【感想・ネタバレ】外資系金融の終わりのレビュー

あらすじ

世界同時金融危機からユーロ危機に至る最近のマクロ経済の重要なトピックの解説を縦糸に、そして激変する金融業界の赤裸々な内幕――人事制度、報酬やリストラ、そこで働く人の人となりやキャリアなど――を横糸にして、これからの金融の行方を解説。身も蓋もなく、苦笑せずにはいられない人気ブロガーの筆致が冴えわたる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ちょっと言葉がきつく、金融の負の側面ばかりにスポットを当てているキライはあるけど、中身はその通りの事が多いです。

外資系投資銀行の一線で活躍するトレーダーの赤裸々な実態。同じ外資系バンカーの端くれとしてどれも非常に同意できる内容であった。特に斜陽の投資銀行業界は、人事面では同様の事が起きていると思うし、自分の周りも非常に似た状況である。リーマンショックを経て、投資銀行部門から人がたくさん溢れてきている。

著者の内容の通り、大半の外資系(日系も大して変わらないが)にとっては、顧客や経済への貢献とは無縁の世界で、カネや地位のために皆色々なものを犠牲にしており、外見とは裏腹に空しく儚い世界だと思う。それは、この業界に関わる政界や大企業とのもたれ合いによっても生じている。でも金融の意義や社会的使命にもうちょっとスポットが当たれば、世の中の見方や中に居る人も変わっている気はする。

著者は科学者からの転身であるからか、この業界を一段別次元から見ているところも面白い。特に、金融工学のエクスパートや最難関大学の最優秀の人材がこの様な空しい世界に集められている点については、警鐘も鳴らしている。「彼らが癌やエイズの研究を続けていれば世界の救世主になれたかも知れない。宇宙の謎を解き明かしたかも知れない。それが、世界恐慌を生むような負の金融システムを作ってしまった。」という点は、多くの人に知ってもらいたい点であるし、今の資本主義の限界を表しているような気もする。

そして現在、それ以上の問題として「金融保護主義」を上げ、巨大金融グループの「Too big too fail」の弊害を説いているが、これもご尤もである。人類の英知が引き続き試されており、金融界にはもっともっとメスを入れるべきと思う。実際、世界中の納税者に影響を与えているので他人事では無い。

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2014年11月01日

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