あらすじ
全米のMBAプログラムで必読文献
イノベーション論に“イノベーション”を起こす!
なぜ多くの企業の革新的な製品やサービスが成功につながらないのか? 顧客ニーズを踏まえ、素晴らしい商品を開発し、競合に圧倒的差をつけたはずなのに。その理由は、「自社のイノベーション」に集中するあまり、成功のカギとなる商品を取り巻く「生態系(イノベーション・エコシステム)」を無視していることにある。本書では、エコシステム全体を見るためのツール=「ワイドレンズ」を紹介し、企業の事例を紹介しながらイノベーションと成功とのギャップを明らかにし、企業が「死角」に陥らずに成功に導いていくための方法を探っていく。登場する事例は、電子書籍をめぐるソニーとアマゾン、日産の電気自動車、iPodとiPhone、3G携帯電話など。推薦者はジム・コリンズ、ジェフリー・イメルト、ジェフリー・ムーア、クレイトン・クリステンセンなどの錚々たる面々。本書のベースとなった『ハーバード・ビジネス・レビュー』の論文は全米のMBAプログラムで必読文献とされている。米国の気鋭の経営学者によるイノベーション論のイノベーション。
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Posted by ブクログ
チャールズ・ダーウィンいわく、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である。」しかし企業にあてはめるとこれでは不十分。自社だけでなく、エコシステム全体で変化に対応に対応できないとイノベーションは失敗する。iPhoneはなぜ最初から強かったか?それは次世代のiPodという位置づけで誕生したから。Apple社だけでなく、サプライチェーンに属するエコシステム、さらにはユーザーまでも変化に巻き込んだ歴史的好例と言える。
Posted by ブクログ
この手のイノベーション論の著作は数多く出ていますね。正直食傷気味ではありますが、本書は具体例として登場している商品・サービスが比較的身近で新しいので、ちょっと興味をもって手にとってみました。
本書で著者が提唱している基本コンセプトは「イノベーション・エコシステム」。
戦略を成功させるためには、自社のイノベーションを管理するだけでは十分でなく、イノベーション・エコシステムを管理することが一番重要であるとの指摘です。理論だけではなく、その理論を実践に活かすためのいくつかのフレームワークやツールも紹介しており、なかなか面白い内容でした。
Posted by ブクログ
現代のイノベーションは1社によるものではなく、エコシステム全体によるものと説く。エコシステムに潜むコーイノベーションとアダプションチェーンの2つのリスクを認識し、打破するためのツール類を定義しており、わかりやすい。
Posted by ブクログ
今日の経営環境においてイノベーションを実現するためには、自社のコアコンピタンスだけでなく、ビジネスモデルを共に構成する各パートナーとのコラボレーションが不可欠となったことをふまえ、気鋭のMBA教授が、イノベーションを持続的成功に導くための新たなフレームワークを提唱した経営戦略書。
著者は、革新的なサービスや製品が成功するには、自社の技術やマーケティングなどの戦略課題に加え、ビジネスが価値を生むための「エコシステム」全体を明確に描き、鳥瞰した上で、パートナーが行うイノベーションへの依存度や、パートナーによる自社のイノベーションの許容度を評価することにより、エコシステム内での役割分担や参入タイミングなどを含めたリスクの回避が可能になると主張する。
iPhone/iPadやデジタルシネマ、吸入インスリン等、"お馴染みの"成功/失敗事例の検証に加え、現在進行形の電気自動車ビジネスを本理論に沿って分析するなど、豊富なケーススタディが本書の説得力を高めており、また社外との関係だけでなく、社内プロジェクトの推進においても有効な示唆が得られる。「相互依存の時代」における戦略実行フレームワークの一つとして、押さえておきたい一冊。
Posted by ブクログ
なぜある商品が売れるようになったのか。どのように販売することをデザインすることが望ましいのかが多くの事例から分かります。日本企業が元気になるためのヒントも隠されています。
Posted by ブクログ
いいモノを最初に作ったのに売れない、逆に後発で機能も普通のモノが爆発的に売れる・・・
一体なぜだろうか?
これまでの説明では、消費者のニーズに的確に応えたとか、デザインとか、おもてなしとか、企業の商品企画・開発力にその原因を帰するものが多かった。
しかしこの本では、それだけでは不十分だ、死角がある、と説く。
タイトルのワイドレンズは、文字どおり、広い視野でシステムを捉えること。自社のリソースだけでなく、顧客の手に届くまでの全ての関係者について、どんなメリット、デメリット、リスクがあるのか、誰がリーダーで、どの順番でやるのかを考えることを指す。いわば、プロジェクトマネジメントのスコープを顧客を含んだ全体に広げる考え方である。
関係者を洗い出すだけであれば、バリューチェーン分析など既存のツールでも良さそうなものだが、この本で紹介されているツール、フレームワークは、関係者との協業関係構築、仮説検証しながらエコシステムを成長させるプロセスなど、他の考えでは死角になりそうな、社会的、動的な側面を考慮しており、使えると感じた。
Posted by ブクログ
価値設計図、コーイノベーションリスク、アダプションチェーンリスク、リーダーシッププリズム、切り離す・組合わせる・再配置・追加・減らす、最小限の要素によるエコシステム・段階的拡張・エコシステムの継承。
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i-pod、電気自動車、電子書籍などの先進的な製品/サービスはプロダクトの優劣よりもエコシステム全体を俯瞰して戦略を練らなければ失敗する可能性が高い。
まず、エコシステムにはイノベーションに付随して必要な二次的な発明の必要性があるかどうか、イノベーションをフォローする他のプレイヤーがどう動くかという部分が有る。前者を含めた成功確率は、それぞれの発明の成功確率のかけ算となるため、実は直観より成功しづらい。後者のうち決定的なフォロアーが、一つでも動かない場合はそこがボトルネックとなり成功確率を決定する。
Posted by ブクログ
企業側として画期的な新製品がなぜ世間に受け入れられなかったのか、また何故後発のipodやiphoneが市場を席巻できたのか。エコシステムという観点から説明しています。要は生産者、消費者ばかりに目が行きますが、中間業者がどうやって利益享受出来るかが、鍵になるのですね。勉強になります。
Posted by ブクログ
プロジェクトの成功には、関係するすべての参加者の役割と貢献を明確にした価値設計図を事前に描くことが重要である、と言うのがキーメッセージである。こうして要約すると、「何だ、あたりまえじゃん」という身も蓋もない表現になるが、要は広角レンズで世界を眺める際に、どこまで画角を広げるべきか、その範囲が決定的に重要であり、その答えを豊富な実例と共に分かりやすく提示しているのが本書の価値である。
ソニー電子書籍の失敗や、i-podの成功要因の分析など首をかしげたくなる箇所も多いが、基本的な考え方は奇をてらったものではなく、実ビジネスにすぐに応用できそうだ。
一読の価値あり。
Posted by ブクログ
2020年4月12日(日)
書名:ワイドレンズ
著者:ロン・アドナー
ジャンル:ビジネス(ストラテジー)
【内容】
イノベーションは自社のみの技術、システムでは完結することは出来ず、協業者を巻き込んだ価値創造のストーリーが必要なのは周知されてきていると思います。
本書はエンドユーザーまでの価値創造の設計図作成において、その協業者まで視点を広げよ、という主張を終始展開しています。主に以下の2点をイノベーションの歯止めとなる「リスク」として説明しています。
・コーイノベーションリスク
→協業者が自社のイノベーションに応じるシステム技術を持っているか?
・アダプションチェーンリスク
→価値創造にあたり、協業者もwinになる仕組みになっているか?
ビジネス展開で様々な制約がある中、上記2点のリスクを上手にマネジメントした者が現在のイノベーターになっている。開発したエコシステムを他のサービスに転用し、ゲームのルールを変えている、というのが筆者の主張でした。
当たり前っちゃ当たり前なんですけど、見落としがちですし、コーイノベーションリスクがあるので、何でもかんでも先手必勝というわけではないのですね。
エコシステム構築を検討されている経営関係の方におすすめです。
Posted by ブクログ
アライアンス推進におけるステークホルダー事の利害考慮の必要性や完全なバランスを追い求めすぎる事への警鐘は納得。アメリカ節全開の文調はやや長いかな。