【感想・ネタバレ】結果を出すリーダーはみな非情であるのレビュー

あらすじ

明治維新も第二次大戦後の復興も、革命の担い手はいつの時代も、企業でいえば課長クラス、ミドルリーダーだ。日本も今の混迷期を脱するには、ミドルリーダーの踏ん張りが欠かせない。社長も含めて上司はコマとして使い、最大の成果を上げる--。自分がトップのつもりで考え行動するリーダーシップの鍛え方とは?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

変革のリーダー、今必要とされているリーダーとはどのようなリーダーなのかについて、語られた本。
グロービスで学ぶOBHの内容とも整合しており、非常に学びが多く、良い方向性を示してくれる良著。

<メモ>
・現場に近い情報は課長クラスが圧倒的に持っている。上部構造では決められない難しい問題ほど、現場レベルで決められる場合が多い。
・差を生むのはマインドセットの違い。
・北欧は福祉に厚い半面、自助の精神を持つことを子供の頃から教え込まれるのが普通。公助は厚いが共助が縮小し、人々の孤独は高まっている状態。共助が厚い日本とは根本的に異なる。
・ミドルは事業のマイナス面をボディブローのように撃ち続けることが重要。これが効いてきたところで最後の一打を放つ。これは外圧を使ってもいい。銀行や経理部、マスコミなど。社会の力を借りながら、社内的には一生懸命説得を続ける。ボディブローが効いていない段階で外圧を使ってもあまり効果がない。
・合理的思考の基本となるフレームワーク
1 客観的事実の認識:その主張の背景事実を把握する
2 主観的事実の理解:関係各社の立場の違いや主張の裏にある真の目的関数、価値選択を理解する 
3 価値・規範の選択:その中でより本質的に重要な目的、価値を考える
4 規範に基づく事実評価:価値を実現する手段やその価値規範に照らして背景事実を評価し、各人の主張に根拠があるか否か論理矛盾や事実との齟齬がないか分析する。
5対策提示:主張の当否を判断し、否であるならば、未来に向けた価値実現のためにより合理的で有効な代替策を構築提示する。
・過去の事象の評価はその評価が目的ではなく、未来に向けた有効な対策を講じる材料として評価すべき。
・意思決定にはタイミングが重要、不可逆的な意思決定は先送りすべきかどうかの現時点で決めるかどうかという意思決定自体が大きな意味を持つ。リスクコストと情報不完全性のリスクコストを見比べて判断する。
・改善と変革は異なる、ゲームは改善では差がつかず、どのタイミングで投資意思決定できるかが重要となっている。経営における勝ち負けはシェアではなく、儲かるか儲からないか。
・引き算の戦略思考、戦略を考える前提要素は1経済構造、2市場環境、3競争ポジションの3つ。
・摩擦から生まれるコストや混乱を最小化して、実行に移すこと。それが本当の経営。血も涙も流れない範囲で目的設定をするから意思決定が歪む。
・古典的な文学しょや哲学書、宗教書、歴史書は組織論の教科書として示唆にとんでいる。特にマキャベリの君主論やシェークスピアの戯曲など。
・ある組織や集団において主流派にいる人間こそが革命をなしうる。主流派と言われている人たちこそ矛盾や課題を理解している。与党的な立場にいるからこそ権力の使い方、権力の怖さ、権力の限界もよく知っている。
与党として考えて行動する。リーダーたる者はそこから逃げてはいけない。
・グローバルモードは多様性の負の側面に耐えるということ。
・ガバナンス改革、革命は10年単位での長期的な努力を継続する覚悟が求められる。
・共同体の調和を重視する集団は現状維持を目指す。日本の場合はよく曲がらない車で、トップが一人で運転できないため単にブレーキを強くしたところで意味がない。アメリカはスポーツカー。危険なためブレーキは社外取締役が踏めるようになっている。
・持続的に企業価値を高めてきた会社の共通点はトップの顔が見える会社、最終的に誰が物を決めているかはっきりしている会社。
・国家レベルの重要なスキームであっても、実質的に物事を正しく決めているのは、数人の課長クラスの官僚と外部ブレーン。本当にわかっているほんの数人でスキームを作り上げてしまえば、後の要路を根回ししたり、決断できる大臣総理からトップダウンで下ろしてもらったりという戦術レベルの話を使える。
・自分が関わるべきだと思う重要案件については積極的に関わる姿勢を持っておくこと。
・部課長クラスの人は一次情報をたくさん持っており、大きな影響力をもつ。経営トップのごとく考え、決断し、行動する人材が重要。
・捨てることは成長すること。捨て続けることができる企業のみが成長を持続できる。
・部下評価で成果と能力を混同しない。

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2017年03月27日

Posted by ブクログ

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結果を出すリーダーはみな非情である 2012/10/25


5つ星のうち4.0 常に与党の立場で考え行動する

2014年4月15日に日本でレビュー済み
産業再生機構でトップを勤めた冨山和彦さんの本。

流行している言い方だと意識高い系の本になるのだろうか。
ただし良い意味で危機感を持って動いた方が良い事が多い今の時代には本書は何らかの示唆を私達に与えてくれると思います。

富山さんの著作は他に「会社は頭から腐る」「挫折力」などを読んでいたのである程度は話の流れは殆ど同じです。
(*無論読んでいなくても問題なし)

本書にしかなかった話で興味深かった事をまとめてみます。

会社にも寿命があること。
→ソニーがかつてのイノベーティブな会社になれないのは組織が10万人以上、創業60年を超えていることからも理。
グーグルやアップルのような会社ではなくGEのような会社を目指す。

論理で物事を判断する、情緒的直感で判断しない。
情に流される経営者では駄目。

サンクコスト(埋没費用)に振り回されない。

地道な説得を続ける事の大切さを痛感すること。
→論破すれば良いと良いというものではない。
 守旧派に恥をかかせるような言い方をしない。

社内の空気、雰囲気を少しづつ変える努力をする。
最後の一打は外圧などを使っても良い。

アリとトンボの目を持つ課長(管理職)を目指す。
現場と経営者層の両方からの一次情報が取れることを大切にする。

自分がトップならどうやるのかを常に考えておく。

常に与党の立場で考え行動する。
口先だけの万年野党、評論家にならない。
→いざ権力を握っても民主党にようになるから。

戦略的思考は血も涙もない結論を導く。
引き算(捨てる)の意思決定が出来るようにする。

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2022年08月28日

Posted by ブクログ

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メモ

# 読む前の問いかけ

Q1. 「必ず非情であるべき」の根拠は何はあるのか?
Q2. 「結果」の定義とは何か?

# 読んだあとの感想(個人の見解です)

A1. 感情を全て否定しているわけではない
「薄情け」が最も憎むべき
リアリストに徹して合理的判断をしつつ
情を持ってコミュニケーションを取るべし

A2. 本書では、「結果」について詳しく掘り下げていないので特になし

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2019年05月03日

Posted by ブクログ

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富山先生のご著書を拝見すると、とてもドライな方だという印象を受ける。しかし、富山さんが産業再生機構(政府系の再生ファンドね)のCOOに就任された時、高給を蹴って富山さんの下に馳せ参じた方が少なからず居たという。

本書も「俺って仕事は余り。。。」って方には、将にハル・ノート的なご著書だと思う。何せタイトル通り「非情にやれ」ということであるからだ。

富山さんは言う。情緒に流れた選択が日本をダメにしたというのだ。例えば上記のハル・ノート。これは皆さんもご存知の通り、米国から「我が国と和平条約を結びたかったら、中国から完全撤退しろ」というものだった。

このハル・ノートによるサンクコスト(埋没費用)は英霊20万人。当時の軍部は「英霊20万人を無駄にするのか~?」ということで、日米開戦を行い、結局日本は敗戦の憂き目に遭い、都合300万人の命を落としたということである。

このように現在某電機業界の数社も本書によると、明らかに致命的な時間的・サンクコスト(ご著書ではサンクタイムと仰っている)をもったいがって現在の悲惨な現状に喘いでいると断ずる。

このような憂き目に遭ったのは、やはり日本的なエリートが経営幹部を占めることになったからだ、と富山先生は分析する。

彼らは、いい大学を出て、一流企業に入社し、日本的な情緒的な意思決定を行い、合理的かつ論理的な判断が出来ない輩が多いとまで断ずる。

因みに富山さんは、東大法学部を出て、司法試験に受かり、当時は珍しかった外資系のコンサルタント会社に就職し、多くの苦労をしつつ、スタンフォードのMBAを30歳で取得し、それからのご活躍はご存知の通り。

そんなパーフェクトな経歴を持つ富山さんは、日本的な経営手法に疑問を呈する。ミドルクラスの課長連中は本当に会社の事を思って日ごろから仕事をしているのか?富山さんが再生を手掛けた、カネボウ・JAL共に改革を推し進めたのは、危機感を持った優秀な課長クラスのミドル・マネジャーだったという。

具体的に言うと、論理的な発想で経営の目線を伴って日ごろから、職務を随行しているか?会社が危機の時、部下に「君は要らない人材」だと合理的に説明して、会社の再建の力になれるのか?

JALの場合、そのような中間管理職達が派遣社員・スチューワデスが年収300万円で働いていることを、JALのOBに説明し、彼らに年金額のカットを求めてJALを再生に導いたことなどである。それはどの会社でも革新的な意識を持つミドル・マネジャーであるという。

そうなるためには、と書きたいところだが、詳しくは本書を読んでほしい。特に「俺はこんなに頑張ってるのに、会社は全然体質が旧態依然としているんだよな~」とかいう人にはうってつけ。

私の前職の支店長代理(今は部長職を拝命しているらしい)も城南信用金庫の「懸賞付き定期預金」という金融商品を聞いて「ウチの経営陣もしっかりして欲しいな~俺たちこんなに頑張っているのに~」と零してた。Y部長あなたの事ですよ!

という訳で、富山さんの凄さを少しも出さない、私のブログ。富山さんの部下だったら、真っ先にFiredである。おしまい。

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2016年03月29日

Posted by ブクログ

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一般的な自己啓発の本(あまりよんでないけど)とはちょっと違うなと思いました。
ミドルリーダーの時点で、ストレスを自分にかけておかなければ、重大な決断をできるようにはなれない。40前のぼくにはよく考えさせられる本であったと思います。

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2013年04月20日

Posted by ブクログ

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こっぱずかしいタイトル。内容はまとも。

- 与党として考えて行動する。
- 論理的な解がない問題に対しては、考え、悩み尽くしたうえで、最後はなんとか折り合いをつけるしかない。
- 反対している人を論破しようと考えてはいけない。情緒にうったえる。
- どんな人も何らかの比較優位を持っている。それを見つめて力を引き出す。
- 挑戦する仕事をコミットする。
- 失敗・敗北はしっかりと抱きしめる。

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2013年11月04日

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