【感想・ネタバレ】モオツァルト・無常という事のレビュー

あらすじ

小林批評美学の集大成であり、批評という形式にひそむあらゆる可能性を提示する「モオツァルト」、自らの宿命のかなしい主調音を奏でて近代日本の散文中最高の達成をなした戦時中の連作「無常という事」など6編、骨董という常にそれを玩弄するものを全人的に験さずにはおかない狂気と平常心の入りまじった世界の機微にふれた「真贋」など8編、ほか「蘇我馬子の墓」を収録する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 昭和20年前後に書かれた文章なのだが、私にとってはもはや古文に近い感覚があるのはちょっとショックだった。しかも、タイトルのモーツァルトのところはいいとしても、西行、実朝、平家物語のあたりになると、本当の古文の引用が目白押しで、自分でも恐らく半分も内容を理解できてないと思われるまま、何とか最後までたどり着いたという感じである。(そんなこともあって、7月10日に「決断力」を読み終わってから、こんなに日数が過ぎてしまった。)

 それにしても、内容は深い。「小林氏の批評美学の集大成」「批評という形式にひそむあらゆる可能性が、氏の肉声に触れて最高の楽音を発しながら響き合っていた」という解説もあるが、音楽から歴史から絵や骨董品まで、その守備範囲の広さには脱帽である。私は単にモーツァルトを読みたかっただけなのだが、ちょっと得をした気分である。

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2020年05月10日

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