あらすじ
どんなに前向きに生きようとも、誰しもふとした折に、心が萎えることがある。だが本来、人間の一生とは、苦しみと絶望の連続である。そう“覚悟”するところからすべては開けるのだ――。究極のマイナス思考から出発したブッダや親鸞の教え、平壌で敗戦を迎えた自身の経験からたどりついた究極の人生論。不安と混迷の時代を予言した恐るべき名著が、今あざやかに蘇る。〈心の内戦〉に疲れたすべての現代人へ贈る、強く生き抜くためのメッセージ。
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Posted by ブクログ
五木寛之さんの作品を読んだこともなく、生い立ちも知らなく、ただこの本はおススメと言われ読んでみたら、なかなかよかったです。中身は共感できる言葉ばかりで、弱者、ネガティブな気持ち、がんばれない人たち、気持ちの切り替えが不可能なひとたち、そういう人や感情を受け入れて良しとすることを伝えてくれるから、勇気をもらえる気がする。
初版は平成11年だけど、今にも通じる言葉がたくさん書かれている。全然古くない。
Posted by ブクログ
「世界一受けたい授業」で取り上げられていて、キャンセル待ちをしてようやく手に入れた本を、ようやく読みました。
読み手の年齢や時代や個人の状況によって、受け取り方が大きく異なってくるかもしれませんが、私にはとっても心に沁みるお話ばかりでした。
本当そうだなぁー…と頷きながら読んでいました。
そしてこの本の初版が発行されたのが平成11年で、著者が“昔と比べて今はこんな風に変わってしまった(ネガティブな意味)”というようなことを語ったりするのですが、それから23年が経ち、世の中はもっと悪くなってしまったと嘆いていらっしゃるのではないかと想像してしまいます…。
20年以上も前の本ですが、現在の私たちに響く言葉ばかりです。
ラジオを聴いているような感覚で、一冊あっという間に読んでしまいました。
個人の思いや考えを知ることはとても興味深いですが、昨今の動画サイトなどを見ると、個性を強く主張して目立とうとする風潮があるように思えます。
本作は、終始優しい語り口でも強い思いはしっかりと伝わり、仏教や著名人のエピソードなども交えてお話しくださるので、学びにもなります。
また著者がどうしてこのようにネガティブに思うのかについて、戦争という凄まじい体験が根底にあり、改めて戦争の惨さを感じました。
人によってはなかなか受け入れにくい文章もあるかもしれません、でもある程度の年齢になると、誰かしら、どうしようもない耐えがたい絶望的な気持ちになる経験があると思います、そんな気持ちに対して、無理に励ますのではなく寄り添ってくれます。
そしていかに著者がマイナスな感情を持ち、その中でもプラスの思考を見いだそうとしているか、世界で起こっている事象について、問題点の投げかけと改善策を考えてみる、という後半は特に勇気づけられ、背筋を正してくれて、この言葉もあの言葉も忘れたくない!と思いながら読み進めていくうちに、気付いたらたくさんのドッグイヤーが付いていました。
私たち人間は自然エネルギーも必要としますし、自分よりも弱い生物を犠牲にすることも必要としますし、精神的な魂の食べ物(愛・友情・人生の目的etc)も必要として生きています。
人(だけでなく植物や動物もみんな)にとって、生きるということがどれほどの大きな努力に支えられているのかに改めて気づかされました。
そして現在・過去・未来はすべて“今”に集約できること、今を大事に見つめ続けることの重要性や、人間は喜ぶと同時に悲しむことが大事という話は、ディズニーの名画『インサイド・アウト』を思い出して余計に納得しました。
また免疫学の観点から、寛容<トレランス>の精神の重要性も教えてくれました。
そしてP167~のC・W・ニコルさんのお話、アウシュビッツから奇蹟の生還をはたしたフランクルさんのお話では、礼儀や身だしなみという、極限状態では後回しにされそうなことが最も重要であること、感動すること、喜怒哀楽の人間的な感情を忘れない人がサバイバルでは生き残る、というも印象的でした。
心と体は深くかかわりあい、人の命を支えている。
そして人間は一人で決して生きてはいけない。他人の悲しみを自分が代わってあげることはできないけれど、相手の痛みを自分の痛みのように感じることはできる。
そして<布施行>への意識はこれからも忘れずに持ち続けていきたいと思いました。
また言葉の力の大きさ、蓮如が勧めた、できるだけものを言うようにすることへの意識、とは言えども、言葉にならない深い思いというものもある、という事もきちんと理解しておきたいです。
先日衝撃的で信じられない事件が起こり、ここ最近、とある特定の宗教がニュース番組で毎日取り上げられていて色々と考えさせられます。
個人的な宗教そのものの世界観についてですが、
生きていく中ではどうしようもない絶望感に囚われてしまうこともあり…、そのようなときに救いとなるものが、宗教のような精神的な世界だと思っています。
著者のP39~『大河の一滴としての自分を見つめて』の中で宗教について書かれていますが、本当にその通りだなと思いました。
*****引用*****
“私たち日本人のほとんどは、意外に思われるかもしれないが、常に宗教と背中あわせに生きているものなのである。夕日を見てなんともいえない不思議な気持ちになったり、深い森を不気味に感じて恐れたり、アスファルトの裂け目にめぶく雑草に感動したり、その場その場で私たちはおのずと目に見えない世界に触れるのである。”
“宗教とは教義や組織によって成り立つものではない。人間の自然な感情から出発するものなのである。”
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暗闇の中にいるからこそ光を感じられることの喜びや有難さに気づけていけるようになりたいです。
Posted by ブクログ
生と死について、納得したり発見できることがあった本でした。
自殺する人が多いなか、「生きたくても生きられない人もいるのに」と非難されることがあるけれど、
筆者をはじめ紛争や戦争などで死が身近にあった人たちにとって、生への喜びや執着などものすごく大きなパワーが生み出されていたでしょうから、現代の「普通に生きられている」人たち(私を含めて)が、死を選択したりなんとなく生きているのも、ある意味しかたがないのかなと考えさせられた。
生きているということを実感するためには、「死」を意識するしかないのかな。。。
死ぬ気になればなんでもできるというけど。
面白かったのは、
「人間が生まれてくるのに10ヶ月かかるのなら、死んでいくにもやっぱり10ヶ月かかる」というところ。
亡くなった人の社会的な存在や記憶を、10ヶ月時間をかけてゆっくりと送り出す
お葬式や四十九日という儀式がより尊く大事なものに感じました。