あらすじ
7つのミステリを横断する、著者初の短編集
面白い小説をお探しのあなた、この本はいかがですか?
謎が謎を呼ぶ、7つの怪事件……
ミステリー界のグランドスラム(江戸川乱歩賞、日本推理作家協会賞、このミス1位、週刊文春ミステリー1位)を達成した著者が放つ、驚天動地の短編集!
当代随一のストーリーテラーが贈る、最高のスリルとサスペンス!
驚愕の展開と見事な謎解き、そしてドンデン返し!
ミステリーをベースに、ホラー、サスペンス、SF、ファンタジーなど、エンタテインメント小説のあらゆる要素を盛り込んだ、傑作短編の豪華詰め合わせ!
短編って、こんなに面白いんだ。
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Posted by ブクログ
短編集。
休日の学校で清掃の仕事をしていた男性が、無差別銃乱射事件を起こした犯人と校内に閉じ込められる話が一番好き。緊迫感があった。
もうダメかも…!と思った後に起こる展開も面白い。犯人が2つの人格を持っているとは。散々使い古されたようなネタにも関わらず、閉鎖的な環境で、犯人と仲良く(?)するしかないという状況が新鮮だった。男性の頭の中では、いつ変貌するか分からない人間と行動を共にしなければならない恐怖と、助かるかもしれないという一筋の希望がせめぎ合っていたことだろう。何も知らない犯人(善良な方)が一番幸せだろうね。
自分がなぜか男性となった状態で、交通事故で死ぬ間際の夢を見た女性の話も面白かった。
この女性のように夢で見たことを深く追及したりすることはないが、なんでこういう夢を見たんだろう…と考えることはたまにある。女性の話を一蹴せずに真面目に聞いてくれる夫、良い人だな。
女性は自分が、夢で亡くなっていった男性の生まれ変わりなのではと推測し、偶然なのか運命だったのか、夢の真相に迫っていくことになる。
女性の夢の話や、夢の男性の関係者への聞き取りなど、現実的ではないのに引き込まれる。タイトルでもある「三人目の男」が、綺麗に回収されて気持ちが良かった。
Posted by ブクログ
前作『踏切の幽霊』から約3年ぶりの新刊。『踏切の幽霊』は11年ぶりの新刊だったので、この方にしてはインターバルが短いなあと思って手に取ると、本作は短編集だった。各編初出時期は2002年~2015年と広範囲にわたっている。
まずは短い「ゼロ」。高野作品には珍しいSF的設定。うまくやったはずなのに、何だよそのオチは…。「跫音(あしおと)」。オーソドックスながらなかなかのホラー。これでホラーの才覚に目覚め、後に『踏切の幽霊』が生まれたのだろうか。
「死人に口あり」。刑事と犯人の車内での駆け引き。初出は『幽霊人命救助隊』の刊行と同時期か。幽霊ネタが好きなのか? 「二つの銃口」。閉鎖空間で、銃を持つ通り魔から追われる男。緊迫感はあるのだが…結局、真相はどういうこと???
本作中ではやや長めな「ハードボイルドな小学生」。高野流のジュブナイル小説か。大人とは違う意味で複雑な小学生社会。家庭環境はそれぞれ。初出は2002年だが、デジタルネイティブな現代の小学生たちを、高野さんならどう描くだろう。
「天城の山荘」。友人の依頼で、山奥の山荘を訪れた新聞記者。かつてここでは、大学関係者が失踪していた。正直ありがちな設定ではあるが、コンパクトかつきちんと伏線を回収する手腕はさすが。しかし、幽霊ネタが好きだな高野さん。
最後に「三人目の男」。まったく無関係の彼女が、彼の無念を引き継ぎ、調査に乗り出すことに。どうしてそこまでするのか突っ込みたくなるが、よくもまあ今まで隠し通したものである。幕引きはこれでよかったのか。しかし高野さん…。
読み終えてみて、面白かったのは確かだけれど、帯の文章は盛りすぎというのが正直なところである。長編向きなネタが多いし、高野和明はやはり長編の作家なのだ思った。各編とも、高野さんの力量と同時に、もったいなさも感じた。
初出誌の版元がばらばらなので、単行本にまとめるには調整を要したと思われるが、こうして読者に届けてくれたことには感謝したい。
Posted by ブクログ
それぞれ全く雰囲気が異なる、7つの怪事件短編集。
ミステリーというよりは、オカルトが中心となる短編が多かった。
個人的には「死人に口あり」と「三人目の男」がお気に入り。
前者は、警察と容疑者それぞれの視点が交互に描かれながら結末へと向かう展開が面白かった。言葉で説明できない霊的な正体の存在は、生きているものに恐怖を抱かせるのだろう。
後者は、非現実的なようで、どこかにありそうなストーリー。他と特に雰囲気が異なっていて、許されない事件の真相があったけれど、息子の最期の言葉が母親に伝わった時は、哀しくも少し救われた気持ちになった。