【感想・ネタバレ】ツリーハウスのレビュー

あらすじ

じいさんが死んだ夏のある日、孫の良嗣(よしつぐ)は、初めて家族のルーツに興味を持った。出入り自由の寄り合い所帯、親戚もいなければ、墓の在り処もわからない。一体うちってなんなんだ? この際、祖父母が出会ったという満州へ行ってみようか──。かくして、ばあさんとひきこもりの叔父さんを連れた珍道中が始まる。満州、そして新宿。熱く胸に迫る、小さな中華料理屋「翡翠飯店」三代記。伊藤整文学賞受賞作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

477ページの長編を久しぶりに読んだ。読む前は、途中で放置してしまうんじゃないかと思ってけど、物語に引き込まれて、みんなの人生が知りたくて、どんどん読み進めてしまった。
私には物心ついたころにおじいちゃんおばあちゃんは亡くなってたから、貴重な祖父母の人生を聞くことはできひんかった。ヤエたちは現代では普通の老人に見えるけど、壮大な人生を送ってきて、今では考えられへん人生の教訓を持っていた。逃げることはここ最近、よしとされているけど、現代の逃げるとヤエたちの逃げるは違う。命懸けで生きるために逃げ続けてきた。
それぐらいの危うさ、熱意は現代にはない気がする。

もっともっと昔の話が知りたかった。
なんの変哲もない家庭にみえるけど、ここまで深掘りできること、それぞれの気持ちが表せること、すごいの一言です。

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2024年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。

満州から、戦争から逃げてきた泰造の
「そこにいるのがしんどいと思ったら逃げろ。逃げるのは悪いことじゃない。逃げたことを自分でわかっていれば、そう悪いことじゃない。闘うばっかりがえらいんじゃない。」

という言葉が印象的だった。重かった。

同じく逃げて生き延びたヤエの、
抗うために逃げた、生きるために逃げた、
そんなだったから、子どもたちに逃げること以外教えられなかった。
というような言葉。

逃げてきたことを恥じて、苦しんだ二人の言葉。

翡翠飯店の人たちは、だらしなく逃げてばかりのように見えるけど、何も考えていないわけではないし、むしろ色々考えていて、でもうまくいかなくて、そんなところが憎めない。図太さや強さも感じられる。

家族はバラバラのように見えるけど、誰かのことを話し合ったり涙したり後悔したり、強い絆があるように思える。
賑やかで羨ましいと思う場面もたくさんあった。

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2023年08月14日

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