あらすじ
何社にもエントリーシートを提出し,厳しい面接を繰り返し,ひたすら内定を追い求める.この就職戦線には学歴フィルターにオワハラ,学業の阻害といった様々な問題が山積みだ.財界も学者もその原因は「新卒一括採用」にあるという.しかし本当にそうなのか? 就活の現実を直視し,労働社会の根幹にメスを入れる.
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Posted by ブクログ
人事や大学のキャリア担当者といった、様々な形で就職活動と関わってきた著者が新卒一括採用について述べた本。
新卒一括採用はとかく批判されがちである。
しかし、根強く残っているのは若者(学生)・企業・大学の三者にとって合理的な制度であるからだ、と著者は述べる。
学業の阻害や画一性、失敗時のやり直しの難しさなど、就活に向けられる批判を丁寧に検討していきながら、批判されることで就活のあり方がアップデートしてきたことが語られる。
当たり前を疑うことが大切とはよく言われるが、就活のように疑うのが当然視される事柄はむしろその批判を疑うことでこそ新たな視点が開ける。
著者の言説はいずれも興味深いものだったが、特に学業と職業が必ずしも関係ないからこそ学生は好きな学びに没頭できる、という視点にはこれまで薄々感じていた感覚が言語化された気分で、思わず膝を打ってしまった。
様々な問題がありながらも、社会にとっては必要悪と言える就活をダークヒーローと表現した著者の慧眼には脱帽である。
就活に違和感を覚える方にこそお勧めしたい。