あらすじ
じいさんが死んだ夏のある日、孫の良嗣(よしつぐ)は、初めて家族のルーツに興味を持った。出入り自由の寄り合い所帯、親戚もいなければ、墓の在り処もわからない。一体うちってなんなんだ? この際、祖父母が出会ったという満州へ行ってみようか──。かくして、ばあさんとひきこもりの叔父さんを連れた珍道中が始まる。満州、そして新宿。熱く胸に迫る、小さな中華料理屋「翡翠飯店」三代記。伊藤整文学賞受賞作。
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Posted by ブクログ
戦中を生きた祖父母の代、戦後の成長期を生きた父母の代、その後の安定・停滞期を生きた子どもの代、それぞれの代でこんなにも環境が違うんだなと驚いた。
祖父母の満州での話は、異国の地だし人も死ぬし、特に印象に残った。上の代の人たちの経験を聞いてみたくなった。
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オーディブルで聴いた。
面白かった。
戦時中に満州に行った人の小説は初めて読んで、今でいう海外留学みたいな感じで、新しい環境に身を置いたら何か変わるのかも!みたいな期待を胸に満州に渡っていったのかなと思った。
八重は、満州から引き上げてくるときや、戦後の貧しい中で、よくそんなにたくさん子供が産めるなと思った。昔は避妊具なかったのか?私ならそんなときに子育てしてる自信ないから絶対に子供産まないと思う。
今だと両親共働きだと子供は保育園に預けるのが当たり前だけど、戦後まもなくだと保育園にも預けなかったのかーとか、色々すごいなと思った。
簡易宿泊所みたいな家、私は色々縛られなくていいなと思うけど、子供たち、孫たちは、定職に就く人はいなかったり、自殺したり宗教にはまったり、生きやすい人生ではなさそう。まぁ、サラリーマンなどの勤め人は合わなそう。子供たちが会社や組織に勤めるのが向いてないのって、自営業の家庭あるあるなのかな?と思った。
満州時代の食堂の人と、再会できたらよかったのに、できないところがリアル。
「どこか遠くにいけば、何かが変わると思うけど、何も変わらないよ」みたいなことを八重が言うんだけど、30代の今なら、なんとなくその意味がわかる気がする。20代の時に読んだら、ピンと来なかったと思う。
Posted by ブクログ
戦争を生きた祖父母、生きるために逃げ、人生を生きる。何にも希望のない人生。
何不自由ない現代、何のために逃げてるのだろうか。その先に希望がないのは同じなのに。
祖父母の人生は逃げながらも、結局は誰かに支えられ生きている、その場しのぎでも。
『祖母たちの生きた時代のように戦争があるわけではない。赤紙が来るわけではない。今は平和で平坦で、先が見通せると錯覚しそうなほど平和で不気味で退屈で、でもそんな時代に飲み込まれるな』
嫌なら逃げていい、が許される今、
平和という平坦な日常が続くと信じている人たちは、この先の人生も結局逃げることになり、その人生は結果として帳尻合わせになるのかも知れない。
Posted by ブクログ
登場人物みんな嫌いだなぁと思って読み進めてたけど、途中からなんか少しずつ好きになって来たかも、、って思ってしまった。
ものすごいドラマチックなことがあるわけではなく、戦後と現代に向かっての時間軸を家族の誰かの目線で淡々と綴る大河のような話。でもそんないいもんじゃない。
そういうのが、なんか最後には心に残った。いい話でなんでもないけど、繋いでいくとはこういうことかと。
面白くないと思ってたんだけどなぁ、結果、面白く読み終えた。不思議な小説。作者の筆力かな。
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時間のない中、電車の中で読む本が欲しくて、表紙に惹かれて手に取った。
初めは何の話かわからなかったが、あっという間に引き込まれ、あっという間に読み終わってしまった。
ちょうど、私自身も自分の来し方を振り返って、いつのまにか、私も「人に歴史あり」の歴史ある人になってきたなあとか、それにしても普通の人として私は生まれたんだなぁとかそんなことを考えていたときだったので、とてもフィットしてた。
いつのまに、角田光代さんはこんな本を書くようになったんだろう。
すごく面白かった!
Posted by ブクログ
そういえば、ボクの母も満州帰りだったようだ
詳しく話してくれたことはないが、
小さいとき、いろんな家をたらい回しにされたと
よく愚痴っていた
自身が満州帰りであることを恥じていたんだと思う
昔は、そうゆう風潮があった
本と同じように
ボクも両親のことを聞いたことはなく
その満州話も、馴れ初めも知らない
聞くのが恥ずかしいという感情だ
これも本と一緒
淡々と朴訥とした染み渡ってくるような物語
Posted by ブクログ
無計画は嫌いなたちだけど、
不思議と藤代家の人たちに対してはその感情が湧かなかった。
目の前のことに流されて、受け入れて、
努力して力や富や立場を得た人の足を引っ張ったりはせず
弱い人や調子の悪い人をそのまんま受け入れる感じが
相互共助みたいな感じでよく見えたのかな。
この人の小説、好きだな。
Posted by ブクログ
人が集まり互いに干渉し合わない翡翠飯店。
祖父が亡くなり、祖母と中国へ旅行を提案した孫の良嗣。
現在と祖母と祖父がどのようにして、飯店をきづいたか過去を織り交ぜながら、あまり語られなかった過去が明らかになる。
祖父母の教えは、逃げていいということ、他人に干渉することなく、各人が根無草のように流されて生きる。
そんな暮らしも悪くない。大きな展開はないけど何か温かくなるような作品。
自分も流されて日々を過ごしていると振り返る。
Posted by ブクログ
新宿の翡翠飯店という一軒の定食屋の家族を描いたファミリーヒストリー。
祖母と祖父が出会った満州から、叔父、叔母、父、母、そして主人公である良嗣の時代まで、根無し草のように来るもの拒まず、漂うように生きてきた家族達。
確固たる脈々とした系譜などないけど、それでも引き継がれてきた家族の歴史に、何か特別な意味をもたなくても、必死で生きてきたその積み重ねに、重みのような、年輪のような、深みを感じた。
そういえば、自分の祖父や祖母がどんな風に生きてきたか、よく知らないなぁ。
聞いておけば良かったな。
Posted by ブクログ
私は自分のルーツを知らない。
「結婚失敗した」と喚き続ける不幸せそうな母を長年見続けたいせいか嫌でも知りたくないのだ。
なので、一族のルーツを知りたいと思った良嗣は、なんだかんだ言って健全に育ったんだなと思う。笑
異国の地で敗戦を知らされ、苦労し続けた祖父母。
今日の一日を生き延びることに必死なあまり子どもを飢えで死なせてしまうところや、お世話になった食堂の家族との別れはとても悲しかった。
そんな親の苦労を知らず平和ボケした子供たち。
必死に働き続けてる両親を見て育ったのに、みんな親不孝だ。
そしてさらに平和ボケした孫達。
特に基樹と早苗、お前らなんなん?
命を産んで繫げていくってそういうものなのかもしれない。上手くいかないのが当たり前なんだろうな。
Posted by ブクログ
家族でもどんなルーツがあってここまで来たのなんてやっぱり知らないから、私自身も聞いてこなかったって気づく事もあった。
きっと色んな過去があって今ある思考が形成されたり、自分にも受け継いできた事もあるんだなぁ
Posted by ブクログ
中華料理店を営む家族の話だが、4代に渡り様々な人が登場するなかで、強かに生き抜いた泥臭いながら共感の持てる読後感を得た.藤代良嗣が祖父泰造、祖父ヤエの過去を調べる過程を中心に話が展開するが、戦前の満州、敗戦に伴う引き揚げの苦労、生きる糧を得るための出店、高度成長期のどさくさ、学生運動など昭和の世相を織り込みながら、家族が成長していく過程が楽しめた.得体の知れない人が住み着くルーズな家風も、物語を面白くしている.弟太二郎と母文江の存在が家族の中で中心的な役割を果たしてと感じた.野崎さんの解説が物語の全体像を的確に表現していると思う.
Posted by ブクログ
一家のルーツを辿る行為を通して、“逃げる”ことをテーマにした小説。同じ“逃げる”でも、生きるための“逃げる”と受け入れるための“逃げる”は違う。戦うばっかりが偉いんじゃない。でも、“逃げる”この平和な時代に飲み込まれてしまってはいけない。そういうメッセージを受け取りました。
Posted by ブクログ
祖父の死から、家族のルーツを知りたいと思った3男が祖母と叔父と一家ルーツの満州に行くと共に、謎の多い家族の歴史が明らかになっていく話。
こうした戦前の時代まで遡ったり、謎が少しずつ明らかになっていく感じの小説って面白いなって思った。
印象に残った祖母のセリフ。「闘うことも逃げることもせず、やすやすと時代にのみこまれんな」
なんだかんだ、自分も家族のルーツとかを詳しく知らない。ここまで色々なドラマがあったような家庭ではないと思うけど、気になったきっかけに話を聞いてみるのもいいなと思った。
Posted by ブクログ
三世代に渡る話。
子から見た両親、祖父母がどういう時代をどうやって生きてきたかは知りようもない。
祖母が若い頃に住んでた場所を探しに行く現在の時間軸と、祖父母の時代、両親の時代がそれぞれの視点で語られるのが面白い。
スカッとする話でもないし、好感が持てる登場人物でもないけど、時代に流されながらたくさん後悔や葛藤を抱えて生きてくのが人生なんだなと思った。
Posted by ブクログ
何に関しても無関心で親戚がおらず墓も持たない家族に祖父が亡くなったことで違和感を感じた良嗣サイドのストーリーと
良嗣の祖父母、両親、叔父叔母、兄姉たちサイドのストーリーが交差しながら進んでく
まず昭和15年まで遡り祖父が満洲開拓団に参加して女装しながら逃走して祖母と出会うところから始まる
そこから平成までだから結構分厚いけど最後まで飽きずに楽しく読めた
登場人物の祖父とか深く物事を考えようとしたりすると靄がかかったようになり考えるのをやめて楽な方に逃げようとするとか自分みたいだなぁって思った
その息子で良嗣の父も面倒なことから逃げたり難しい感情は言語化できないっていうのを文章で細かい気持ちの変化まで書かれててすごいなと思った
感情として浮き出たりはするけどそれを誰かにアウトプットしたり頭の中で整理して納得したりってもともと得意とかもあるし勉強をしたからできるようになったとかもあるんだろうなぁ
そういうのをできない人がこの本の中に多く出てきてて苦しそうにしてたから私はできる人でありたいなと思った