【感想・ネタバレ】「超」入門失敗の本質のレビュー

あらすじ

なぜ、日本は同じ過ちを繰り返すのか?今注目される組織論の名著を、若手戦略コンサルタントが23のポイントからダイジェストで読む。戦略性・思考法・イノベーション・型の継承・現場活用・リーダーシップ・メンタリティ…今日の閉塞感に横たわる、日本的組織の負の構造を乗り越えるヒント。野中郁次郎氏推薦!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「超」入門 失敗の本質
日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

この手の本では異例の52万部を突破だそうです。前から「失敗の本質」を知っていて、読むべき本と思っていたのですが、内容がわかりづらいという評判も聞いていたので二の足を踏んでいました。
先日、twitterでフォローしている糸井重里氏のコメントで面白い旨の記載があったので、早速購入しました。
思っていた通りの内容で、日本の戦略策定の下手さ、経験重視主義、雰囲気に流されるなど、日頃からアメリカ人と日本のお客様との板挟みにあっている経験からしてとても納得のいく内容でした。
現在の日本のビジネスの例を対比させているのも、分かり易くなっている理由かと思います。
時々、引いている例が的外れなものも散見されますが、おしなべて分かり易い内容だと思います。
Japan As No.1の成功体験から抜け出せず、総崩れの様相を示している日本の企業にとって、この本にあるような耳の痛い話に真摯に向き合い、自分の頭で戦略を考えるということが今の日本に必要なことだと痛感しています。逆に、こんな名著を学校でも会社でも教えてもらえない日本って???ということも思いました。

日本人必見の書の入門書です。

竹蔵

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2025年07月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

失敗の本質は、23個の項目には収まらない

本書は、日本軍の失敗を23の組織的ジレンマとして整理し、現代の組織にも通じる問題として提示している。読み進めながら感じたのは、23項目を覚えれば組織の失敗を防げる、という話ではないということだった。仮に23項目をすべて解消したとしても、新しい環境には新しい失敗要因が現れるだろう。むしろ本書から学ぶべきなのは、組織が「いま何によって失敗しつつあるのか」を見立て、発見し、修正する能力ではないかと思う。

勝った理由を間違える

特に興味深かったのは、成功体験の扱いである。ある戦いに勝ったとしても、なぜ勝てたのかを正しく理解しているとは限らない。自分たちの能力だけでなく、相手の事情、地理、兵站、政治情勢、技術、偶然など、複数の条件が重なって結果が生じているからだ。「勝った」という事実から「この方法が正しい」と短絡すれば、環境が変わったときに過去の成功が足かせになる。

勝利とは何か

戦争について考えると、そもそも「勝つ」とは何なのかという問題に行き着く。戦闘に勝つことと、戦争に勝つことは同じではない。さらに、戦争に勝つことと、望ましい政治的状態を実現することも同じではない。目的、終結条件、戦略、作戦、戦術、指標がつながっていなければ、局所的には勝ち続けながら、全体としては破綻することがある。

合理的な人間だけでも失敗する

この点で、最近読んでいる『幼女戦記』との対比も面白かった。そこでは、ドイツを思わせる帝国に、単純な「狂った独裁者」を置かず、まじめな官僚や軍人たちが合理的に判断している。それでも主人公デグレチャフが合理的な判断をするたびに、なぜか状況が悪化していく。個々の判断が合理的でも、それらを積み重ねた結果が組織全体の目的に適合するとは限らない、という組織論の寓話として読むことができる。

見立てる力と、損切りする力

結局、重要なのは「失敗しないこと」ではないのだと思う。必要なのは、現状を見立て、過去の成功を疑い、自分の判断も仮説として扱い、必要なら損切りすることだ。そこには、自分の判断が間違っていたと認める力も含まれる。失敗を認めることは敗北ではない。失敗を認められず、現実に合わせて判断を変えられないことのほうが、組織にとっては大きな失敗になる。

レイヤーが違えば、正論も違って見える

さらに、組織について考えると、同じ事実を見ても人によって見ているレイヤーが違うことに気づく。個人の能力の問題として見る人もいれば、役割やプロセス、組織構造、ガバナンスの問題として見る人もいる。上位のレイヤーから見れば正論でも、受け手には「自分の能力を否定された」と聞こえることがある。だから、正しいことを言うだけでは組織は動かない。異なる認知レイヤーを持つ人たちが、意思決定できる形にまで問題を翻訳する必要がある。

それでも、すべてを一人でできる必要はない

優れたリーダーも、すべての能力が突出しているわけではないだろう。戦略、現場、人心掌握、技術、政治、組織設計など、どこかが突出し、それを周囲の能力と組み合わせて成果につなげている場合も多い。重要なのは万能であることではなく、自分と他者の能力の境界を見極め、適切な役割と意思決定の仕組みを作ることなのだと思う。

24番目の失敗

本書の23項目を読み終えて最も残った問いは、「24番目の失敗は何か」である。23項目を知ったことで安心し、それらをチェックリストとして消化した瞬間、すでに別の失敗が始まっているのかもしれない。

本書から得るべきものは、23個の答えではなく、答えが変わり続ける組織を観察するための視点なのだと思う。失敗しない組織ではなく、失敗を発見し、認め、修正し、次の判断につなげられる組織。そのために必要なのは、正しさへの執着よりも、現実を見立て続ける力なのだと思った。

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2026年09月13日

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