あらすじ
大好きな山で仕事ができる、ただそれだけの理由でヘリ会社に入った篠原秋彦は、山小屋への物資輸送のかたわら、空からの遭難救助法の確立を目指す。
ひとりでも多くの人の命を救いたい。そのために山を研究し、私生活を犠牲にして現場に飛び込んでゆく。
そのすさまじいまでの救助の実態を、山岳遭難ルポの第一人者、羽根田 治が真実に迫る迫力で紹介
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Posted by ブクログ
今や当たり前となったヘリコプターによる山岳救助の草分け的存在、篠原秋彦氏の半生を綴った本。東邦航空に入社後は営業マンとして山から山へ自分の足で駆け回り、工事や整備事業の為の現地調査をとり、山小屋からの信頼を得て荷揚げの仕事を請け負うようになる。やがて当時は人力が当たり前だった山岳救助の場でヘリを飛ばし、長野県警にヘリが導入される前はもとより、導入後も壮絶な現場から現場を飛び続けた……。
自分もいち登山初心者のため気になって調べたところ、2023年の山岳遭難事故発生件数は738件、遭難者809名、死者・行方不明者61名らしい。対して昭和38年は事故件数は529件、死者・行方不明者は184名だという。コロナ禍で減少していた山岳遭難事故はまた増加傾向にあるが、発生件数に対しての死者・行方不明者の割合が昔に比べて格段に低いのは、ヘリレスキューの普及と発達が一因であることは言うまでもない。もしかすると篠原氏が居なければ今のヘリレスキューは確立しなかったかもしれない。本当に偉大な人物だと思う。こういった偉大な人々が歴史を変え世界を切り開いてきたのだから、後に続いて今を生きる自分達も精一杯頑張らなければなあ……と思わせてくれる本。そして何より、山岳遭難事故を起こさないこと。安全第一で山に登り、それでも万が一起きてしまった時のために心構えと備えをしておくこと。そう心に刻みたくなる一冊。
篠原秋彦氏は2001年には日本で初となる山岳救助隊専門組織トーホーエアレスキューを設立し、2002年1月6日、鹿島槍ヶ岳での救助活動中に亡くなるまでに約1700回出動、救助した遭難者は2000人以上だという。篠原氏に敬意を表したいと思います。
Posted by ブクログ
漫画「岳」に紹介されていた本。
ここ数十年で山岳救助は大きく変わったんだなと思いました。
また、もともと日本という国には欠如している傾向にある「自己責任」ですが、登山ブームがあったということで、「自己責任」の意識が希薄な一部登山者がいるということにも驚かされました。気軽に救助を呼んで、救助されて当たり前という感覚が理解できません。
しかし、人里離れた山という場所、法律とかは通用しないと思っていましたが、法律に縛られて迅速な身動きができないこともあるのですね。。。
仕方ない部分もあるかもしれませんが、あまりのハードワーク、ワーカホリックぶりについては、とても残念です。
篠原秋彦という人に焦点が当たっているわけですが、山で事故に合わない方法であったり、山岳救助にかかる費用とう実用情報がもうわかりやすく記載してあるとよかったようにも思います(ほかの本などを見ればよいだけかもしれませんが)。
この本でもマスコミはやはりマスゴミな雰囲気が漂っていましたね。
払ってもいい金額:700円