あらすじ
うつくしく奔放なシングルマザー・芙美子の娘として育った望。常識を教われず、どこか周囲から浮いてしまう望は、「普通になりたい」と願いつづけてきた。気まぐれな芙美子が唯一こだわったのが、毎食スープを飲むこと。しぶしぶ付き合ってきた望だが、いつしかスープづくりが楽しみに変わる。やがて、ある人物に恋心を抱いたことがきっかけで、人生を大きく動かす選択をすることに――。やさしいエールに満ちた「希望」の物語。
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Posted by ブクログ
【あらすじ】
奔放な母と自由になれない娘――やさしいエールに満ちた感動作
うつくしく奔放なシングルマザー・芙美子の娘として育った望。
幼い頃からひとりで寝起きし、
次々変わる芙美子の恋人にあわせて住まいを転々とする日々。
常識を教われず、どこか周囲から浮いてしまう望は、
「普通になりたい」と願いつづけてきた。
気まぐれな芙美子が唯一こだわったのが、毎食スープを飲むこと。
しぶしぶ付き合ってきた望だが、いつしかスープづくりが楽しみに変わる。
やがて、ある人物に恋心を抱いたことがきっかけで、
人生を大きく動かす選択をすることに――。
ままならない人生に立ちすくむすべての人に贈る、「希望」の物語。
『誰かを励ましたり助けたりするのって、励まそうとか、助けようとか思ったって、うまくはいかない。何の気なしに発した言葉が、胸の奥深くに突き刺さって抜けなくなることのほうが、ずっと多いんじゃないかと思う。』
『死ぬのも生きるのも、ささやかなものがきっかけや理由になったりすることって多いんじゃないかと思う。どういうものが、どれだけの意味や重さを持つかなんて、本人にしか決められない。コーヒーが美味しいから今日も生きよう、って人の意見を、絶対に否定なんかできない。』
『私には長く付き合っている友達がいない。どうすれば人間関係を長く継続できるのかわかっていない私には、そうした存在はできないのかもしれない。その時々でしか、近づくことができない。』
『わたしは怒るのが下手だ。その場ですぐに言い返したりできなくて、あとで一人になってから、あれが嫌だったとか、あれは悪口だったのだとか気づく。』
『この記憶たちのとてつもない重さに途方に暮れながら、助けられながら、残りの人生を生きていく。生きのびていくのだ。わたしの人生を。』
『目に見えるものだけが全てじゃないんだ、と思う。綻びはみんな隠したがるし、当事者にしかわからない。ダメージの大きさも、傷の大きさも、他人には推し量ることはできない。ましてや決めつけることなんて。』
【個人的な感想】
最初の方、望の母、芙美子さんの言動が子供を産んだのに、あまりの親としての責任のなさに驚いた。
そして、読んでいて嫌な気持ちになることも多かったが、許せはしなくても、最後まで読むと芙美子さんの抱えていた生きづらさにも触れることができた気がする。
やっぱり加藤千恵さんの本が好きだと思った。
Posted by ブクログ
自分が生まれてから子供を産むまでの時間で、親から受ける生活や愛情ってその子の一生を左右するんだなあと改めて実感した作品。普通って難しい。自分が親になる前に読めて良かった。
Posted by ブクログ
加藤千恵さんの作品で唯一共感できなかったかも。
こんなネグレクトを受けて、こんなにも優秀に真面目に育って、親のことも許せるようになるんだろうか。
Posted by ブクログ
虐待まではいかないのかなぁ、でも放置もやっぱり虐待なんだろうと思う。1人で保育園に行かせるのは普通ではない。子供を産めよ育てよとはいうものの、本当に育てにくい世の中だ。早く大きくなってほしいようなそのままでいてほしいような。