あらすじ
なぜ、プロジェクトは予定どおり進まないのか――そんな誰もが抱えるジレンマを解消する。これまで考慮されてこなかった人間行動の特性を踏まえ、プロジェクト・マネジメントにTOC(制約理論)を応用したクリティカルチェーン、我々の常識を覆し、パフォーマンスを飛躍的に改善するソリューションを提示。
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Posted by ブクログ
プロジェクトマネジメントをいかに行うかという話を小説にして解説。
プロジェクトには余裕の時間が見積もりに含まれている。
一番長く時間がかかる部分がクリティカルパスで、そこを中心に考える。
セーフティーが無駄になる理由3つ。ぎりぎりまでやらない。作業の掛け持ち。ステップ間の従属関係。
プロジェクトマネジメントとは優先順位をつけること。それが何かがクリティカルチェーン。
Posted by ブクログ
久しぶりのゴールドラット博士の本。
前半は独特の雰囲気にわくわくしつつ、マーキングしながら読み進む。手ごたえ十分の引きに、網を準備してどんどんリールを回している感じ。
特に、ジョニーの研究発表の長いシーンは、発表内容の素晴らしさと共に、発表を聞いているリックとジムの反応の変化の描写が巧みで、引き込まれる。
コスト・ワールドとスループット・ワールドを分けて考える考えるのは天才だと思った。言われてみればその通りなんだけど、それはあまりにも結果論。
「一つひとつの部門、部署における部分改善は自動的に組織全体の改善につながる」のがコスト・ワールド。
パレートの法則は、独立変数で構成されるシステム(コスト―・ワールド)にしか適用できないというのはまさに目から鱗だった。
そして、この2つはコンフリクトするが、それはTOCならではの、コンフリクトが生じた場合、それは誰かが間違った仮定をしているからだ、しかしその仮定は修正することができ、修正することでコンフリクトを取り除くことができる」という理論で、実はコスト・ワールドの「優れたコスト・パフォーマンスを実現するためには、優れたローカルパフォーマンスを実現するしかない」という仮定が間違っていたと喝破する。ここまではお見事。
何故かここ以降は私にとってはもう一つだった。
クリティカルパスではなくクリティカルチェーンというのは非常に共感できるのだが、その解決には至らずに終わってしまった感が否めない。
それでも全体としてはとても素晴らしい本。
やっぱりTOCの全体最適の考え方には贖い難い魅力がある。
Posted by ブクログ
翻訳本につけられた副題は興味をそそる。これは永遠のテーマで、何万という人が挑んでは敗れ、研究がなされても解決されていないテーマ。結局、組織はヒトの集合で、どのようなマネジメント論でも生き物を突破できないところに難しさがあるのだろう。
ゴールドラットの本は3つ目だが、TOCを生産現場に適用したこれまでの例からプロジェクトに置き換えられた例がよりイメージしやすかった。在庫はセーフティという言葉に置き換わり、ボトルネックはクリティカルチェーンになる。ただ、論としてはいささか抽象的なところや飛躍っぽい(というか具体的な説明が不足)なところも多く、実際に適用する際にどうしていけばいいかまでは提示されていないように感じた。本当にうまくいくのか?という疑問に十分には答えていない。ただ、直感的にはいいこと言ってると思うので、本質は間違っていないのだろう。
以下、メモ
プロジェクトとは、
・目的(スコープ)
・資源
・納期
の3つの要素がある
プロジェクトには
・人間行動の特徴
・不確実性(バラつき)を織り込む
→個別箇所のバッファは持たず、
・プロジェクトバッファ
・合流バッファ(タイムバッファ)
を織り込む。
・同期バッファ(ボトルネックバッファ、リソースバッファ)(同一リソースしか作業ができず、必要なリソースが他作業から剥がされるのを待つバッファ)
は作業者への事前通知で回避。織り込む必要なし。
全体を予定通りに終わらせるためには、各ステップも予定通りに終わらせる必要があるという誤解
結果、各ステップに本来不要なセーフティが積まれてしまう
セーフティには3つの特徴がある
・実体験に基づいたセーフティ
・関与のマネジメント数に応じたセーフティ
・カットされることを予め見越したセーフティ
これらは無駄にされる。セーフティはなぜ食いつぶされるのか?
・浮いた時間は報告されない
・学生症候群(余裕を持って始められることは少ない)
・作業の掛け持ち
・ステップ間の従属性(前の遅延に影響を受ける)
→ステップがつながっている場合、早期完了してもその時間は活かされないが、遅延は蓄積していく。=作業時間は平均化されない
X→Y
Yの前のXステップでトラブルがあったとき、Yはしばらくバッファ(在庫)を食って生き延びる。
Xが復活した際にYが通常通りの処理を続けるためにはXが止まっていた分を補うY以上の生産能力(キャパシティ)が必要。
余剰生産能力は必要。100%の能率で働かせる必要があるのはボトルネック(Y)だけ。在庫/セーフティはボトルネックの前に置く。
通常バッファはその完了可能性が80%もしくは90%以上になるように積まれる。その際のセーフティは不確実性が高いほど標準偏差の中央と乖離していき、数百%のセーフティになる。
→各ステップのバッファはすべて削る。完了可能性が50%程度で積ませ、終わらない可能性はすべて
・合流バッファ
・プロジェクトバッファ
で吸収する。
進捗はクリティカルパスが何%完了したかだけを見て、個別のステップに対して評価することは無意味。(全体のスループットに関係ないから)
次の工程にいく引き渡されるのかだけを報告させ、
予定より2日早く終わったらプロジェクトバッファを2日増やす
予定より2日遅く終わったらプロジェクトバッファを2日減らす
重要度は、
1 クリティカル上のステップで遅延によりプロジェクトバッファを食いつぶしそうなステップ
or
クリティカルパス上にないが、遅延により合流バッファをすべて使い切ったステップ
2 プロジェクトバッファにはまだ影響していないが、合流バッファを食い始めたステップ
・各ステップのリードタイムを半分に削る
・個々のステップの期限設定を廃止
・予想完了日を頻繁に報告させる
コストより納期が重要
納期遅れの損失は、目先のコスト削減効果の比ではない
→売上の損失→マーケットシェアの損失→株主期待感の損失→株価の損失
下請け
リードタイムは長いほうがよい。変更も多い方が良い。
→早く完了すればボーナスを支払い、遅れたらペナルティを課す。価格競争から脱却させる
クリティカルチェーン
・作業の従属性(従来のクリティカルパス。従属ステップが最も長期間になるパス)
・リソースの従属性
競合リソースの並べ方、入れるの最新化のインパクトは、プロジェクトバッファのそれに比べると格段に小さく不確実なので、熟考の効果は薄い
Posted by ブクログ
PJとは、①予算をオーバーするもの②期限までに終わらないもの③計画(当初予定の機能数など)を縮小するものと考えられている。
その理由に、マイルストーンを用いた管理(つまり、期限を決めた管理)を行っているからとしている。
マイルストーンは「人は与えられた時間を目いっぱい使う」とするパーキンソンの法則で指摘されているように、製品の製造時間を長くしている。
そのため、タスクは、マイルストーンではなく期間で管理することが推奨されている。
これにより、リードタイムは短くなる。また、期間より早く完了することでボーナスを、期間より長くかかるとペナルティを与えるのも有効。時間は金で買える。
また、タスク1つずつにバッファが組み込まれていることがある。これもやめること。
タスクはできるできないが50:50になる期間を設定する。もちろん期間を守れないこともあると思うが、これはプロジェクトにバッファを付けることで対応する。
タスクにバッファはつけない。
また、PJは並行で幾つも動いていて、クリティカルパスだけを監視していてもうまくいかないことがある。その時はクリティカルチェーンで考える。その時、合流ポイントにもバッファを設けておくとなおよい。
タスクとタスクを組み合わせ、製品が完了するまでを1チェーンと考え、全体のスループットを考えることは、今までのコスト・ワールドからスループットワールドの考え方に変えるということ。Aさん部品A10個/h、Bさん部品B20個/h作れる生産性を持っていたとして、商品LにはA10個B10個必要だとすると、どうなるか。人は生産性によって査定されるからBさんは20個/hつくるだろう。でも余った10個はどうするの?在庫にするの?コストかかるよ?
タスク1つの生産性をどーんと上げる努力をしても、スループットは上がらないことをきちんと理解しておくべき。
Posted by ブクログ
過去に図らずもCCPM的手法で開発できていたことがあるのですが、思い返すと確かに効果があったように思います。
その時には気づけませんでしたが、本作を読んで改めてCCPMの有効性に気づかされました。10年も前の本ですし、小説仕立てとはいえやや難解ではありましたが、とてもためになりました。