あらすじ
無人島にたったひとりで漂着したロビンソン・クルーソー。イギリス小説の父といわれるデフォーの傑作。
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Posted by ブクログ
ピューリタンについてのデフォーの思想がロビンソンの生き様に投影して描かれた本。
無人島では日夜衣食住の整備に勤しんだり、ブラジルの農園の利益配分を細かに計算するところは、勤勉で利益追求を善とするピューリタンの主義が背景の一つとして垣間見られる。
そうした類の描写は他多数。
荒波に揉まれに揉まれまくった半生から、ロビンソンは神への厚い信仰心を培うことになる。神への感謝はロビンソンの中に高尚な慈悲心を生み出し、野蛮な土人を教化して従僕にしたり、無人島生活の途中で出会ったスペイン人やイギリス人を手厚く迎え入れて無人島を豊かにし、やがてロビンソンは「一国の王」に上り詰める。
ロビンソンの逞しくてしなやかな生き様は、時代を超えた普遍的な人間像であり、現代社会に生きる自分にも力強いエネルギーを与えてくれる。
そのエネルギーとは何か。下巻の解説で無神の孤独と有神の孤独に関する論考が参考になるかも。
現代人はよりすがるものがなくて漫然とした孤独感を抱えている。ロビンソンが頼もしく見えるのは、彼が信仰に基づく有神の生活を送っているからだろう。
解説を読めばロビンソンの物語ぐっと豊穣になる。