あらすじ
東京の靴工房・IPPOの若店主・一条歩は23歳。12歳から靴職人として暮らしたフィレンツェに久しぶりに帰ってきた。古巣の仲間が盛り上がる中、昔なじみの客もやってきて──? 腕は確か、されど若造。靴職人青年・歩の本格手仕事ストーリー!!
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Posted by ブクログ
ストーリーが面白い、のもあるが、人生勉強になるから読んでいるんだな、と自分で思う
『ストレッチ』(アキリ)や『まかない君』(西川魯介)のように実用性が高い訳じゃない。さすがに、靴は自分の手じゃ作れない
何と言ったら、正確に伝わるのか・・・・・・本気で働く、結果を出す、自分を磨く、ってこういうことか、そう漠然と、この『IPPO』を読んでいて思う
確かに、今、私はちゃんとした仕事に就いて、毎日、働いている
現在の仕事の、就業時間や給料、同僚との関係などをひっくるめた環境には、特に不満はない
しかし、たまに、自分の今、している仕事は誰かのためになっているのか、と考えてしまう時がある
他人に「頑張っているね」と言われたくて、仕事に励んでいる訳じゃないにしろ、判り易い結果が目に見えないと不安に襲われる
だから、この『IPPO』を読むと、そんな事でウジウジ悩んでいる自分の、人間としての浅さに気付かされ、自己嫌悪から曲がっていた背中が一時的にしろ伸びて、今まで見ていたモノが違って見えてくる・・・気がする
何の為に働いているか、は人それぞれだが、大事なのは、きっと、お客さんが信頼してくれている『自分』を裏切らない仕事をする、自分の誇りを自分で損なうよな結果を出す仕事だけはしない、そこなんだろう
主役である若き靴職人・一条歩が天才的なセンスを持ちながらも、まだまだ、職人としても人間としても完成しておらず、自分の至らなさを持ちこまれる仕事と向き合う事で気付き、一気にではなく、人間らしく、ちょっとずつ成長していくトコが、この作品の魅力でもある
また、微妙なラブコメ感もあり、気持ちを向けられている当の歩が、てんで鈍いトコも面白い。やっぱ、一つの才が突出しすぎていると、他人が考えている事に敏くても、女性の恋愛感情には疎くなるのかね?
この3巻に収録されている、どの話も、自分の皮を剥いてくれるモノだが、特に私が他の読み手に薦めたいのは、Episodio.16だ。変わる事、変わらない事に良いも悪いもない、それは生きていれば当たり前の事。大切なのは、自分の何を変えるべきか、何を切り捨ててはいけないか、を自分でちゃんと考え、行動し、変わった自分を自分がまず受け入れる事。“本物”はその形を時の流れの中で変えても、美しさを失ったりしないのだから。それは人も同じ。姿形が違えようとも、自分を貫いている人間はカッコ悪くない
この台詞を引用に選んだのは、歩の職人としての矜持、先人たちへの尊敬を強く感じられたので。自分の持つ、自分が受け継いだ技術への感謝、それを私は持っているんだろうか
Posted by ブクログ
靴擦れして疲れていて、テレビでふと見たのが靴職人で
というのがわかる感じ。
陽子さんが仕事に点数つけて欲しがるのも
良くないことだろうけれど気持ちはわかる。
100点の靴と言っても、人によって違うから答えはひとつではない。
”完璧な靴”ならマシンメイドでいいというのも納得した。
ほかほかの履き心地という形容が好き。
ハンドソーンマッケイ製法というのを知らなかったが
手が小さい方が有利で、だから男性で手が小さい方で
欠点に数えられがちかもしれないところが利点になる
というのが良い。
技術はいい靴のための手段で
技術のための靴であってはいけない。
技術を残すのは職人だけではできない、
靴を愛する人がいてこそ
というエピソードがとても素敵だった。
Posted by ブクログ
フィレンツェの思い出に浸れました。街角にジュルリーニありそう。素敵なお店だろうなあ、と想像が膨らみました。ひっそりと、それでいてじんわりと染み渡るストーリーばかりです。そして、靴好きには応えられないエピソードの連続。今回も堪能しました。
Posted by ブクログ
1~3まで
同じ作者のゴロンドリーナが面白かったので読んでみた。
靴職人と客との触れ合いみたいなのだけど、ゴロンドリーナのほうがインパクトあった。
でもおもしろい