あらすじ
うつくしく奔放なシングルマザー・芙美子の娘として育った望。常識を教われず、どこか周囲から浮いてしまう望は、「普通になりたい」と願いつづけてきた。気まぐれな芙美子が唯一こだわったのが、毎食スープを飲むこと。しぶしぶ付き合ってきた望だが、いつしかスープづくりが楽しみに変わる。やがて、ある人物に恋心を抱いたことがきっかけで、人生を大きく動かす選択をすることに――。やさしいエールに満ちた「希望」の物語。
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Posted by ブクログ
読み始めたときには、なんてひどい母親なんだろうと思っていたけれど、最後には強く逞しく潔い母親だなと少し好きになれた。
幼い子を1人家に残したり、彼氏がどんどん変わって住む場所も変わって、転校もして、子どもが不憫で仕方がない。自分の家が、一般家庭とは異なると感じて普通を学びながらまっすぐ成長していけることがすごいなと思う。
どの家庭にもいろんな事情があるだろうし、話せること、話せないこと、はきっとある。
勝手な決めつけはしないように、周りの人と接していきたい。
Posted by ブクログ
スープを免罪符にするかのような母に育てられた望。母はパートナーを頻繁に変え育児放棄というより子どもに興味がない親の自覚もない、そんな人。そんな生活の中、望はこの親でもずいぶんきちんと育ってきた。けれど結局は不倫相手の子を産み一人で育てる。望は遥を育てることで母親の気持ちを理解するのかな、生い立ちから自分は両親揃ったいわゆる普通の家庭を築こうと思わなかったのかな。読者が期待する結末でないところがリアル。誰にも共感できないけど丁寧に書かれた文章で読みやすい。おすすめ、今後他の作品を読もうと思う。
Posted by ブクログ
内容は重いものではあったけど、言葉を選ばずに言うとおもしろくてすぐに読んでしまった。
母のネグレクトを受けた主人公は、それでも本当に正しい親はいるのかという視点で考えている、母への愛・母からの愛を感じる瞬間がある。この本では男側の意見や心情はほとんど書かれていない。女性としてどう選択をつづけ、自分の人生を築いていくのか、できるよと背中を押されている気がした。内容とは反対に、文体は優しくそこが好きだった。
Posted by ブクログ
【あらすじ】
奔放な母と自由になれない娘――やさしいエールに満ちた感動作
うつくしく奔放なシングルマザー・芙美子の娘として育った望。
幼い頃からひとりで寝起きし、
次々変わる芙美子の恋人にあわせて住まいを転々とする日々。
常識を教われず、どこか周囲から浮いてしまう望は、
「普通になりたい」と願いつづけてきた。
気まぐれな芙美子が唯一こだわったのが、毎食スープを飲むこと。
しぶしぶ付き合ってきた望だが、いつしかスープづくりが楽しみに変わる。
やがて、ある人物に恋心を抱いたことがきっかけで、
人生を大きく動かす選択をすることに――。
ままならない人生に立ちすくむすべての人に贈る、「希望」の物語。
『誰かを励ましたり助けたりするのって、励まそうとか、助けようとか思ったって、うまくはいかない。何の気なしに発した言葉が、胸の奥深くに突き刺さって抜けなくなることのほうが、ずっと多いんじゃないかと思う。』
『死ぬのも生きるのも、ささやかなものがきっかけや理由になったりすることって多いんじゃないかと思う。どういうものが、どれだけの意味や重さを持つかなんて、本人にしか決められない。コーヒーが美味しいから今日も生きよう、って人の意見を、絶対に否定なんかできない。』
『私には長く付き合っている友達がいない。どうすれば人間関係を長く継続できるのかわかっていない私には、そうした存在はできないのかもしれない。その時々でしか、近づくことができない。』
『わたしは怒るのが下手だ。その場ですぐに言い返したりできなくて、あとで一人になってから、あれが嫌だったとか、あれは悪口だったのだとか気づく。』
『この記憶たちのとてつもない重さに途方に暮れながら、助けられながら、残りの人生を生きていく。生きのびていくのだ。わたしの人生を。』
『目に見えるものだけが全てじゃないんだ、と思う。綻びはみんな隠したがるし、当事者にしかわからない。ダメージの大きさも、傷の大きさも、他人には推し量ることはできない。ましてや決めつけることなんて。』
【個人的な感想】
最初の方、望の母、芙美子さんの言動が子供を産んだのに、あまりの親としての責任のなさに驚いた。
そして、読んでいて嫌な気持ちになることも多かったが、許せはしなくても、最後まで読むと芙美子さんの抱えていた生きづらさにも触れることができた気がする。
やっぱり加藤千恵さんの本が好きだと思った。