あらすじ
古来、地図には二種類あった。陸上で自分たちの知りうる範囲を描いた「マップ」、何もない海上に航海のため正確な経線・緯線を付した「チャート」。「チャート」すなわち海図を描くことは、世界を俯瞰する試みでもあった。新大陸発見から産業革命、資本主義の誕生、世界大戦まで、海の視点から読みとくと、全く新たな通史が見えてくる。
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Posted by ブクログ
紀元前から現代までの人類史を海図の励起を通して、振り返った本、
庁舎は高校の教師を経て大学の教授となった宮崎正勝氏、2000年以上にわたる人類の通史を海図を通してえがくという視点が面白かった。
地図は自国を大きく捉えがちであったり、あるいは逆に未知の大陸が(未知故に)大きく描画されたりいろいろと本当の地形図を知る我々からは面白く歪められてきた。
そのなかでプトレマイオスの世界地図は正確なところも不正確なところも含めて後世に与えた影響が甚大であったことがわかる。
大航海時代に欧米はアジアに進出してきたが、あくまでの財をなすためであったことがよくわかる。
イスラム勢力が貿易を担っていたときは非人間的なことはあまりおこらなかったのに、スペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス、フランス、アメリカが影響力を持つと。大虐殺、植民地化、奴隷、支配、などパンドラの箱が開かれたようにこの世の災厄が人類に降りかかる。
これは香辛料、貴金属、砂糖などの商品が換金制が高く、保存性があり、比較的軽いという理由によるのだろう。
話は面白いのだが、掲載されている地図が不鮮明でいまひとつ。本の値段が高くなっても大きな地図を載せてもらいたかった。