【感想・ネタバレ】きりぎりす(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

「おわかれ致します。あなたは、嘘ばかりついていました。……」名声を得ることで破局を迎えた画家夫婦の内面を、妻の告白を通して印象深く描いた表題作など、著者の最も得意とする女性の告白体小説「燈籠」「千代女」。著者の文学観、時代への洞察がうかがわれる随想的作品「鴎」「善蔵を思う」「風の便り」。他に本格的ロマンの「水仙」「日の出前」など、中期の作品から秀作14編を収録。(解説・奥野健男)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

表題作、「きりぎりす」を聴き読書。最近暑すぎて散歩ではなく自転車なので自宅で。わたし(24歳の女性)は19歳の時にとある画家と結婚した。絵を見て身震いがするほど絵に共感する。しかし夫は口下手で展覧会など興味を持たず好き勝手な絵を描く画家だった。そんな夫との結婚生活が心地よく、貧乏でもハリを感じた。しかし、個展を開いてから、夫は人が変わる。お金に固執し、成功者と一緒にいるようになり、夫への魅力、関心が無くなる。このわたしの寂寥感が夫には伝わらず、別れることを決意する。妻が思う過去の夫への未練が伝わった。⑤

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2023年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

些細な日常を皮肉やユーモアを感じさせる言葉選びで表現しており、クスっと笑ってしまう。
佐渡と畜犬談が好き。

どの話も割と好きに言いたい放題でコンプラ等存在せず自由で良い。

畜犬談の犬に対して、
「日に十里を楽々と走破し得る健脚を有し、獅子をも斃す白光鋭利の牙を持ちながら、懶惰無頼の腐り果てたいやしい根性をはばからず発揮し、一片の矜持無く、てもなく人間界に屈服し、隷属し、同族互いに敵視して、顔つき合わせると吠え合い、嚙み合い、もって人間のご機嫌を取り結ぼうと努めている。」
と表現しており、今まで犬に対して、憎らしい思いをストレートに緻密に書く人間はいただろうか。

愛犬の話の起承転結もわかりやすくてよい。憎しみだったものから次第に愛が芽生えていく様子は面白い。

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2024年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「いいお仕事をなさって、そうして、だれにも知られず、貧乏で、つつましく暮らして行く事ほど、楽しいものはありません。私は、お金も何もほしくありません。心の中で、遠い大きいプライドを持って、こっそり生きていたいと思います。」
この文章にはとても勇気付けられる。

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2023年11月26日

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