【感想・ネタバレ】キャベツ炒めに捧ぐ リターンズのレビュー

あらすじ

60代後半の江子、麻津子、郁子は、都内のちいさな商店街で「ここ家」という、お惣菜屋を営んでいる。最愛の男性を亡くし悲しみを抱えつつも、にぎやかな江子、結婚して5年目の麻津子は、夫が最近よそよそしいと心配ばかり、息子も夫も早くに亡くした郁子は、ようやくひとり暮らしを楽しめるようになり――3人で、とびっきり美味しいお惣菜を作っているときが、最高に幸せ。そんなある日「ここ家」の立ち退き問題がふってわき、さらには江子が結婚を申し込まれたり――いろいろありながらも、前を向いて歩く彼女たちのたまらなく愛おしい物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「潮時(しおどき)」という言葉を、やめ時、そろそろ引き上げる時、みたいな意味に思っている人が多いようだけど、それはどちらかというとマイナスの方の意味で。
良い潮の流れが来た時、船出のチャンス、という前向きな意味もあるのだ。

・江子(こうこ)66歳。元夫の白山(しろやま)が急逝して二年
・麻津子(まつこ)65歳。夫・旬(しゅん)と五年前に結婚
・郁子(いくこ)67歳。「ここ家」で働くようになって五年

三人で営むお惣菜屋の「ここ家」が入っている建物「スーパー文殊」の老朽化による立ち退き問題が持ち上がる。
古い建物ゆえの破格の賃貸料だった。この場所が無くなれば、「ここ家」は存続の危機である。
反対運動をけしかけてくる常連客たちにはそれぞれ思惑があって、いやに前のめり。

三人それぞれ、秘めた気持ちや出来事もある。
一時は恋人を取り合った親友との和解
「結婚四年目の危機」説への不安
夫と息子に先立たれた寂しさ

それにしても・・・華麗な加齢臭がしそうなジェントルマン勅使河原善次(てしがわら ぜんじ)は、最高の道化役だった
神出鬼没、その実はストーカーまがいの待ち伏せ。
立ち退き反対運動に熱心に力を貸しているポーズを取るのは、自分は頼りになる人間だとアピールして気を引くため?
そのくせ、自分が勝手に発注した看板の加工費用を、僕が立て替えましたからと請求するあたり、セコさが透けている。
麻津子に体当たりしたのは、反対意見を口にしたからではなく、既婚者に用はないから?
肘を差し出して腕を組もうとする・・・それがジェントルマンだと思っているのでしょうねぇ〜
大家さんの奥さんの、「とても良い人で、博識で、英語とドイツ語が堪能。うちでは『先生』と呼んでいる」というピカピカの評価が、次々と塗り替えられていく描写がさすがである。

進と姫薇々(きらら)も神出鬼没だった。
姫薇々の事情は、今期のドラマ的にタイムリーである。しかし、これは極め付けにひどい。
進はまあ・・・かわいらしいものだ。
がんばれ若者たち!
60代の女たちも、「良い潮時」を迎えての新しい出発、がんばれ!

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2025年10月26日

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