あらすじ
どこかの記憶はあなたの記憶
彼女が噓のつもりで適当に言った不気味なローカル番組は実在し、しかも彼女自身も出演していた(「二つの真実と一つの嘘」)。飛び込んだ人間がたまに消える池で行方不明になった兄の思い出(「センチュリーはそのままにしておいた」)。バラッドの謎を解き明かそうとするネットユーザーたちは、その歌に秘められた恐ろしい意味に気づきはじめる(「オークの心臓集まるところ」)。6人のガールスカウトたちのわたしたちがキャンプで体験したこと(「科学的事実!」)。
迷っても、しっかりと着実に、奇想と現実の狭間を歩む。もっとも新しく、もっとも懐かしい、記憶を揺さぶる奇想短篇集。
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Posted by ブクログ
12作品の短編集。ホラー要素もファンタジー要素もありながら、ディストピアなSFもあって不思議な読み心地だった。
「二つの真実と一つの嘘」は怖かった。不気味なお話をするアンクル・ボブは一体何者なのか。虚言癖のある主人公を信用することもできず、何が本当のことなのかが分からなくなっていって引き込まれた。
「われらの旗はまだそこに」「今日はすべてが休業してる」「ケアリング・シーズンズからの脱走」は、読んでいて心をかき乱された。求められる愛国心、住民同士で監視し合う社会、主権を奪われた登場人物たちを見ていると、他人事には思えない。出来事の一つひとつがとてもリアルに感じられる。どれも絶望のなかでひと筋の希望があることが救いだった。希望がないと人間は生きられない。