あらすじ
私たちが知っている歴史には、サイエンスが大きく関わっている。火の利用と縄文土器、金アマルガムと奈良の大仏、たたら製鉄と日本刀、コウジカビと発酵食品、光ファイバーとインターネット・・・・・・。サイエンスはあらゆる時代の象徴的な場面で、その力を発揮してきた。本書では、日本史の中で科学が特に深く影響を与えてきた14テーマを厳選。縄文土器、五重塔からトイレ、鉄、漆、食、通信、鉄道、電池などを興味深いエピソードとともに面白く解説する。日本史にサイエンスの知見を盛り込んだ画期的な一冊!
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Posted by ブクログ
日本史を理科系の観点で視ること自体、新鮮だ。
左巻氏の文章は読みやすく、類書等にて拝読させていただく機会を得た。本書を店頭にて目にすると、迷わず購入することを選択した。
本書は、土器や鉄、機械、通信等の理学及び工学の観点から日本史を読み解いている。
印象的だったのは、建造物や灯り、トイレに係る観点から論じていた章だ。
★建造物の日本史
東京スカイツリーの構造は、法隆寺にある五重塔に使われた構造を意識して作製されたようだ。ちなみに、スカイツリーの地震対策は、五重塔が心柱を採用したことから、心柱制振と呼ばれているらしい。
★灯りの日本史
私たちを灯す灯りは、ガス灯や白熱電球、蛍光灯、LEDの四つに大別される。これらの灯りの形態は、約60年周期であり、興味深い。2050年頃には現在の主流となっているLEDを凌駕する照明技術が確立されているかもしれない。
★トイレの日本史
古代より私たちは、利便性や衛生面を常に考慮しながら生活してきている。いわゆる温水洗浄便座は、海外から来日する利用者にとっては、衝撃を受けるようだ。
ちなみに、過去に遡ると、奈良の平城京に都が遷都される15年程度前に、藤原京が存在していた。当時使用していたのは、籌木(ちゅうぎ)である。現代のトイレットペーパーに代わるものとして使われていたようであるが、使い勝手は劣悪であり、流行していた疫病・伝染病等の蔓延を助長させていたことであろう。
なお、温水洗浄便座の代名詞であるウォシュレットという商品名は、Let’s wash.(レッツ ウォッシュ)を文字って考案されたようだ。
文体のリズムが小気味よく感じられ、個人的には、左巻氏の文章には好感が持てる。
学生の頃のように日本史や世界史といった一教科として接するのではなく、多角的な側面から歴史を視ることは、興味深い。
Posted by ブクログ
科学と日本史をうまく絡め、分野ごとに論ずる書籍。科学と歴史の両方に通じている人じゃないと、全てを理解する事は難しいのでは‥?鉄道や電灯、からくり人形の話が特に記憶に残った。ものづくり大国を感じる良い本。
Posted by ブクログ
我々の日常生活暮らしを支えるサイエンス。
土器、トイレ、建造物、金銀、鉄、食、漆、品種改良、電池、磁石、機械、通信、鉄道、灯り。
テーマ別に発明から普及までを概観する。
磁石、青色LED、ペロブスカイト太陽電池など国産の凄い技術にも注目。
Posted by ブクログ
エッセイのようなテイスト。
日本史の部分に期待すると肩透かしを喰らう。
科学が歴史に及ぼした影響まで踏み込む事は少なかった。サイエンスの部分の解説は分かりやすかった。
Posted by ブクログ
以前から多くの歴史モノを読んできましたが、10年ほど前から、日本史・世界史以外の歴史にも興味を持つ様になりました。貨幣・パンデミック・気候・関税など、どのテーマも興味を持ちました。
そんな私がネットで見つけたのがこの本:「サイエンス日本史」です。著者の左巻氏の本は調べてみたら、これが2冊目でしたが、理系の知識に裏付けられた解説は、以前理系を専攻した私は懐かしい気持ちで読書できました。
以下は気になったポイントです。
・私たちの周りにあるものを作ってる材料は 主に3種類ある、金属材料・ 有機材料・ そして セラミックスである。セラミックスには、硬質性・ 不燃性・ 耐食性がある。 非金属の無機材料で製造工程において高温処理を受けたものをセラミックスと呼ぶ。 セラミックスには大きく、 陶磁器・ 耐火物・ガラス・セメント・ ファインセラミックスがある (p31)
・温水洗浄便座 はもともとは アメリカからやってきたものなのに、日本で独自の発展を遂げた。 本家 アメリカではそんなものがあったことすら忘れ去られているようである。 これは日本人の清潔好きが大きな理由の一つではないだろうか。 トイレはまさに清潔さを象徴するものであろう(p57)
・ 6世紀半ばの仏教伝来以降、 それまでの古墳に代えて、 寺を作ることで権力を示そうというものが現れた。6世紀末、 飛鳥にそれまで誰も見たことがないような高層建築が出現する、飛鳥寺の高さ30mの五重塔である。20年かけて 建築した「 1塔3金堂」 を配置した寺院で、中金堂には金銅の大仏が座っていた。民衆は50の塔 や ピカピカの金銅色の大仏に驚き、畏怖心を抱き そして 仏教の教えに心惹かれたことであろう(p60)
・ヒノキのすごいところは 伐採されてから300年くらいまで、 じわじわと 最大30% 強度を増していき、その時期を過ぎると 初めて ゆっくりと低下していく。 約1000年を経て切り出された時と同じくらいの強度になることから、現在の 法隆寺のひのきは切り出された時と同じくらいの強度になっていることであろう。コンクリートの建物は作った時は ヒノキ より強いが、 その後はヒノキと比べて早いスピードで強度が落ちていく(p62)
・現在でも 江戸時代から天守が残っているのは、 姫路城・ 松本城・ 彦根城 など12 白しかない。 これら 現存天守 以外の店主は 主に 昭和になって復元・ 復興されたものである(p69)
・ 日本三景の一つである 松島の優美な島を眼下に望む「国宝瑞巌寺」は 伊達政宗の菩提寺である、 平成20年の「平成大修理」と呼ばれる 解体修理が始まり 2018年3月 工事が完了した。この時 本堂の主要な 壁に「 筋交い」が 入っていた、 これにより 耐震性が増し その数が多いほど 丈夫になる(p73)
・ 銀は金属の中で最も良く「電気と熱」を伝える性質を持っている、金に次ぐ「 展性・延性」を持っていて、1g の銀は1800m 以上の線に伸ばすことができる。 1g の金は畳2畳分以上の金箔ができる(p78,79)
・奈良の東大寺の大仏は 創建時の高さは今より 86cm ほど高い 15.84m である。 この時使ったのは 銅500トン、 水銀 2.5トン、 金438kg とある。 水銀と金は、大仏を金ピカに金メッキするために使われた。 その時の金メッキ法は、金を水銀に溶かした金アマルガムを塗り、 炭火で水銀を蒸発させるというものである(p87)
・マルコ ポールの行った黄金の宮殿とは、 中尊寺金色堂の可能性がある、 中尊寺金色堂は岩手県平泉町にある天台宗 中尊寺の阿弥陀堂である。内外に金箔が押され「 皆金色」と称されているが、シルクロードを通じてもたらされた 夜光貝による「 螺鈿細工・象牙・ 宝石」によっても飾られている。中尊寺金色堂は昭和37年に解体 大修理が行われて 建立当初の輝きを取り戻した(p90)
・パソコンの基盤 1 T には約140g の金が含まれているので、 都市鉱山として、国内に約6,800トン もの金が眠っているとされている 、課題は 金を取り出す方法であるが、 2022年6月、 神奈川県相模原市のゴミ焼却炉から、2021年度に、金銀 それぞれ 約15kg が回収されたというニュースが伝われた。 流動床式ガス化溶融炉 という ごみ焼却施設を使っての回収 であった(p96)
・鉄器は、高温で溶かした銑鉄を 鋳型に流し込んで作る鋳造品(=鋳鉄)と、 鉄 あるいは銑鉄 を打ち鍛えて作る 鍛造品(= 鍛鉄)に分けられる、我が国の古代 中世の鉄器 作りは、鋳鉄がメインだった中国の影響を受けずに、鍛鉄がメインであった(p103)
・西洋から大規模で生産効率の良い 近代製鉄の技術が入ってくると、伝統的技術を持った職人的で手 工業的な「たたら製鉄」 は次第に衰退していった、 1894年、 たたら製鉄 はついに 釜石の田中製鉄所で生産される鉄に追い越された。 木炭の代わりにコークスを用いた鉄作りに成功した、 それまでは「 たたら製鉄」 が日本の鉄製 さんの 河畔を占めていた、 これが果たした役割は非常に大きい(p111)
・ 主食の米は、稲の種を皮をむいて食べられるようにしたものである。 世界の三大穀物は生産量の多い順に、トウモロコシ・ 小麦・ 米であるが、 とうもろこしは、飼料用が多いため、 主食としては小麦について2番目である(p119)
・せっかちな 江戸っ子に大当たりしたのが素早く食べられる「 握り寿司」であった、ネタで最も多く使われたのは「イカ・ 穴子・ はまぐりなどの煮物」で、次に「 酢につけた コハダ・ 味などの光り物」 、3番目が 魚介類の刺身であった(p129)
・現在の日本型食事(= ヘルシーな和食)、古い日本型の肉をかいた「粗食」でもなく、高カロリー・ 高脂肪食の欧米型とも違う特殊なものになっている。先進諸国 中、 死亡 摂取量が飛び抜けて 少なく、 魚の摂取が多い。 さらに 豆腐や 納豆味噌 などの大豆製品の摂取 も 多い。 これらは 動脈硬化の進行を防ぐ 上で理想に近い食習慣と言えるだろう(p137)
・ 家庭用の電気は、 発電所で発電機を回して得られ、 それが 変電(= 電圧を変える)されて家庭に送られてくる。 それに対し 電池は、 電池 内部の化学変化で電気を得ている。電池には化学変化する物質が 詰め込まれている(p182)
・次世代の太陽電池として注目されているのが 国産技術の「 ベロブスカイト」 という 鉱物の結晶構造を利用したペロブスカイトと太陽電池である。これは「薄い・ 軽い・ 曲げやすい」 という特徴を持つ、重さも シリコン対応電池の 1/10 程度である。様々な場所に設置することができ、 例えば人間が着る衣服までもが 発電所に変わる可能性を占める。主要な材料である「ヨウ素」の日本の生産量は世界2位で、埋蔵量は1位である。 しかも レアメタルを使うことはないので 製造コストは低い。 課題としては、 外部環境(紫外線、湿度、酸素等) の影響を受けやすく 性能が不安定になりやすく 劣化しやすい 点の克服とエネルギー変換効率の向上である(p195)
・セイコーがクォーツ腕時計のために開発した「 音叉 型水晶 振動子」は小型電池で電圧をかけると1秒間に8192回振動する、電子回路で振動数を半分にすることを13回繰り返すと、1秒に1回の電気信号を取り出せる(p219)
・ フェリー行こうが 軍艦 7席で再び現れた時、 将軍へ献上された品の一つとして「 電信機」があった、 それから20年後には日本全国の主要都市に電気通信網が張り巡らされた。 電力網の整備はまずなので電信機の電源は 鉛蓄電池 であった。 1912年( 明治45年)には電信局は4744曲となって、地方の村 村にまで行き渡った。電信 網は 情報活動を優位に導くので 明治政府の政治的・軍事的支配に直結するものであった、鉄道網の整備も同様であった。 1877年に 西南戦争が起きた時、政府は電信で情報を伝え 鉄道などで兵士や物質を輸送することができた、 そのことが宣教を大きく変え 政府軍は最高軍に勝利することができた(p231)
・ インターネットによって普通の個人が巨大な資本を持つ会社とほとんど変わらない形で不特定多数の人々に向けて 情報を発信できるようになった、さらにスマホがそのままインターネットとつながるようになって、人類はこれまでになかったスタイルで個人情報を送受信する機器を手にするようになった。こうしたことは人類の歴史の中で初めての出来事であり、 私たちは新しい情報革命 の 真っ只中に生きている(p241)
・わが国の鉄道は明治維新とともに 建設に着手され 明治になってわずか5年後の明治5年に、東京横浜間が開通した。当時 欧米以外で自力で鉄道を建設した国は日本だけだった、 技術は外国から導入したが 建設の主体は日本であり 運営も日本が行った。資金はロンドンで外国公債を発行することで得た。 1889年(明治2 )に、には 新橋・ 神戸間で東海道本線が全線開通し、 東海道を江戸から京都まで 平均 11泊 かかった 徒歩での工程が1日に短縮された(p246)
・新幹線の建設計画は戦前 中止された「弾丸列車計画」 の時に 調査検討された路線案をベース としたので、 戦中に買収された土地や建設途中のトンネルなども利用できた。新幹線の工事費用として 世界銀行からの融資も当てられた、 それは 内閣 や政策の変更があっても予算が打ち切られないためでもあった(p249)
・最高運転 時速は、東北新幹線「はやぶさ」「 こまち」で時速320km である、山陽新幹線「 のぞみ」「 みずほ」は時速300km、 東海道新幹線「 のぞみ」は 285km である。この速度は 在来線における一般的な普通列車の最高速度である 120km程度を 大きく上回っている(p252)
・関東方面は50hz 関西方面は 60hz と異なるのは、当時 関東方面はヨーロッパ諸国から関西方面はアメリカから発電機を輸入したからである。我が国の発電方法は はじめ 石炭を使った火力発電だったが、 1891年(明治24) 琵琶湖に水力発電所が作られたのを皮切りに 全国各地に水力発電所が設置された。 これにより電気料金が非常に安くなり 全国に電気が普及することになった(p266)
・ LED 電球では1つの 青色 LED で黄色の蛍光体 を発行させて白色を作る「シグナル チップ法」が使われている、人間の目には 青色の光と黄色の光が混ざると白色に見えるからである 。マルチマップ法は、 主に大型フルカラー スクリーンなど、 直接光を見せて扱う分野で採用されている、3色の LED の 光量を調整することで様々な色相が表現でき、また鮮やかな色彩が表現できる。照明は、 ガス灯・ 白熱電球・ 蛍光灯・ LED の 時代へと 約60年ごとに進化を続けている(p275)
2026年8月2日読破
2026年8月8日作成
Posted by ブクログ
日本に特化した科学史。
14のテーマごとに、古代から現代までの流れが分かりやすく解説されていた(ただ、電池や通信の最新の話題については、やや難解?)
日本が、電池や磁石にも強かった事は初めて知った。新幹線が安全で時刻通りな事が凄いことは知っていたが、速度に関しても世界一、ニを争うとは、知らなかった(既存の交通機関との関係、自然環境、社会的位置付け、法規や適用規格や、政治経済などから、新幹線の全体システムをそのまま移せる国はほとんどない、とのこと)。
一番驚いたのは、建築において、鉄やコンクリートより、木の方がはるかに長持ちする、という事。ヒノキは、伐採されてから300年くらいでジワジワ強度を増していき、その後ゆっくり低下していき、1000年後も切り出された時と同程度の強度を維持しているらしい。その他、和釘や心柱など、昔の日本の建築は、驚くべきものだと思う。
Posted by ブクログ
色々なものの日本史。ただし科学をベースにしている。
そして薄い新書で14ものテーマを扱う。このためどの話もあっさり現代に飛ぶ。例えば「通信の日本史」。狼煙の後はいきなり明治の電信である。それはないだろう。「科学」の枠を取り払い、テーマを半分くらいに絞れば面白かったのにと思う。
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 土器の日本史
第2章 トイレの日本史
第3章 建造物の日本史
第4章 金と銀の日本史
第5章 鉄の日本史
第6章 食の日本史
第7章 漆の日本史
第8章 品種改良の日本史
第9章 電池の日本史
第10章 磁石の日本史
第11章 機械の日本史
第12章 通信の日本史
第13章 鉄道の日本史
第14章 灯りの日本史
<内容>
産業の各分野の歴史を、わかりやすく説いた本。前半は割と今までもあった分野だが、後半の品種改良、電池、磁石などは近代を中心に、専門的分野である。しかし納得の内容。ブルーバックスほど専門的ではないので、物足りない読者もいる思うが、文系の自分などは授業でも使える、よい内容だった。