あらすじ
有り体にいえば雑談である。しかし並の雑談ではない。文系的頭脳の歴史的天才と理系的頭脳の歴史的天才による雑談である。学問、芸術、酒、現代数学、アインシュタイン、俳句、素読、本居宣長、ドストエフスキー、ゴッホ、非ユークリッド幾何学、三角関数、プラトン、理性……主題は激しく転回する。そして、その全ての言葉は示唆と普遍性に富む。日本史上最も知的な雑談といえるだろう。
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Posted by ブクログ
知をいくら重ねても情緒からは逃れられないっていう話。
一つの事象を説明するのに、どの層まで掘り下げてその言葉が出てきているのかわからない為、二人の発言のどこまで理解出来て、出来ていないのか自分でもわからないけど、とりあえず最後まで面白く読めたし、良い言葉たちが沢山あった。
p. 146
小林 愛情には理性が持てるが、理性には愛情は行使できない。
Posted by ブクログ
友人に勧められて。
小林
…誰でもめいめいがみんな自分の歴史をもっている。オギャアと生れてからの歴史は、どうしたって背負っているのです。伝統を否定しようと、民族を否定しようとかまわない。やっぱり記憶がよみがえるということがあるのです。記憶が勝手によみがえるのですからね、これはどうしようもないのです。これが私になんらかの感動を与えたりするということもまた、私の意志ではないのです、記憶がやるんです。記憶が幼時のなつかしさに連れていくのです。言葉が発生する原始状態は、誰の心のなかにも、どんな文明人の精神のなかにも持続している。そこに立ちかえることを、芭蕉は不易と読んだのではないかと思います。(p.133)
ベルクソンの「物質と記憶」にその後言及。