【感想・ネタバレ】海図の世界史―「海上の道」が歴史を変えた―のレビュー

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3.8
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Posted by ブクログ 2013年01月06日

世界最古~現代(GPS)に至るまで、水路誌・海図の歴史をカバー。さまざまな文明圏の商人、探検家、国家が、間違った水路誌・海図に騙されて超ヒドイ目にあわされながらも、これを訂正し相互接続して、世界の全体像を描き出してきた歴史が生き生きと描かれる。近代史好きでポルトガル・スペイン萌え、オランダ萌え、イギ...続きを読むリス萌えの方にはオススメ。時空間情報系の方は、ソーシャルマッピングの歴史(原点)として楽しめる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年05月24日

紀元前から現代までの人類史を海図の励起を通して、振り返った本、
庁舎は高校の教師を経て大学の教授となった宮崎正勝氏、2000年以上にわたる人類の通史を海図を通してえがくという視点が面白かった。
 地図は自国を大きく捉えがちであったり、あるいは逆に未知の大陸が(未知故に)大きく描画されたりいろいろと本...続きを読む当の地形図を知る我々からは面白く歪められてきた。
 そのなかでプトレマイオスの世界地図は正確なところも不正確なところも含めて後世に与えた影響が甚大であったことがわかる。
 大航海時代に欧米はアジアに進出してきたが、あくまでの財をなすためであったことがよくわかる。
 イスラム勢力が貿易を担っていたときは非人間的なことはあまりおこらなかったのに、スペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス、フランス、アメリカが影響力を持つと。大虐殺、植民地化、奴隷、支配、などパンドラの箱が開かれたようにこの世の災厄が人類に降りかかる。
 これは香辛料、貴金属、砂糖などの商品が換金制が高く、保存性があり、比較的軽いという理由によるのだろう。
 話は面白いのだが、掲載されている地図が不鮮明でいまひとつ。本の値段が高くなっても大きな地図を載せてもらいたかった。

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Posted by ブクログ 2014年01月26日

どうしても西洋史に偏りがちなのは仕方ないか、でも第二次大戦は宣戦したのはアメリカではないのでそこは訂正されたい。
海図とともに世界観がどう形成され、世界が繫がり歴史が織り成されてきたかってとこで自分にとっては新しくて面白い視点だった。ギリシャ人のプトレマイオスの世界図、これが人々の世界観に影響を与え...続きを読む続けたこと。その中でポルトラーノになり開拓されていく海。大航海時代の探検。少ない誤差で大洋を渡るために生み出されたメルカトル図法。英海軍による世界の測量、そして海を通して繋がる世界。

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Posted by ブクログ 2013年01月26日

地中海・大西洋、インド洋、太平洋をそれぞれ第一、第二、第三の海として、ヨーロッパの航海者の行動範囲が時代とともに広がっていく様子を海という視点からまとめ上げた歴史書。
膨大な資料に基づく興味深い逸話が数多く盛り込まれているにも関わらず、全体の構成がしっかりしていて散漫になることなく、最後まで興味深く...続きを読む読むことができた。
西洋史の視点に偏っている点、著者の専門外と思われる現代の海図に関する記載がやや貧弱な点は気になった。

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Posted by ブクログ 2015年04月05日

地図の本は読まねば、ということで・・・
地図はMapであるが、海図はChart。
Chartは「二つ以上の対象の相互関係や変化の状態を図形的に表現したもの」と言う事でChartで示されるのは方位と距離である。海図の歴史は航路開発の歴史でもある。そして本格的な遠洋航海はこの方位と距離がいかに正確に測れ...続きを読むるかという技術の進歩とともにあった。

本書は、ヨーロッパの列強がアジアへの海路、新大陸への航路、そこから太平洋を越えて世界を繋ぐ航路の開発とその目的である交易そこから派生する植民政策の拡大の歴史を描いている。

本書の欠点は図版が少ないことである。電子書籍だから図版を省略しているのかと思ったが、人様のレビューをみても判りにくいと言う意見が散見され、どうも書籍版の方にも図版はあまり無いようだ。地図を文章で説明されてもピントこないのである。

面白いと思ったのは、古代ギリシャの時代から地球は丸いと言うことが天体観測の結果として判っていたと言う事である。いつの間に世界の果てでは水が瀧のように落ちているという世界観が出てきたのだろうか。

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Posted by ブクログ 2012年12月27日

本書は、航海や海運に関する歴史を概観しつつ、地理的な発見がどのように海図に反映され、各時代の人々の地理観・世界観がどのようなものだったかを明らかにしていく。古代についても丁寧に説明されているが、やはり、バスコ・ダ・ガマ、マゼラン、コロンブスなど大航海時代が中心になる。彼らが行った新たな航路や大陸の発...続きを読む見のほか、帆船時代に大洋を航行する方法であるモンスーンや偏西風を利用した航路についても詳しく記載されており、なかなか興味深かった。
著者は、ユーラシア・アフリカとインド洋を「第一の世界」、南北アメリカと大西洋を「第二の世界」、太平洋を「第三の世界」と位置付け、この3つの世界が「海上の道路」により結び付けられる過程を描こうとし、従来の世界史については、第一の世界の歴史を中心に、南北アメリカ、サハラ以南のアフリカ、太平洋地域を付け足す傾向にあったとしている。ただ、本書が果たして著者の主張するような世界史として描けているかというと、疑問が残る。つまり、本書においても、第一の世界、特にヨーロッパ中心の歴史となっているように思われる。ただ、それは仕方がないのかもしれない。というのは、3つの世界の結び付きを主導したのは第一の世界の人間であり、アメリカ原住民が大西洋を渡ってヨーロッパに到来したわけではないという歴史的事実が存在するからである。
それはさておき、領土を持つ「国」の興亡という観点からの世界史に慣らされた身には、海洋史は新鮮であった。

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