったのが残念。また、そもそもの物語のキーとなるフルビルドの遺伝子組み換え生物の設計図を描いた肝心の部分が軍用としてしか描かれておらず、そこを深堀しておらず、そこから派生する問題をデータ公開という形で収束させている。本当に軍用であれば、そんなに簡単にデータ流出するか、また、そのような意図を持つ人物をほっておくのかという点が疑問。