【感想・ネタバレ】奪われた集中力――もう一度〝じっくり〟考えるための方法のレビュー

あらすじ

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■今もっとも注目を集めるジャーナリストの一人、ヨハン・ハリの邦訳最新作
「薬物と依存症」「うつ病と不安症」に続き、現代最大の「文明病」に挑む

■世界100万部、隣国韓国で25万部の大ベストセラー
豊かな時間を取り戻したい、すべての人の必読書

以前に比べて仕事も読書も集中できない。
でも、スマホは片時も手放せない。
――なぜ、こんなことになってしまったのか?

現代人全員が、何かしら頭を悩ませている「集中力の喪失」はなぜ生じているのか?
世界各地の専門家や研究者250人以上に取材し明らかになったのは、私たちの集中力はただ失われたのではなく「奪われ」ていること、そして必要なのは個人的な努力にとどまらず、社会全体で「取り戻す」取り組みであるということだった。

仕事ではマルチタスクに追い立てられ、休日はSNSとショート動画に費やしてしまう、だけど本当はじっくり集中して、豊かな人生を取り戻したい、すべての人の必読書。

■社会全体の注意力が危機にさらされていることについて、ヨハン以上に深く、包括的に考えている人をほかに知らない。……本書を手に取り、腰を落ち着けて、集中して読んでほしい。 ――ナオミ・クライン(『ショック・ドクトリン』著者)
『ニューヨーク・タイムズ』ベストセラー、『フィナンシャル・タイムズ』『ニューヨーク・ポスト』ほか各紙の「ベスト・ブック・オブ・ザ・イヤー」に選出!

【目次】
イントロダクション メンフィスを歩く
第1章 原因1――速度、スイッチング、フィルタリングの増加
第2章 原因2――フロー状態のマヒ
第3章 原因3――身体的・精神的疲労の増加
第4章 原因4――持続的な読書の崩壊
第5章 原因5――マインド・ワンダリングの混乱
第6章 原因6――あなたを追跡して操作する技術の台頭(その1)
第7章 原因6―あなたを追跡して操作する技術の台頭(その2)
第8章 原因7―残酷な楽観主義の台頭
第9章 もっと深い解決策の最初のひらめき
第10章 原因8――ストレスの急増と、過覚醒を引き起こす仕組み
第11章 素早い対応が求められて疲弊する――これを逆転させる方法を思いついた職場
第12章 原因9・10――食生活の乱れと汚染の悪化
第13章 原因11――ADHDの増加と向き合い方
第14章 原因12――子どもの監禁(肉体的にも精神的にも)
結論 アテンション・リベリオン(注意力の反乱)
注意力を向上させるための取り組みをすでに始めている団体
謝辞/原注/訳者あとがき

【著者プロフィール】
ヨハン・ハリ (Johann Hari)(著)
1979年生まれ。英国出身のジャーナリストで、世界的ベストセラー作家。これまでの著書は38の言語に翻訳されている。最初の著書『麻薬と人間 100年の物語』(邦訳、作品社、2021)をもとにした映画『ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』はゴールデングローブ賞(ドラマ部門)主演女優賞を受賞し、アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされた。第二作『うつ病 隠された真実』(邦訳、作品社、2024)も話題を呼び、『ニューヨーク・タイムズ』『サンデー・タイムズ』のベストセラーに選ばれた。「依存症とうつ病」をテーマにしたTEDトークの動画は8000 万回以上再生されている。「肥満と痩せ薬」を扱った次作『Magic Pill』も作品社から刊行予定。

福井昌子 (ふくい・しょうこ)(訳)
大学卒業後、企業勤務等を経て、現在翻訳家。訳書として『7つの安いモノから見る世界の歴史』、『アダルトグッズの文化史』、『麻薬と人間 100 年の物語』、『値段と価値』、『オルガスムの科学』(以上、作品社)、『子どもの権利ってなあに』(エルクラブ)、『植民地朝鮮における日本の同化政策』(クオン)、『ヘイトクライムと修復的司法』(明石書店)、『相互扶助の経済』(みすず書房)、『ライス回顧録』(集英社、共訳)、『彼女はなぜ「それ」を選ぶのか?』(早川書房)などがある。

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Posted by ブクログ

内容やエピソードが盛りだくさんで面白かった。

 最近読書に集中できないなと思ってたところだったので目に留まりました。
これが、デジタルデトックスとか、マインドフルネスとか、スマホ依存、監視資本主義、とかいうタイトルだったら手に取ってなかったと思いますが、
今直面している問題(時間はあるのに読書に集中できない)だったので手に取りました。
方法というよりは、主に原因追求でしたが。
集中力を失って久しい私でもスラスラ読めて、多くは共感できる内容の1冊です。
なぜならこの本は我々の注意力低下の原因を深堀りしていくうえで
自己検証も含めて、たくさんの(主にアメリカの)多岐にわたる分野の専門家のエビデンスを、素人にもわかるよう簡潔に書いています。

4章「持続的な読書の崩壊」がまさに共感しました。まぁ、これもスマホで書いてるのですけど… 
 スピードなんかより自分の頭で感じてこと考える時間は非常に有意義だと思います。

著者がコレを書いてたのが2021年で、タイムラグはあるけれど、現在も進行している本当にたくさんの事例があり、エピソード自体にも興味深いものがあります。
病気とされているADHDについてのエピソードもあります。
私が特に興味を持ったのは10章のナディンのような素晴らしい取り組みです。子どもたちにある危機に誠実に対応していることです。
主婦の無鉛化運動、動物のADHD事例も心に残りました。

ちょっとラストは壮大な話「定常状態経済」がどんなものかは想像しかねますけど…

この問題はいろいろな要因がある。
全ては社会的構造への変革を示唆しているけれど、 私は個人の習慣から始めてしまうでしょう。
目的を見失ったSNSの放棄から。
Xのアカウントから。

 何でもいいけれどもっと夢中になりたいなと思った。夢中になると清々しいから。
ゾーンに入ることを、フロー状態と言っていたけど。 そんな状態は数えるほどしかないので

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2025年10月25日

Posted by ブクログ

星6があるなら、星6というくらいの衝撃作。
私たちが集中力をなくしている、本が読めなくなっているという多くの人が持っている印象の裏付けと、その原因を考える。
スマホやインターネットは、その流れを加速したが始まりはもっと前であることがわかる。
拡大し続ける資本主義は、消費者の消費行動を増大させるためにより急がせ、寝かさず、たくさんの情報を浴びせるようになってしまった。その結果、人間は常に疲弊し、ものを考えられず、考えるべきことから目を逸らすようになった。
そして、地球温暖化も放置されてしまっている.
また、ADHDは時間と手間をかければ、そもそも子供を管理しなければ発生率は下がることがフィンランドなどの例からわかる。でも、アメリカでは投薬で対応する.
「絶望死のアメリカ」では、アメリカの医療制度は製薬などの会社に有利になるようになっていて、社会の富を奪っているというくだりがあった。
だとしたら、アメリカで子供を投薬することは、製薬会社のロビー活動などがあるのかも。これもまた、異常な資本主義なのかもしれない。
このような動きに対して、社会運動が効果が期待できるとある。他人と連対することで、大きな意思表明となり、社会を変えることができるのだ。他人と連対が、苦手…とか、言っている場合ではないんだろう

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2025年10月22日

Posted by ブクログ

ヨハン・ハリ氏著。私はまずこちらを読んでから、とてもタメになり(少なくとも私はそう思えた)面白かったので、立て続けに「麻薬と人間〜100年の物語〜」を読んだ。
後者も面白く、ゆっくりこちらのレビューを書こうとは思っているが、後者のインパクトと印象が強く、また日を置いてこちらの書評はゆっくり書かせて頂きたいと思います。
とにかく、私にはどちらも楽しい読書旅行でした。
ヨハン・ハリさん、そしてその中身でインタビューなどに応じて頂いた方々、本の完成までお世話になった方々、誠に有難うございます、と感謝を述べ自然と頭が下がる思いです。ありがとう

読んでから2か月近く経ち、この本の内容を思い出そうとする頻度が増えてきた。
”残酷な楽観主義”って、どんな例で紹介されていたか、読み直したい。
たしか、目の前のリスクや危機を回避するために、いったんは安心する材料を提供する/されるけれど、長い目で見れば、決して解決にはなっておらず、むしろ時間を費やしてしまい、結果として悪化してしまっているような事例のことを指すようなことだったと思うが…

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2025年10月27日

Posted by ブクログ

今や未来の社会に対してなんとも暗い気持ちになってしまう一冊。今起きていることのあらゆるものが時代や社会の変化に元で起きていて、それは個人レベルでどうにかするのはとても難しい。自分にできることはなんだろうか。なんとなく「人間らしさ」と「テクノロジー」の関係性や社会については改めて考えて自分なりに見直すべきかなとは思う。

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2025年09月12日

Posted by ブクログ

現代人が失っている集中力。
個人レベルでも感じていたことであるが、世界的にもその傾向があることをデータを用いて論じた一冊。

SNSの発達により集中力が失われていることはなんとなくわかるし、その切り口で論じている本や言説も世の中には多い。本書はもちろん、そのトピックにも触れているが、労働負荷の増加や教育面でも考慮せねばならない事項が多くあることを列挙し、気候変動のような社会問題であることを突きつけてきた。

SNSという切り口で言うと、SNSが政権をひっくり返して暴力が蔓延する世界を作ったと言う事例が衝撃であった。ここまで醜悪な結末を迎えるほどの影響があるのか!?という衝撃だ。それほどまでに大きい社会問題であるのに、影響を軽視される理屈についても触れていた。

また、これは個人レベルの問題に矮小化してはいけない、なぜなら社会という強大な存在が影響してくるのに、個人が太刀打ちできる領域には限界がある。

とはいえ、個人からできることを始めていこう。そう決意できた本だった。

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2025年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著書は昔に比べて、本を読めなくなっている自分、本を深く読むことが出来なくなっている自分に愕然とし、その原因をスマホやネットに繋がるパソコンにあると認識し、デジタルデトックスを実行。著者が思った通り、それにより以前のような集中力を取り戻す。しかし、その後、普段の生活に戻った途端に元の木阿弥に。彼は気付いた。この問題、つまり「失った集中力」を取り戻すためには個人的な努力だけでは不可能である事を。現代人は「集中力を失った」のではなく、「奪われている」のだ。この問題は社会的な構造・システムとして「集中力を奪ってしまう」ような仕組みが根底にある。そのまず、第一に挙げられるのはソーシャルメディアを扱うGoogleやFacebookなどのテック企業であり、彼らは自らの利益を最大化する事を最優先に、スクリーンに少しでも長く人々を惹きつけるために、あらゆる手段を駆使しているのだ。それが、「集中力を奪う」事により、人々の余裕のある豊かな生活を破壊していく事につながろうとも。「集中力を構造的に奪っている」ものはそれだけではなく、著者はさまざまな要因を各章を追うごとに指摘していくが、最終的に行き着いた結論は次のような事である。集中力を減ずる要因となる人々の暮らしを余裕のなものに追い詰めていく事態が加速化したのは1880年代、つまり産業革命が始まったことがきっかけなのである。これにより経済成長が人間社会の大きな目的となる。経済成長するためには、より少ない時間で多くの消費を喚起していく事が必要であり、短い時間の中で、少しでも多くのことに人々を駆り立てていくよう社会がシステム化されて行く。マルチタスク、睡眠時間の短縮など人々の集中力を削ぐ仕掛けがあちこちに貼られ、このような事態を進めて行くスピードの加速に拍車がかかる。この罠から抜け出すためには、経済成長ではなく、経済の定常化に価値観をシフトする必要があるが、巨大な経済力を持つテック企業をはじめとする現代の巨人に一般の市民が立ち向かい、これを変えていくことなど可能なのだろうか?著者は可能と考えている。歴史を振り返れば、かつては女性の様々な権利が認められず、そのような社会を変えて行くには権力を独占する男性中心社会の構造を変えて行くように立ち向かわなければならなかったが、そんな事は到底無理だと考えられていた。しかし、徐々にではあるが現状の変革に賛同する多くの人々が力を結集していくことでそれを可能にしたのは歴史的事実である。これ以外にも同性愛者の権利や人種差別に対する闘いなど多くの歴史的事実があげられる。これにより「奪われた集中力」を取り戻す闘いも市民が力を合わせて活動することで可能となるのだと。地球環境は経済成長優先の社会のために深刻な危機に瀕している。経済定常化社会を目指し、人々が集中力を取り戻すことでこの地球温暖化をはじめとする問題に落ち着いて冷静に取り組んでいくことができるようになるのであろうと。

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2025年07月19日

Posted by ブクログ

普段自分はモノの感想投稿等はしませんが、それでもこの本は幅広い方に手にとって頂きたいです。
著者の方、編集者の方、出版社の方、訳者の方、皆様ありがとうございます。

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2025年07月14日

Posted by ブクログ

おもしろい!!!!「残酷な楽観主義」めちゃくちゃ良い考え方を知った。他の本の内容と繋がることも多くて、自己責任という言葉で追及したとき得をするのは誰か、個人のコントロールが必要とされるようになったそもそもの環境に疑いを向けるべきではないかってまじでそうだな、、、個人の問題に帰着させるのはどこか組織側の怠惰、というよりは組織の利益のための設計と個人の充実のための設計は時に反することがある、か。
書かれている通り自己啓発本ではないし取り上げる問題が重要だからこそ簡単な対処なんてないことはないって明確にした上で著者はこれを試してみてるよってまとめてあるのもよかった。食べ物が悪い空気が悪い子供たちの教育も良くない!って言われちゃうとこういう考え方もあるかーに留まったけど、やれるところからはじめていきたい

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

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ほとんどの人が、典型的な一日のうちの一時間で、一度も邪魔されずに仕事ができることはないという。

こうした状態が何ヶ月も続くと、自分が何者で何をしたいのかを理解する能力が混乱に陥ってしまう。人生で何をしたいのかがわからなくなってしまうのだ。19
――――――――――――――――――――――――――――――
ぼくは友人たちと、「ワイヤード」という言葉が持つ二つの意味について話しあった。これには、躁、つまり精神的に興奮している状態という意味と、ネットにつながっている状態という二つの意味がある。

ぼくには、この二つの定義が結びついて対になっているように思えた。ぼくは「ワイヤード」でいることにうんざりしていた。22
――――――――――――――――――――――――――――――
人は自分が自由であり、自ら選択をして、何に注意を払うかを選択する複雑な知力を持っていると信じている――だが、それはすべて神話に過ぎない。

あなたとあなたの集中力は、人生で経験したすべての強化[学習あるいは条件付けを通じて反応を維持し、強めること]の総和でしかない。62
――――――――――――――――――――――――――――――
ぼくらは、自分が接する声の質感を内面化するものだ。

どのテクノロジーを使うのか、注意することだ。時間の経過とともに、自分の意識がそのテクノロジーと同じようになってしまうからだ。100
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元グーグルエンジニアのジェームズ・ウィリアムズは、何百人もの一流の技術設計者の聴衆を前に、簡単な質問をした。「みなさんが設計している世界に住みたい人は何人いますか?」。会場は静まり返っていた。聴衆は周りを見回した。誰も手を挙げなかった。135
――――――――――――――――――――――――――――――
画面から離れて友だちや家族と会うことを提案するボタンのない理由がわかる。そういう機能は、ぼくらが最大限画面を見ているようにする代わりに、誰かと直接会う時間を最大化するだろうからだ。140

やつらはぼくらの気を散らせる必要がある。よりたくさん稼ぐために。141
――――――――――――――――――――――――――――――
本当に議論しなければならないことは、どのようなテクノロジーが、どのような目的で、誰の利益のために設計されたのかについてだ。143
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もしたくさんの人が怒って長い時間を過ごしているとしたら、文化が変わり始める。

そうなると、トリスタンがぼくに言ったように「憎しみが習慣になってしまう」。145
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仕事や人間関係から切り離されて、リツイートという甘い当たりくじを求めるようになってしまうのだ。147
――――――――――――――――――――――――――――――
トリスタンは、ぼくらが目にしているのは「人間の集団的ダウングレードと仕組みのアップグレード」だと考えている。156
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多分誰でも経験があると思われる資本主義の代替となるあり方は、サブスクリプションだ。174
――――――――――――――――――――――――――――――
企業が既存の消費者を説得して消費量を増やすことである。もっとたくさん食べてもらうとか、睡眠時間を削らせることができれば、経済成長の源泉を見つけたことになる。今日の経済成長は主にこの二つ目の選択肢によるものだと彼は考えている。

新しい市場がない限り、同じ時間でぼくらにより多くのことをさせなければならないのだ。

もしすべての人が脳と身体が必要とするだけ睡眠をとる生活に戻ったら、「経済システムに激震が走ることになる。だって、このシステムは睡眠不足の人びとによって成り立っているんだから。」302
――――――――――――――――――――――――――――――
アテンション・エコノミー129
監視資本主義140
ネガティビティ・バイアス145
過覚醒193
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2025年11月10日

Posted by ブクログ

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」という新書が去年ベストセラーになっててタイトルに偽りありな内容だったが、こちらはその命題に対して過剰なくらいの回答を詳細に出してくれている。
詳細に出し過ぎて教育・環境・食べ物にも及んだ上で社会運動にしようとアジるまで行く(半分、洋書ならではのユーモアだと思うが)。
世界トップの頭脳が仕組みとして集中力を奪うように作ってるというのは解ってたが、「お前の心が弱いから失敗するんだ」程度の解決方法をビジネスにしてるという視点はなかった。マイナー出版社だがなぜこれが大手で出なかったのかというくらい面白い不思議な本。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

◯ChatGPTでの要約

・著者ヨハン・ハリは、自身の集中力低下をきっかけに原因を探る旅に出る。
・集中力の喪失は「個人の怠惰」ではなく、社会的・構造的な問題であると指摘。
・SNSやスマートフォンは、利用者を長時間惹きつけるよう設計されており、注意を“奪う”仕組みを持つ。
・絶え間ない通知・情報の洪水・マルチタスク化が、深い思考を妨げている。
・加工食品、睡眠不足、慢性的ストレス、教育制度なども集中力を低下させる要因。
・テック企業は人々の「注意」を商品として売買しており、個人の意思では抗えない構造が存在する。
・集中力を取り戻すには、「個人の工夫」と「社会全体の制度改革」の両方が必要。
・個人の対策としては、デジタル断食、SNSの使用制限、読書や自然の中で過ごす時間の確保などが挙げられる。
・真の解決には、注意を奪う経済モデルを見直し、“深く考える権利”を社会全体で守ることが重要。

◯Geminiでの要約
・集中力低下は個人の問題ではない: 現代人の集中力の喪失は、個人の意志の弱さや努力不足ではなく、社会や環境が生み出した構造的な問題であると主張しています。
・12の原因を特定: 世界中の専門家への取材に基づき、集中力を奪う12の要因(技術的、生物学的、社会的要因)を特定しています。
・テクノロジーの設計: スマートフォンやSNSなどのデジタルプラットフォームは、ユーザーの注意を引きつけ、可能な限り長く留まらせるよう意図的に設計されている(監視資本主義)。
・マルチタスクの幻想: 頻繁な通知や情報により、私たちは常に「マルチタスク」を強いられているが、これは実際には「高速なタスク切り替え」であり、集中力と効率を著しく低下させる。
・生物学的要因: 睡眠不足、不規則な食生活、汚染された環境なども、注意力の低下に深く関わっている。
・集団的な解決策の必要性: スマホを遠ざけるといった個人レベルの対策だけでは限界があり、システム全体を変えるための**集団的な行動(アテンション・リベリオン、注意力の反乱)**が必要であると提唱しています。
・深い思考の重要性: 集中力を取り戻すことは、生産性の問題だけでなく、社会全体が複雑な問題を「じっくり」考え、民主的に議論する能力を取り戻すために不可欠であると訴えています。

◯印象的な箇所
・ぼくは本をたくさん読んだ時の自分が好きだ。
そして、ソーシャルメディアに長時間を費やしてしまった時の自分は嫌いだ。
・フィクションは他社に共感する力を高める共感ジムとでもいうべきかもしれない

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前半が面白かった。
タダより高いものはないな。
私たちがソーシャルメディアを無料で使えてるのは、広告を見せられること、操作内容を追跡してデータを集められるから。ブードゥー人形はどんどん本人に近づいていく。
これこそ陰謀論では?って思うくらい怖い話だった。

扇状的なワードで焚き付けて、エンゲージメントを稼げる機能を作れたらエンジニアが評価される社会。

デマによって煽動され、選挙結果も左右されるようになっている現代。

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

自分の時間が増えたのに、一日を振り返るとスマホを見ている時間が異常に長く、大したことをしていないことを何とかしたくて読み始めた本です。

SNSやインターネットを見ていると確かに、集中力が失われている自分がいます。SNSやインターネットも巧みに引き付けるようなインターフェースになっていることも興味深かった。無限スクロールなんて、とっても便利だと思っていたが、確かに無限に情報が見えることでいつまでもSNSを止められなくなっている自分に気づいた。

そろそろそんな自分を変えたいと思っていた自分には大変役立つ内容だった。

スマホを使う時間は最小限にして、自分がフロー状態になれることに集中して、時間と人生を有意義に使おうと思った。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

スマホやインターネット、SNS、マルチタスクの弊害といったことだけかと思いきや、
子供の成長過程における問題や、食生活、環境の問題についてなどとても幅広く集中力や注意力が減っている原因について言及されている。

書籍内にも書かれていたが、自己啓発本ではないので
それら内容からどう行動するかなどは書かれていない。
自分で考えて行動(実験)してみてどう感じるかをヨガ的に内省するための材料を提供してくれるそんな一冊でした。

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2025年08月07日

Posted by ブクログ

スマホだけの問題かと思ったら、環境とか食生活とか子どもらしい生活の喪失など、色々な原因あり。我々はなんとしてでも集中力を取り戻さなければならない。

⚪︎集中するには?

・デジタル制御
通知をオフ、SNS閲覧を時間制限、無限スクロールを避ける
・作業区切り
ポモドーロ・テクニック/バッチ処理で集中を持続
・環境整備
雑音や気になる通知なしの集中空間をつくる
・生活習慣
睡眠・食事・運動を整えて疲労を回避
・読む習慣
ジャーナリング(毎日の思考を書き出す)や読書習慣を組み入れる


⚪︎フロー状態に入るには?

挑戦(チャレンジ)の難しさがスキルとバランスすること
•活動が自分にとって意味がある、価値があると感じられること
•明確な目標と即時フィードバック
•雑念を排除できる環境(集中妨げなし)
•自己統制感(自分でコントロールできているという感覚)

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2025年08月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

注意散漫、重大問題だとあらためて気づかされます。

スマホやSNSが脳や健康、生活の質に与える悪影響とか、

どうやったら自分を律したりうまく乗り越えていけるかとか、

すでにいろいろと知られていますが、

原著2020年出版のこの本はスイス系・イギリス生まれのジャーナリストが、集中力の低下という社会現象を社会問題として提起するに至り、そこからどう対処すればいいのか、そして、少しだけれど、実際どんな取り組みが始まっているのか、にも触れられていたりと、

個人的にとても興味深い内容でした。こういう本は、正直力がいるので(無力感との戦い)避けたくなるけれど、やっぱ読みたいし今回も読んでよかった。

そして、もう一つ読者を引き込むのは、著者自身が当事者として身をもってこの課題に対処する過程を記すものでもあるという点です。

何かに集中しようにも、著者さんも、何かを書かないといけない時にも、たびたびスマホをひらいてしまう、など、現代の多くの人が同じような経験をしたことがあるのではと思いますが、

この本では、著者が3か月のデジタルデトックスに臨むところからお話がスタートします。行先は、アメリカの東海岸のプロビンスタウンというところ。

インターネットから自分を遮断。つながる人は、目の前の人。

「自分の注意が届く範囲で」生活をすることになった。

ちょっと前まではそれが当たり前だったのが、なんでこんなに難しくなっているんだろうなー、って本当に思う。

その経験も踏まえつつ、このテーマに関連する研究者を取材したり、

これまでの研究結果を紹介したりしながらいろいろと紐解いていきます。

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2025年06月06日

Posted by ブクログ

文章が好き
作品全体の雰囲気が好き ◯
内容結末に納得がいった ◯
また読みたい
その他◯

「集中力」の話。
スマホのアレコレから、環境汚染の話まで。

マインドワンダリング
監視資本主義
無限スクロール

いつの間にか当たり前のように利用していた「無限スクロール」の存在が、一番怖かった。

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

■注意力の層
1.スポットライト 今すぐ取るべき行動
2.スターライト 長期的な目標、プロジェクト
3.デイライト 目標自体への志向
*スタジアムライト 目の前の相手を見て連帯する力

■改善策
1.事前コミットメント
(タスクを頻繁に切り替えない)
(スマホを見ない時間を作る)
2.自罰的にならず、フローを求める
3.SNSと離れる期間をつくる
4.マインドワンダリング
5.睡眠
6.子どもと遊ぶ
その他 瞑想 散歩 食事改善など

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2025年09月27日

Posted by ブクログ

集中力も、記憶力も、待つ力も衰えてきていると感じます… 読書とマインド・ワンダリングの記述が興味深かったです

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

前半はとっても面白かったけど、後半はなんだかつまらなく感じてしまった。
私の集中力がなくなったのはスマホのせいと思っていたけど、それだけじゃなくて、Googleが、YouTubeが、インスタが、それぞれ長くそこにとどまらせるような仕組みにしているという事実をしれてよかった。

そりゃあ私より優秀な人たちがそんな仕組みを意図的に作っていたら、おやすみモードとか自分を律する機能をつけてくれていたとしても、自制するのは難しいはずだ。

結局社会が変わるように仕向けるしかなくて、それはいつか実現可能かもしれないけど、長くかかるなぁと思った。

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

集中力がなくなってきたなぁということは自覚する。

本書はおよそ半分強がテック系プロダクトについて書かれている。グーグルは広告が収入になっているため、プロダクトの成功度を測る指標がエンゲージメントというものになっている。ユーザーが製品に目を止めている時間が長いほどよいプロダクトだとされる。

FBのようなSNSも中毒性が高くなるように作られている。現実世界ではこれほど頻繁かつ即座に報酬をもらえる場面はないのでなかなかやめられなくなる。勧められるコンテンツもユーザーが見る可能性の高い、怒りや攻撃、非難を含むものが多くなる。通知を一日一回まとめて送るようにしたり、近隣にいて現実社会で話のできる友人の一覧を出すようなアルゴリズムは簡単に作れるのだが、このようにエンゲージメントを低下させるような機能は作られない。

後半では現代社会の仕事が過重になっていること、大気汚染の影響、過保護で外で遊ばなくなった子どもたち、ADHDが増加していることなどが書かれる。ADHD増加の原因については色々といわれているが、なにか特定の食品を取れば発症が減るというものではなく、特定の食品(ジャンクフードなど調理済み食品)を避けることが必要なのかもしれないと語られる。

自己啓発本ではない、と断っている通りで、著者は3ヶ月間、スマホもPCもなしの田舎ぐらしをしてデジタルデトックスの有用性を実感するのだが、もとの生活に帰った途端、これらは台無しになってしまう。

とはいえ、やはりSNSをやめ、スマホを置くところから始めざるを得ないんだろうと思った

■今日、私たちが正常な脳をもつことは無理なの

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2025年09月15日

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