あらすじ
NHKドラマ化原作、火星と地球をめぐる壮大なヒューマンドラマ
地球外知的生命の探求のために人生をかけて火星にやってきた生物学者のリキ・カワナベは、とある重大な発見をする。いっぽう火星生まれの少女、リリ-E1102は、地球へに観光を夢みて遠心型人工重力施設に通っていた。様々な人の想いが交錯する人間ドラマ。
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Posted by ブクログ
火星に人類が移住して40年、世代交代が進むも、経済性などにより人類の火星移住計画を推進してきた国際組織ISDA自ら撤退を進めようとしている近未来。
・ISDAの種子島支部長の娘、リリ(火星生まれ、過去のテロ事件により失明、21歳)
・地球で地球外生命体の研究での捏造を疑われ、放逐された研究者リキ・カワナベ
・ISDA職員で過去に火星に研修に来ていたことがあり、祖父はカワナベの大学時代の教官だった白石アオト
・火星の自治警察の一員、
4人の視点から、火星で発見された光よりも早く同時に様態を変える物質スペラミンをめぐる火星独立派と地球のISDAとの綱引きや、リリの誘拐事件、13年前の事件、カワナベの過去などが少しずつ見えてくる仕掛けとなっている。
光の速さで通信しても一往復に15分かかり、相互不信に陥っていく火星と地球にはリアリティがあった。
身体に埋め込まれた電子タグを抜いた「タグレス」の貧困や切り捨て、資源による支配、やたらカネを持った起業家のマディソン(イーロンマスク?)など、現代と実はあまり変わらないと感じた。
スペラミンを兵器用途ではなく通信手段として使う結末は希望を感じさせた。
Posted by ブクログ
3/4くらいまでは説明が多めで我慢が必要だったが、終盤で全ての伏線が回収されてスッキリできました。
月並みになってしまうが、最後、応援団長、副団長がくだした決断が、火星と地球の通信のラグ(10分くらい)によるコミュニケーション不足による分断を武力で解決するのではなく、新しいテクノロジーを火星と地球、双方で研究し、ラグのない対話から、共存を目指していく。
テクノロジーを武力に利用するのではなく、前向きな平和に使っていくべきだという、今の分断した世界にも通じるメッセージになっていたのもよかった。
最後、地球に訪問した際に、仲の悪いバンドが大金をつまれて、一夜限りの再結成をして演奏するシーンが良かった。お互い過去にさまざまな諍いがあり、嫌いあっているのに、演奏はぴったり一致する。全てが分かり合えなくても、音楽や芸術など,文化的な繋がりがあれば、共存はできるという希望のメッセージに感じた。
Posted by ブクログ
小川哲さんってこういうSFぽい話も書くんだという新鮮さがある作品。
未知の物質スピラミンを巡る話、かと思いきや割と違う。登場人物や専門用語が多いので情景が想像しにくい。ただ、読みやすい文体なのは素晴らしい。
読んだ後に爽快感がないと思ったけど、これはスピラミンを実際に利用しているシーンがないからだと気づく。
距離を無視して互いに同期する性質を利用して戦争に使えるという解説は何度か出るが、実際には使われない。
エピローグではスピラミンを使ってコミュニケーションを行う方法が出るが、実際に同時通信をするシーンはない。むしろ対面でのコミュニケーションが最高というオチだし。
Posted by ブクログ
かなり読みやすいSFだった。初めて読み切れたSFかも。火星の最新機器やシステムは、私の脳内で今実存する技術とかデバイスで置き換えて考えられる程度の概念のものだったから、わからないことだらけということはなく、むしろわからないことはなかったと思う。
でも骨のある本というわけではなかったし、終わり方がかなりスムーズだったなと思う。
地球と火星間の遠さ及び時差がコミュニケーション問題を引き起こして、両惑星間の対立に至ってしまうという設定は面白い目の付け所だった。
この人の他の本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
SFはnot for meだー! と自覚した話。
それとも作者が合わないのかなー、「君のクイズ」もそこまで響かなかったもんなー。
とはいえまぁうん、話としては面白いのではなかろうか。
謎というか事件発生まで読むのが少し苦痛だった。じっくり読むよりサラッと読んだ方が進むので、サラッと読んだが、取り立てて問題はなく話は理解できた。
「火星の女王」っていうから発見されたスピラミンが実は……みたいな話かと思ったら、まぁ近未来の地球と火星を舞台とした人間模様って感じかな。
戦争回避できたのは良かったね、現実でもちゃんとこうなれば良いだけど。
AJの本心をAJから聞けないのは残念だったし、マディソンは最後まで分からんままだったなー。
色んな科学理論とか物性とかもちゃんと説明されていて、よく調べましたねって感想を抱いたので、多分私の性質がSF向きじゃないんだと思う。
「光は遅すぎる」はテーマとして良かった。現代科学としては斬新なセリフで印象深く、物語の中でも重要な位置を占める。この一文はきっとこれからも覚えてるだろうな。