【感想・ネタバレ】ハプスブルク家のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年11月07日

その名だけは頻繁に聞くものの、具体的にどうすごかったのかいまいち知らなかったハプスブルク家。
ウィーンミュージカル「エリザベート」から気になって読みました。まさかの1990年初版とは思えないほど面白くって読みやすくって、はじめて新書読んでて楽しいと思った。疑問点を書き込みながら読んだのでこのあとは消...続きを読む化に努めます。この前クラバートで出てきた「選帝侯」の意味がやっとわかった。
あとちょいちょい出てくるオスマントルコ強すぎてかっこいい、そっちも新書読む

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Posted by ブクログ 2018年11月04日

・神聖ローマ帝国とは、広い意味でのドイツと同義
・世界史のスペイン時代―カール五世以後のハプルスブルク家統治時代。フィリップ二世1557年のサン・カンタンの戦い(アンリ二世治下の仏軍を粉砕)。1571年レパントの海戦(イスラム教徒とキリスト教徒の歴史的対戦。スペインを中心とるする西洋世界がトルコ海軍...続きを読むに壊滅的な打撃を与えた)
・スペインの衰退―1588年の英国とのアルマダ艦隊の敗北
・1648年のウェストファリア条約で30年戦争は終結。30年戦争は当初は教義をめぐる争いだったのに、フランスが介入する頃にはすっかり様相を変え、ブルボン家対ハプスブルク家という宿敵の決戦となった。フランス絶対優位での和約
・マリア・テレジアの宰相カウニッツ「とても実現しそうにない、という理由で実行されないものが数多くある。だが実行されないという理由だけで困難とされるものの方が、はるかに多い」。ハプスブルク=ブルボン同盟

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Posted by ブクログ 2018年10月06日

ヨーロッパの名門ハプスブルク家の歴史を、主にマクシミリアン1世、カール5世、マリア・テレジア、フランツ・ヨーゼフの4人の君主に焦点を当てて描いた本。
物語風で読みやすい。

ところどころで著者の主観というかハプスブルク愛を感じる。
またハプスブルク視点で書かれているためか、他国の情勢などにはあまり触...続きを読むれられてなく、もう少し背景の説明がほしいと思うことがあった。
プロイセンのフリードリヒ2世なんかマリア・テレジア視点だとただの嫌な奴だし…

あと私が無知なだけかもしれないが、難しい言葉や言い回しがやたら出てくる。
内容の理解に支障がある程ではないが。

とはいえ非常に楽しかった。
ヨーロッパ史についてもっと知りたいと思わせてくれた本だった。

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Posted by ブクログ 2017年02月24日

約7世紀に渡る、世界一の名門王朝。
ハプスブルクの人間たちの、愛と知恵と武勇と失敗の物語である。

まさに西洋史!な、ダイナミズムにあふれている圧倒的な面白さだった。
もちろん、これは通史であり、面白いところをより凝縮して楽しめるように書かれた新書であるからして、これだけが当然全てではない。

だが...続きを読む、入り口としてはこれは最適だと考えられる。
ハプスブルク家といえば、西洋一の名門貴族、というイメージがある一方で、なかなか把握しきれないところがあったが、理解にも大いに役立った。

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Posted by ブクログ 2013年03月25日

ハプスブルク家の興りから崩壊までが描かれている。著者の主観が入っている感もあるけど、その分物語のようでスルスルと読めた。
歴史に関してではない難しい言葉がたくさん出てくる。
ヨーロッパの複雑な歴史に、わからないところは調べながら読んだ。
無能と思われたため皇帝となったルドルフ一世から、700年に及ん...続きを読むだハプスブルク帝国。
でもまだ、なぜここまで栄えたのか、については漠としている。

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Posted by ブクログ 2022年06月02日

13世紀から第1世界大戦までのハプスブルク家のお話

ずっと敵対していたフランスのルイ16世に嫁いだマリーアントワネットは、女帝マリア テレジアの娘だったのね。

各時代の外交など、とても興味深かった。

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Posted by ブクログ 2021年08月27日

ハプスブルク帝国についてその発祥から崩壊まで流れを掴むのに適した本だと思う。前半はカール5世を軸に、後半はマリア・テレジアを軸にしている。物語的な要素が強い。初出が古い本であるため、神聖ローマ皇帝フリードリヒ3世の人物像や、ウェストファリア条約の意義などについて、旧説に基づいていると感じられる場面が...続きを読むある。

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Posted by ブクログ 2021年08月25日

いわゆるコムネーロスの乱が平定されてはじめて、スペインは、国王カルロス一世にきわめて忠誠な国家となる。その頃にはブルゴーニュ人とスペイン人は、相互結婚などによって親近感を寄せあい、当初の牙をむきだしての対立もいつしか解消していた。
マリア・テレジアが行った大改革は有史以来たえてなかった根本的なもので...続きを読む、オーストリアのあらゆる領域にひろがった。

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Posted by ブクログ 2021年04月18日

数年に一度読み返したくなる定番名作新書。ハプスブルク家のことをある程度整理しておくと、ヨーロッパを舞台にした小説、絵画はぐっと面白くなる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年12月10日

世界史ではハプスブルグ家は、よく出てくるが、その系譜はわかっていなかった。
少し古い本なのかなと思っていたら、読みやすいし、わかりやすい。一通りではあるが、大筋が分かったような気がする。
ハプスブルグ展に行こうと思っていることもあり、もう少し勉強して理解を深めたい。

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Posted by ブクログ 2019年10月23日

ハプスブルク家の君主の中でも、マクシミリアン1世、カール5世、マリア・テレジア、フランツ・ヨーゼフの4人を中心に据えながら、約7世紀に渡るハプスブルク家の誕生〜隆盛、衰退まで簡潔に書かれており、読みやすかった。
登場人物や歴史的事件について多く触れられているため、ある程度の世界史知識がある方がさくさ...続きを読むく読めると思う。

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Posted by ブクログ 2019年08月06日

ハプスブルグが700年という長期に帝国を維持してきた歴史についての新書。『アルカサル』や『エロイカ』を読んでいると「あれね、あの人ね」という感じでたのしめる。

かなりざっくりとした内容なのかと思ってたら、細かい描写もあって読んでいてダラダラとした感じがなく、最後まで興味を失うことなく読み終えること...続きを読むができた。

限られた「家」による長期の治世が悪なのかどうか、というあたりが気になるが、本書においてはどちらかというとそうした捉え方で終わるのではなく、失うもの、取り戻せないものも多いという感じか。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年12月23日

私にとって謎の一家、ハプスブルグ家について知りたいと思いこの本を選んだ。ついでによく一緒に語られる謎の集団、神聖ローマ帝国についての本「図説神聖ローマ帝国(河出出版書房)」も並行読みした。これは正解だった。おそらくこの本だけだと神聖ローマ帝国が謎過ぎてあまり理解できなかったと思う。2冊を同時に読むこ...続きを読むとによって中世からのヨーロッパ史がよく理解できた。ハプスブルグ家という内側から見ているので、この本を読むと宗教改革やフランス革命など歴史上の大事件を当事者感覚で味わう面白さがあった。また現在の東ヨーロッパ諸国の問題を理解する上でも興味深いことが多い。人物像などはかなり作者の主観が入っていて、公正な記述ではないように思われるものもあるが、素人でも読みやすい内容にはなっている。ただ、難しい熟語がぱらぱら見受けられ、「吝嗇家」「薨去」など読めないものもあり、もっと簡単な言葉で書けるだろうという不満はところどころあった。一家としてカトリックを信奉しながらも、戦争と結婚を巧みに折り合わせて、勢力を拡大し、そして歴史舞台から消えたハプスブルグの物語は映画「ゴッドファーザ」の国家版といった感があり、趣深い。

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Posted by ブクログ 2015年10月26日

女傑と名高いマリア・テレジア、しかしその具体的功績についてはとんと疎かった自分。本書ではじめてちゃんと目にした気がする。あとがきで著者が指摘しているのも頷ける。

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Posted by ブクログ 2015年05月06日

オーストリア旅行の予習に新書3冊を購入。江村洋氏の「ハプスブルク家」と「ハプスブルク家の女たち」、中野京子氏の「ハプスブルク家 12の物語」です。世界史は大の苦手で、ハプスブルク家なのかハスプブルグ家なのかもよく分からない私ですが、江村氏の2冊は素人にも分かりやすく面白く読み進めることができました。...続きを読む
700年もの長期間、ヨーロッパで覇権を握ってきたハプスブルク家。素人考えで、やり手で強欲で傲慢なイメージを持っていましたが、実態は正反対。神聖ローマ帝国の国王を継承したハプスブルク家の君主たちは、神に選ばれし一族として勤勉にその役割を果たし、ときにお人好しが馬鹿を見るような憂き目にも会っているのでした。
そんなハプスブルク家に対する著者の江村洋氏の深い敬愛が感じられるのが、ただの解説本との大きな違いです。構成も文章も読みやすくて、旅行を何倍も楽しいものにしてくれるよい予習本でした。

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Posted by ブクログ 2014年01月05日

「フランツ・ヨーゼフ」を読んだ余韻をもう少し楽しみたくて この本を手に取った。


インドのネルーが『父が子に語る世界歴史』の中で「チャシャ猫」と呼んだ国、それが神聖ローマ帝国であり、オーストリア帝国だった。インド民族主義を掲げて大英帝国からの独立を目指していたネールにしてみれば、12の民族を数百...続きを読む年も支配し続ける帝国など理解不能だったに違いない。しかし何故チャシャ猫は生き長らえることができたのか。歴史上、一血統の王朝は長くても三百年が通り相場と思うが、ハプスブルグの場合は何代経てもまた中興の主が現れ、時代の変化に見合った改革を施してきた。他の王朝と何が違うのかといえば、結婚政策といった戦争に頼らないソフト戦略の重視、 脈々と受け継がれた帝王教育、長命の皇帝が多いところから見られる体力的な強さ、そして当人たちは純血主義が大事だと思っていたのだろう。


王とは何か、国とは何かを考えてみるのも面白い。マクシミリアンが婚姻政策を通じて領土をドイツの外側に広げた頃、王位は王位、国は国だったのだろう。マクシミリアンがブルゴーニュ公を継いだと言っても、土着貴族達が従うとは限らなかった。しかしその難しいことをスペインでもボヘミアでも次々と成し遂げてきたところに、この時代のハプスブルグの偉大さがあった。

やがて時代は絶対王政を経て国民国家へと向かう。事ここに至ればハプスブルグはチャシャ猫である。第一次世界大戦でオーストリアとトルコの両帝国が崩壊し、民族自決の原則が確認された。今日では国民国家が当然と思われているけれども、その国民国家同士の激しいいがみ合いを反省したヨーロッパでは、欧州統合の試みが進む。オーストリアやトルコから独立した中東欧の国々がその後ナチスドイツに蹂躙され、ソ連の軛に繋がれ、現在はEUを目指しと苦労してきたことを思うと、チャシャ猫も悪くないと再評価してみてはどうだろうか。

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Posted by ブクログ 2013年10月17日

旅行の予習に、これと続編の「ハプスブルク家の女たち」を読みました。
キンドル版があるのに紙の本を2冊とも買ってから気づいたという不覚…。

重要人物別に、年代を追って描かれているのですが、それぞれの人物に焦点を当てていることで人間的興味もわいて読みやすく、読むうちに歴史的背景が頭に入ってくる、という...続きを読む、新書に求める「読みやすくてためになる」感がありました。
これまで「神聖ローマ帝国(なんでローマ?)」「マリア・テレジア」「スペイン・ハプスブルク家(フェリペとか?)」「戦後はただの人(フランツ・ヨーゼフが最後だったっけ?)」など切れ切れのキーワードでぼんやりとらえていたハプスブルク家が、短い本だけにざっと全体を見渡すことができて、少しわかりやすくなった気がします。

著者がマリア・テレジアびいきなのも好感度大でした。功罪はありますが傑出した君主だったことは確かだし、「その器じゃないのに激動の時代に王妃になっちゃった」マリー・アントワネットや「望みもしないのに皇妃になって心を病んだ」シシィよりずっと評価されてしかる人だと思うのですよね。晩年の肖像画が残りすぎて太ったおばあちゃんのイメージですが、若いころは2人に負けない美人なんだし、サクセスストーリーで「エリザベス」的映画になってもいいと思うんですが。できすぎ・幸せすぎで深みが出ないのかしら。

読んでいったおかげでウィーン観光がより楽しめました。

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Posted by ブクログ 2013年08月17日

中世ヨーロッパはまったく守備範囲外なのだけどなぜかふと読む。のんきな時代と言えばのんきな時代なように思うけど、古代ローマ帝国にしたところで、皇帝擁立がうまくいけば広大な領土を得られるわけだしまあそんなもんか。あとは神聖ローマ帝国のよくわからなさについても良さそうな新書があるがどうするかね。

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Posted by ブクログ 2013年07月04日

比較的容易に読める本。あまり真面目に世界史を学んでいない自分でもワクワクしながら読めた。
いかんせん似た名前が多いのと、地理的な知識が薄くて悩む部分もあったが、それなりに地図も入っているので上手く構成されていると思う。特にマリーアントワネットらの時代以降は、あまり知らない部分を多く補完できて楽しかっ...続きを読むた。

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Posted by ブクログ 2013年09月05日

文体は大げさだが、史実に厳密に即しているように思えた。
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至極、適切で読みやすい、これぞ新書といった感じの本。列伝形式を抜け出せない感があるが、何しろ、はプスブルグ家のための史書だ、こうなるのが当然だろう。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年10月20日

「神聖ローマ帝国:菊池良生」を読んだら、ハプスブルグ家にも興味が湧いたのでこちらも。
当然上記の本と重なる部分も多かったが、微妙に評価が異なったりして面白かった。
「神聖ローマ帝国」もそうだったが、この本も著者の主観バリバリだが、むしろそれが歴史上の人物たちを活き活きとさせ、読み物としての面白さにつ...続きを読むながっている。
「この世ではあらゆるものが私から奪われてゆく!」
と嘆いたフランツ・ヨーゼフ帝には歴史本なのに感情引入してしまった。

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Posted by ブクログ 2011年10月21日

カール五世に言及した部分を特に興味深く読んだ。アウグスブルクの宗教和議は、ある意味で挫折だったのか。

後半部のマリア・テレジアやフランツ・ヨーゼフは多少知っていたので、それほど驚かなかったが勉強になった。

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Posted by ブクログ 2011年08月26日

読みやすくて面白かった。
ちょっと古いかなと思うところもありましたが、全体的に楽しめました。
「ハプスブルク家の女」の方も読んでみたくなりました。

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Posted by ブクログ 2019年10月24日

ハプスブルク展にむけての予習。

ハプスブルク家について客観的な史実を知りたいならとても良い書。
何年になにが起こって…ということが詳しく書いてあるため勉強になる。
芸術や恋愛についてというよりは本当に政治的な部分が詳しくわかる。

マリーアントワネットやエリザベートについてさらっとしか触れられてな...続きを読むくて少し驚いたけど、あとがき読んで納得です。
マリア・テレジアを好きになりました。

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Posted by ブクログ 2016年09月09日

数年前ウイーンを訪れたときに、この繁栄の基礎を実感できなかったため手に取った。
ハプスブルク家700年の概略とヨーロッパを大掴みするのにとても役立った。
ここから、興味を持って深読みしていくのは…相当深そう…

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Posted by ブクログ 2016年01月31日

多分にハプスブルク家寄りの視点で書かれているので注意は必要。しかし、カール5世とマリア・テレジアにスポットライトを当てたかったという著者の意図を考えると、その点は非常によく伝わってきたし、ハプスブルク自体を俯瞰しながら捉えられるので一読の価値はあり。
しかしマリア・テレジアは16人の子どもを産みなが...続きを読むら国家を統治したって、何という体力なんだろう…笑

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Posted by ブクログ 2012年02月15日

ミュージカル「エリザベート」の予習の一環。
いつ買ったのか分からないけど、本棚から出てきました。カバーが昔のタイプ。

ハプスブルク周辺のことが、分かりやすく、かつ、読みやすくまとめられていると思います。
特に「時代」を感じてしまう部分もないですし、いまだに通用する内容だと感じました。

ただ、著者...続きを読むはマリア・テレジアのことが好きなのか、彼女の項目については、だいぶ感情的な筆致になっているように見えました。
この部分だけ浮いているような感じがしまして、なんだか残念な気持ちになってしまいました。

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Posted by ブクログ 2011年08月29日

久しぶりに読んで復讐出来た。

ルードルフ1世
マクシミアン1世
カール5世
マリア・テレジア
フランツ・ヨーゼル帝

ちなみに神聖ローマ皇帝の選任の仕方とか
CEO選ぶのと同じですね。

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Posted by ブクログ 2010年12月09日

古い本だが、古典だけあってハプスブルク家の歴史をざっと知るには格好の教科書。文章も読みやすい。さまざまな民族、宗教、人種が、長い歴史の中で争いあい、憎みあい、奪い、奪われ……この本はハプスブルク家を通して、ヨーロッパというエリアの困難さを伝えている。そこに君臨することが果たして彼らの願いなのかどうか...続きを読むさえ、疑わしいくらいの困難。特に最終章、すべてのツケを背負い込んだかのようなフランツ・ヨーゼフの一生は、胸を打つ悲劇性を帯びている。

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Posted by ブクログ 2010年12月05日

●構成
はじめに:ヨーロッパにおけるハプスブルグ家
序章 ハプスブルグ家の揺籃期:ルードルフ一世からマクシミリアン帝へ
第1章 マクシミリアン一世:華麗なるブルゴーニュ文化のさなかで
第2章 カール五世とその時代:太陽の没することなき帝国
第3章 ウィーンとマドリッド:ハプスブルグ家の枢軸
第4章 ...続きを読むマリア・テレジア女帝:恵み豊かな治世
第5章 会議は踊る:三月革命の前夜
終章 民族主義の嵐のなかで:ハプスブルグ家の落日
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 世界史の授業では、恐らく必ず登場するであろうハプスブルグ家。名前はなんとなく見聞きしていても、その内実や歴史上の位置づけを忘れてしまっているかもしれない。もしかしたらそれは、ハプスブルグ家が歴史上のほんの一部でインパクトのある登場を見せているのではなく、あまりにも長い期間連綿と存在し続けていたからともいえるのではないだろうか。
 本書は、西洋史の中でローマ教皇庁と並んで、ただ一つだけ、汎ヨーロッパ的な性格・重要性を持ち続けた王朝であるハプスブルグ家を、その成立から終焉まで概観している。
 11世紀ごろに起源を持つハプスブルグ家が、なぜ20世紀初頭までその影響力の多寡はあれど存在し得ていたのか。著者はその理由を「結婚政策」によるとする。諸侯がしのぎを削る中世ヨーロッパから近代まで、一族の者を婚姻で他家に送り込むことで、ハプスブルグ家は縁戚という防具によってヨーロッパ史上に留まり続けていたのである。
 長きに渡るハプスブルグ家には数多くの君主を輩出したが、本書はその中でも特にマクシミリアン一世、カール五世、マリア・テレジア、フランツ・ヨーゼフの4人を中心に描く。それぞれがハプスブルグ王朝の中でも特筆すべき人物であり、ハプスブルグ家の多様な側面を見せてくれる。
 著者の筆致がやや叙情的な部分もあり、専門書としてよりは上記4人を中心としたハプスブルグ家列伝のような読み物として捉える方がよいと筆者は考える。新書であり手軽に読める。

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