あらすじ
ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。声を失い、でも動物と話ができる、つくり話の天才。もういない、わたしの弟。――天使みたいだった少年が、この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。残された古いノートには、痛いほどの真実が記されていた。ある雪の日、わたしの耳に、懐かしい音が響いて……。物語作家いしいしんじの誕生を告げる奇跡的に愛おしい第一長篇。(解説・増田喜昭)
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Posted by ブクログ
ずっと気になってたいしいしんじ。
バスと飛行機の中で読み切った。
言葉じゃうまく言い表せないけど、どこか懐かしい優しい雰囲気を纏ったお話。
日本じゃない国の話たぶんきっと。
天才だった弟。
ブランコに乗るのが得意な弟。
指を鳴らすのが得意な弟。
声を失った私の弟。
天使みたいな弟。
どこか孤独だった弟。
動物と話せる弟。
素敵な話を書く弟。
そんな弟と、お母さん、お父さん、おばあちゃん、犬の「指の音」の話。
読む前から悲しい結末は分かってるんだけど、でもなんだかハッピーエンドな気がした。
Posted by ブクログ
【不穏の中の光】
読んでて何度か泣いてしまった。
うーん、感想が上手く出てこない。。
気の強いおばあちゃんの、ふとした拍子の本音は感情が揺さぶられる。飛行機事故が起きた時の言葉は格言だと思う。弱いものを割れ物扱いしても強くなれない。思い出にすがるのではなくできるだけ死について考える。色んな過去があるからこそ言えた言葉なんだなと。
純粋でイタズラ好きな弟君の境遇。
特に部屋の中にゴミ箱が置かれているシーンは、もう見てられないほど辛かった。
賢くてもまだ小さい子なのは間違いなくて、その子の心を悪気のない環境が追い詰めていく。。
ウィンクする弟くんを抱きしめたくて仕方ない。
最初の1枚だけあの子が書いた。
お姉ちゃんのコップを重しに絵葉書を裏返していたのは、どうしても読んで欲しかったのだろうか。悲しみに耐えきれないお姉ちゃんをこっちの世界に戻すために、自分も悲しみを背負ってるのに。
語り手がお姉ちゃんなので、心情がありありと伝わってくる。
けど。そうだ。のシーン。この書き方は忘れることがないと思う。感情の切り替わりはこうやって表現できるんだってことを知った。
あと、郵便局の人が足りないものがあったら言ってくれよおつかいでもなんでもしてやるからさと、早口で言ってくるりと帰っていく
のは、人間味がとても良いなあと感じた。
やっぱりローリングは衝撃的だった。
作中に何回も出てくる度にゾクッとした。
本を読まれた方はいしいしんじさんのインタビューもぜひ読んで欲しい。鳥肌です。
Posted by ブクログ
リーガルリリーのぶらんこのルーツらしい
言葉が柔らかくてとても優しい
また読み返すと思う
「おたがいにいのちがけで手をつなげるのは、ほかでもない、すてきなこととおもうんだよ」
Posted by ブクログ
でも大丈夫。大丈夫って私にはわかる。
だって、ぶらんこは行ってはもどりする。
はるかかなたへ消えたようでも、ちゃんとまっしぐらな軌道をえがき、ちょうどいい引力に従って、もといた場所にもどってくる。
それに、忘れちゃいけない。
弟は世界一のぶらんこ乗りだ。
Posted by ブクログ
意外とハードなできごとが多い。
最初はちょっとイヤな気分になるところも…
でも、ひとつひとつの表現が可愛らしくて好きだった。
ひらがな混じりの文が、句読点の使いかたが、丁寧に感じられて全体的にやさしい雰囲気だった。
さよならの理解の仕方、納得の仕方がいい。
自分なりの考えを見つけることは大切。自身の1番の救いになると思う。
本気のさよならはいなくなったひとをちょうどいいところへぶらさげる
弟の孤独は、ひとりになったことで癒されたのかな
Posted by ブクログ
子どもらしい日記のように書かれた文章の隅々に散りばめられた言葉が、後半になって1つになっていき、最初から結末は決まっていたんだと気付かされる。けれどその過程の中でお母さんとお父さん、おばあちゃんと指の音、そして弟との幸せな時間は結末という一言では語れないものがあって、思い出はぶらんこのようにこっちのほうへ、ときにあっち側へとゆるやかに動く。前半は子どもらしい書き振りから、後半怒涛の展開に挫けそうにもなるけれど、全体を通して暖かく、優しい気持ちになれる作品。また読み返したいなあ。
Posted by ブクログ
こういう懐古する系のお話は本当に弱い。泣いた。弟が姉をつなぎとめるために絵葉書を書いてたんだね。世界一のぶらんこのりがこちら側にかえってきますように。